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「自立」的誤解 [それ、ウソです]

 それ、ウソです(30)

「自立」的誤解

 クッパはホントに病気なんだ。ゲームのない合宿生活で、やつは初日から、動悸、息切れ、不眠、手の震え……と自立神経系の異常を訴えていた。(花形みつる『ゴジラの出そうな夕焼けだった』)


「自立神経」なんてモノはない。

 それを言うなら「自律神経」だ。

 だが、このマチガイはけっこうあちこちで目につく。

 ずいぶん以前の話だが、中島らもの小説『今夜、すべてのバーで』の中にそれを見つけて、おせっかいな指摘を読者カードに書いて送ったら、「再版で訂正します」と、丁重な礼状をもらい、よい本にはよい編集者がついているな、と感心したことがある。

 自律神経は、体のさまざまな臓器や器官のはたらきを(意志とは関係なく)自律的に調節している。

 早い話、夜眠っているときも息をし、心臓が動き、生きていられるのは、自律神経のおかげである。

 自律神経には、交感神経と副交感神経があり、たがいに相反する作用をし、必要に応じてどちらかの作用が強くなって臓器や器官のはたらきをコントロールする。

 たとえば、運動するときは交感神経が優位になり心臓の拍動が速くなる。

 休むと副交感神経が優位になり心臓の拍動が遅くなる。

 交感神経はアクセル、副交感神経はブレーキの役目をしながら、体の状態をバランスよく保っている。

 ところが、このしくみが乱れると、体と心に多種多様な不調が起こる。

 自律神経失調症だ。

 その最大の原因はストレスだ。

 現実生活のなかで生じるさまざまな心理・社会的ストレス──組織内での対人葛藤(かっとう)、親子関係のひずみ、夫婦間の欲求不満、嫁姑の問題、その他いろいろ──がからんで、自律神経のバランスが崩れる。

 半面、そうしたストレスとは無関係の(言い換えると原因不明の)自律神経失調症もけっこう多く、体質によると考えられている。

 ─で、どんな症状が現れるか?

 なにしろ自律神経は全身いたるところに行き渡っているのだから、ありとあらゆる症状が現れる。

 最もよく認められる症状としては、動悸(どうき)、息切れ、めまい、頭痛、頭重、全身倦怠・疲労感などが、ひとつだけではなく、いくつも組み合わさって現れる。

 胃腸の症状、心臓の症状、呼吸器の症状などが重なり合っていても、それらの臓器自体にはなにも異常は認められず、ハッキリしないので「不定愁訴」と呼ばれる。

 更年期障害とか身体表現性障害と呼ばれる病態(病気の状態)も、広義の自律神経失調症といえる。

 受診は、心療内科や精神神経科へ──。
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