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蝸牛の在処(ありか) [それ、ウソです]

 それ、ウソです(41)

 蝸牛の在処(ありか)

 塩見  耳には、外耳、中耳、内耳という三つの部屋がありますよね。その中耳には、「蝸牛(かぎゅう)」という管があります。聴覚をつかさどる感覚器官で、中をリンパ液が流れているんですが、このリンパ液の流れに乱れが生じて、めまいや耳鳴りが発作的に起こる。メニエール病については、そこまではわかっています。(『眠って生きろ』=株式会社デコ)

「蝸牛」があるのは「中耳」ではない。内耳だ。

 それくらい中学生でも知ってるのではないか。

 この本は、ジャーナリストの鳥越俊太郎氏と、塩見利明・愛知医科大学教授(日本睡眠学会副理事長)の対談形式の解説書だ。

 聞き上手の鳥越さん相手に、睡眠学の専門家の塩見教授が、不眠症をはじめさまざまな睡眠障害について、面白くわかりやすく話している。

 そのなかでの発言なのだが、医大教授ともあろう人が、「蝸牛」が「中耳にある」なんて、そんなバカなことをおっしゃるわけがない。

 たぶん対談の録音テープから文章をまとめたライターのミスに、編集者も著者のお二人も気づかなかったのだろう。

 医学の素人の編集者や鳥越さんがついだまされたのは、まあ仕方ないとしても(いや、仕方あるゾ。もう一度言うが、これくらい中学生でも知っているだろう)、まして医学者たる教授が見落としたのはお粗末というほかない。

 この本の開巻第1ページには、「ちゃんと眠ってこそ、ちゃんと生きられる」と記されてあるが、(原稿や校正刷を)ちゃんと読んでこそ、ちゃんとした本はできるのである。

 というところで、耳の話─。

 耳は、耳孔から鼓膜までの外耳、鼓膜の内側の中耳、中耳の奥の内耳という三つの部分からなっている。

 中耳には鼓膜の振動(音)を内耳に伝える小さい骨(耳小骨)が三つ連なっている。

 鼓膜と接するツチ骨、内耳と接するアブミ骨、その二つの骨をつなぐキヌタ骨だ。

 内耳は、体のなかで最も硬い骨に囲まれていて、その中に聴覚をつかさどる蝸牛、体の平衡感覚をコントロールする三半規管、前庭器がおさまっている。

 蝸牛や三半規管の内外はリンパ液で満たされているが、リンパ液の量が増え、内圧が高くなった状態を内リンパ水腫という。

 その内リンパ水腫によって、蝸牛や三半規管の機能が障害され、めまい、耳鳴り、難聴などが起こるのがメニエール病だ(なぜ内リンパ水腫ができるのか、その原因はわかってない)。

 カタツムリのような形をしているので「蝸牛」と呼ばれる管の中には有毛細胞という毛の生えた細胞がびっしり並んでいる。

 有毛細胞の壁には収縮たんぱく(プレスチン)というものがあり、音の振動が伝わると、伸び縮みしてその刺激を脳へ伝える。

 人間の耳は20~2万ヘルツという非常に広い範囲の音を聴くことができる。

 2万ヘルツ担当の有毛細胞は、2万ヘルツの音が入ってくると、1秒間に2万回振動する。

 そんなに速い速度で動けるたんぱく質は、耳のこの細胞にしかない。

 有毛細胞は、生まれたときから減り始めて再生しない。

 だから年をとるにつれて耳が遠くなるのは、誰も避けられない。

 有毛細胞が大音響で障害されるのが、騒音性難聴だ。

 耳をだいじにしよう。
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