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リウマチの骨 [それ、ウソです]

 それ、ウソです(40)

 リウマチの骨

 慢性関節リウマチは、相当古い時代から人間を悩ませてきた病気のようです。
 たとえば、五〇万年まえに出現したジャワ原人の骨や、ヨーロッパ人の原型といわれる数万年まえの人骨をしらべてみると、慢性関節リウマチにかかったと思われる骨の変形がみられるそうです。(小学館『家庭医学大事典』)


 結論を先にいえば、この「骨の変形」は、「慢性関節リウマチ」のものではない。「変形性関節症」だろう。

 それならエジプトのミイラにもみられるし、日本最古の人骨といわれる三ケ日人(みっかびじん)の大腿骨でも見つかっている。

 リウマチ学の権威、佐々木智也(さとし)・東京大名誉教授によれば、関節リウマチは、ヨーロッパでは17世紀、日本では明治維新後に現れた病気である。

 出土人骨から関節リウマチの骨が見つかるわけがない。

「リウマチ」には、広い意味と狭い意味がある。

 広い意味のリウマチは、関節が痛む(関節炎を起こす)病気をひっくるめたもので、関節リウマチ、股関節や膝関節の変形性関節症、痛風、結核菌や淋菌の感染による関節炎などたくさんある。

 そのなかでアレルギーが関係するものが狭い意味のリウマチで、関節リウマチ、リウマチ熱、強直性脊椎炎などがそれだ。

 普通、単に「リウマチ」というときは、関節リウマチを指すことが多い。

 アレルギーというのは、体の外から入ってくる花粉などの「抗原」と、それに対して体の中にできる「抗体」との免疫反応によって起こる。

 関節リウマチは、自分の体の成分に対する「自己抗体」ができるために起こる。

 アレルギーの一つのタイプで、自己免疫病と呼ばれる。

 出土人骨は、人間の最も古い病気の証拠でもあるわけだが、関節リウマチの特徴をもつ骨(骨が溶けてくっつくなど)の発見例はない。

 佐々木博士はこう話している。

「ポンペイの遺跡から掘り出された人に、変形性関節症がありました。

 しかし、慢性関節リウマチに相当するものは、そういう古い年代のものにはありません。

 それから、日本の漢方医学には、ああいう、物事を非常に綿密に書いていく学問であるにもかかわらず、リウマチという言葉がない。

 変形性関節症にあたるものはあるのですが、慢性関節リウマチはない。

 手足が不自由になっていくのですから、当然書いてあってもいいのにない。

 ヨーロッパでも17世紀に入って(リウマチ変形のある手指を描いた)ルーベンスの画が初めてです。それ以前には、全然ない。

 その後の医学的論文では特殊な痛風として報告されています」(『病気とからだの読本』=暮らしの手帖社)

 日本リウマチ学会が「慢性関節リウマチ」という病名を決めたのは1962年だったが、

2002年に「慢性」をはずして「関節リウマチ」とした。

 理由は、学名の「Rheumatoid Arthritis」に「慢性」に当たる語がないこと、医学・医療が進歩し、リウマチ治療の実状に「慢性」という言葉がそぐわなくなったことである。
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