10倍の凡ミス [それ、ウソです]
それ、ウソです(47)
10倍の凡ミス
肝がんの治療法の一つ、経皮的ラジオ波焼灼法の適応は、がんの大きさ3㍉以下、3個以内だ。(丸山寛之「健康歳時記」=地方新聞各紙2011年2月下旬掲載)
恥ずかしながら、筆者当人が書いた記事の「ウソ」だ。
記事を読んでくれた友人の医師から、「3㍉以下」は正しくは「3㌢以下」ではないかと、Eメールが届いた。
あわてて、原文(三浦健「肝細胞癌の治療」)を読み直した。そのとおりだった。
「経皮的ラジオ波焼灼法=径が3cm以下で3個以内の肝細胞癌の場合には、超音波ガイド下で細い針を肝臓に穿刺し、ラジオ波で焼灼すると、肝細胞癌は凝固壊死を起こして完全に治ることが多い」。
3㍉と3㌢とでは、10倍も違う。
基礎的知識に欠ける凡ミスだ。情けない!
多くのがんは、まず外科的に切除するのが原則だが、肝臓がんには、ラジオ波焼灼法のほか、
①エタノール(エチル・アルコール)注入法
②肝動脈塞栓術
③抗がん剤の動脈内注入化学療法
─など、切除以外の選択肢がいくつもある。
①は、細胞を凝固させる性質をもつエタノールをがんのある局所に注入する。
②は、肝がんの栄養血管(肝動脈)に、ゼラチンのスポンジか、油性造影剤リピオドールを注入する。
がんが著しく小さくなる。
リピオドールに抗がん剤を混ぜるとさらに大きな効果が得られる。
③は、大腿部から肝動脈に挿入したカテーテルを使ってポートを埋め込み、ポートに皮膚の上から針を刺して抗がん剤を注入する。
肝臓だけに高濃度の抗がん剤をミサイル攻撃的に注入できる。
経皮的ラジオ波焼灼法やエタノール注入法、肝動脈塞栓術などの対象とならない、がんに対しても優れた効果が得られる。
「肝臓がんはたとえ切除不能でも、患者さんに優しい治療法がいろいろあります」と、肝臓がんの動脈内注入化学療法を日本に導入した、三浦健・三浦病院院長。
抗がん剤を、静脈注射や経口で全身性に投与すると、効くことは効いても副作用も大きい。
副作用を減らすとともに薬の効果を高める一挙両得の方法として、頭頸部のがんや四肢のがんに対し、抗がん剤を頸動脈や大腿動脈から局所のみに選択的に注射する「ミサイル療法」が開発された。
1950年のことで、1960年からは肝臓がんにも抗がん剤の動脈注入療法が行われるようになった。
抗がん剤を注入するための動注ポンプは、初めはベッドサイドに置く大型ポンプだった。
それに変わる小型のポータブル動注ポンプが開発されたのが、1961年。
若き日の三浦先生は、米国留学中その研究に参加し、65年に帰国。
66年から東大第2外科で「ワトキンズ・三浦式」と呼ばれる、そのポンプによる肝臓がんの動注化学療法を始めた。
「肝がんを切らずに治す名医」と呼ばれるゆえんだ。
ところで、早期がんとは、肺がんの場合、2㌢以下でリンパ節転移のないもの。
胃がんは、胃の粘膜内もしくは粘膜下層までのがん。
食道がん、大腸がんは、粘膜内もしくは粘膜下層までの表在がん。
腎臓がんは4㌢以下。
肝臓がんは大きさが2㌢以下の単発がんで、周辺の血管やリンパ管への浸潤のないものを「細小肝がん」と呼んでいる。
早期がんは、治る=治せるがん、だ。
10倍の凡ミス
肝がんの治療法の一つ、経皮的ラジオ波焼灼法の適応は、がんの大きさ3㍉以下、3個以内だ。(丸山寛之「健康歳時記」=地方新聞各紙2011年2月下旬掲載)
恥ずかしながら、筆者当人が書いた記事の「ウソ」だ。
記事を読んでくれた友人の医師から、「3㍉以下」は正しくは「3㌢以下」ではないかと、Eメールが届いた。
あわてて、原文(三浦健「肝細胞癌の治療」)を読み直した。そのとおりだった。
「経皮的ラジオ波焼灼法=径が3cm以下で3個以内の肝細胞癌の場合には、超音波ガイド下で細い針を肝臓に穿刺し、ラジオ波で焼灼すると、肝細胞癌は凝固壊死を起こして完全に治ることが多い」。
3㍉と3㌢とでは、10倍も違う。
基礎的知識に欠ける凡ミスだ。情けない!
多くのがんは、まず外科的に切除するのが原則だが、肝臓がんには、ラジオ波焼灼法のほか、
①エタノール(エチル・アルコール)注入法
②肝動脈塞栓術
③抗がん剤の動脈内注入化学療法
─など、切除以外の選択肢がいくつもある。
①は、細胞を凝固させる性質をもつエタノールをがんのある局所に注入する。
②は、肝がんの栄養血管(肝動脈)に、ゼラチンのスポンジか、油性造影剤リピオドールを注入する。
がんが著しく小さくなる。
リピオドールに抗がん剤を混ぜるとさらに大きな効果が得られる。
③は、大腿部から肝動脈に挿入したカテーテルを使ってポートを埋め込み、ポートに皮膚の上から針を刺して抗がん剤を注入する。
肝臓だけに高濃度の抗がん剤をミサイル攻撃的に注入できる。
経皮的ラジオ波焼灼法やエタノール注入法、肝動脈塞栓術などの対象とならない、がんに対しても優れた効果が得られる。
「肝臓がんはたとえ切除不能でも、患者さんに優しい治療法がいろいろあります」と、肝臓がんの動脈内注入化学療法を日本に導入した、三浦健・三浦病院院長。
抗がん剤を、静脈注射や経口で全身性に投与すると、効くことは効いても副作用も大きい。
副作用を減らすとともに薬の効果を高める一挙両得の方法として、頭頸部のがんや四肢のがんに対し、抗がん剤を頸動脈や大腿動脈から局所のみに選択的に注射する「ミサイル療法」が開発された。
1950年のことで、1960年からは肝臓がんにも抗がん剤の動脈注入療法が行われるようになった。
抗がん剤を注入するための動注ポンプは、初めはベッドサイドに置く大型ポンプだった。
それに変わる小型のポータブル動注ポンプが開発されたのが、1961年。
若き日の三浦先生は、米国留学中その研究に参加し、65年に帰国。
66年から東大第2外科で「ワトキンズ・三浦式」と呼ばれる、そのポンプによる肝臓がんの動注化学療法を始めた。
「肝がんを切らずに治す名医」と呼ばれるゆえんだ。
ところで、早期がんとは、肺がんの場合、2㌢以下でリンパ節転移のないもの。
胃がんは、胃の粘膜内もしくは粘膜下層までのがん。
食道がん、大腸がんは、粘膜内もしくは粘膜下層までの表在がん。
腎臓がんは4㌢以下。
肝臓がんは大きさが2㌢以下の単発がんで、周辺の血管やリンパ管への浸潤のないものを「細小肝がん」と呼んでいる。
早期がんは、治る=治せるがん、だ。
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