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ビールと痛風 [それ、ウソです]

 それ、ウソです(44)   

 ビールと痛風

 夏は痛風の季節といわれる。汗をかくと尿量が減るからだ。また、激しい運動をするのもよくないし、酒(特にビール)の飲み過ぎにも問題がある。(丸山寛之編著『名医が治す』=マキノ出版)


 これは常識的な通説である。

 が、それに対する異論を、二人の専門医が述べている。

 痛風は、血液の中に尿酸という物質が異常に増加した「高尿酸血症」がベースとなって起こる生活習慣病だ。

 高尿酸血症になりやすい生活習慣は六つ──、

 ①プリン体の多い物の食べ過ぎ。

 ②水分の不足。

 ③肥満。

 ④酒の飲み過ぎ。

 ⑤激しい運動。

 ⑥ストレス。

 プリン体は細胞の中にある成分だから、動物はみんなもっているし、植物にもすべて含まれている。

 それを食べると、体内で分解されて、尿酸ができる。

 だから高プリン体の食べ物をたくさん食べると、尿酸値が上がる。

 例えば豚、牛、鶏のレバー類。カツオ、サバ、イワシなどの背青魚、白子、エビ、イカ、煮干し、干しシイタケなどが主な高プリン体食品だ。

 といっても、食べ物によってできる尿酸の量は、体の中でつくられる尿酸の6分の1に過ぎない。

 食べ過ぎなければいいわけで、神経質に制限する必要はない。

 体の中でつくられた尿酸の3分の2は、尿から排泄される。水分の取り方が少ないと、尿量がへり、尿酸の体外への排泄が少なくなる。

 肥満も尿酸の排泄を低下させる。

 酒は、アルコールの代謝に関連して尿酸をふやすが、そのうえビールにはプリン体が含まれているので、さらに要注意である。

 運動は、ウォーキング程度の軽い運動だと尿酸値を下げるが、激しい運動は逆に上げる。

 激しい運動によって分解される筋肉中の物質が、尿酸のもとになるからだ。

 それから,ストレスがかかると出てくるアドレナリンなどの〝ストレスホルモン〟も尿酸値を上げる。

 ──というようなわけで、「ビールはダメだから…」と、焼酎やウイスキーをチビチビ飲んでいる痛風の人を、よく見る。

 だが、そんな心配は全くご無用。

 西岡久寿樹・東京医大医学総合研究所所長によると、30分間で500㍉㍑のビールを飲んだときの尿酸値の上昇はわずか0.2㍉だった。

「尿酸値は、ちょっと運動しただけでも1㍉前後、上昇する。0.2㍉ぐらい、どうってことはない」(注=尿酸値の基準値は血液100㍉㍑中7㍉㌘)。

 納光弘・鹿児島大学医学部内科教授は、ご自分が痛風になったとき、

「これは神様が与えてくれたチャンスだ」と思い、わざと大酒飲んでみたり、酒の種類を変えてみたり、逆に禁酒したり、自分の体を実験台にしていろいろ試しながら、尿酸値を測定した。

 結果、わかったことは、ビール6本とか焼酎や日本酒を5合以上も飲んだ翌日は、確かに尿酸値が上昇した。

 だがビール1本や焼酎1合は、尿酸値には全然、影響しなかった。むしろいくらか下がりさえした。

「アルコール自体には尿酸値を上げる働きがある。しかし、酒飲みにとっては、適量のアルコールならば、飲んだほうがストレス解消に役立ち、逆に尿酸値を下げる効果がある。

 ビールに含まれるプリン体の量は100㌘中わずか5㍉㌘。レバーや白子などと比べると、微々たるものです」

 納教授のその体験は、『痛風はビールを飲みながらでも治る!』(小学館文庫)に詳しい。

 言うまでもないことだが、それはあくまでも適量(缶ビール1コ程度)に限った話、飲み過ぎは絶対禁物ですよ。
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