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前立腺がんの根治治療 [それ、ウソです]

 それ、ウソです(17) 

 前立腺がんの根治治療


 一般に、10年以上の余命が期待でき、重い合併症がなく他の臓器に転移していない「限局性前立腺がん患者」に対しては、根治治療を目指して睾丸(こうがん)を取り除く「前立腺全摘除術」や放射線治療が推奨されている。(毎日新聞2007年11月27日 くらしナビ「前立腺がん」)


「睾丸を取り除く」というのは、いわゆる去勢のことで、「前立腺」とは全然、場所も違うし、手術のねらいも違う。

 しかし、前立腺がんの治療では、昔は、睾丸を取り除く「除睾術」が普通に行われていた。

 記者は、その治療法と、いま、初期前立腺がんの基本的治療の一つとされる「前立腺全摘除術」を混同したのだろう。

 前立腺は、精液の一部(前立腺液)をつくる男性特有の器官で、膀胱の出口のところにあり、尿道を取り囲んでいる。

 前立腺の中を尿道が通っているといってもいい。

 そこにできる良性の腫瘍が前立腺肥大症で、悪性の腫瘍が前立腺がんだ。

 良性であれ、悪性であれ、前立腺に腫瘍ができると、その中を通る尿道が圧迫されて、排尿障害が起こる。

 五十代も半ばを過ぎた男性が、尿の出が悪くなり、残尿、頻尿が起こるようになったら、まず前立腺肥大症だ。

 だが、なかには前立腺がんのこともある。

 尿の出がおかしくなったら、早めに泌尿器科の専門医に診てもらうべきだ。

 前立腺がんは、がんが前立腺内に限局しているステージAとBならば、前立腺を全部摘出する根治手術か、前立腺内に細い針状の微小線源を埋め込む小線源療法などの放射線治療で完全に治すことができる。

 がんが、前立腺の被膜に浸潤していたり、リンパ腺や骨などに転移しているステージC、Dに対しては、いわゆる「ホルモン療法」が行われる。

 前立腺がんは、男性ホルモンのテストステロンの作用で増殖する。

 前立腺がんのこの男性ホルモン依存性を遮断するのが、前立腺の進行がんに対する最も効果的な治療法で、その手っ取り早い治療法が、テストステロンの約95%を製造している精巣(睾丸)を取り除くことだった。

 しかし、現在はそれに代わって、「LH-RHアゴニスト」という薬がもっぱら用いられ、睾丸摘出と同じような治療効果が上がるので、「メディカル・カストレーション(内科的去勢術)」と呼ばれている。

 私事だが、当方もその治療法を受けた。

 1999年のことだったから、けっこう年季の入った前立腺がん患者である。

 その詳細は、拙著『「がん」はいい病気』に記した。
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