虫歯と歯みがき [それ、ウソです]
それ、ウソです(55)
虫歯と歯みがき
虫歯と歯槽膿漏を防ぐ最上の方法、それは毎食後の歯みがきの励行です。食べたらみがく!
これさえ忘れなかったら、虫歯にも歯槽膿漏にもなりません。(「歯槽膿漏を歯みがきで治す名医」=『壮快』1979年6月号)
──と、話した人は石川純・北海道大学歯学部教授(当時)。聞いて、記事をつくったライターは、不肖マルヤマであります。
1979年といえば、そのころ子どもだった人や、あるいは、まだ生まれてもいなかった人が、いまは父となり、母となり、子どもに歯みがきを教えたりもしているだろう。
時代がすっかり変わってしまったそんな昔の話を思い出したのは、最近、「食後すぐ歯みがきをすると虫歯になる」という“都市伝説”が広まっていると聞いたからだ。
そんなバカな!
虫歯や歯周病(歯槽膿漏)の原因は歯垢(プラーク)であり、その歯垢を除く最も手早い方法が食後の歯みがきであるのは、医学の常識ではないか。
それはそうなのだが、虫歯の直接的な原因は、プラークのなかの細菌(虫歯菌)が、糖を分解して酸を産生し、その酸が歯を溶かすことである。
早くいえば、虫歯は口の中が酸性になるためにできる。
酸性とかアルカリ性とかは、pH(ペーハー)という単位で表される。
pHが7以上ならアルカリ性、7は中性、7未満は酸性だ。
食事や間食で糖分を摂取すると、口の中が酸性に傾き、pHが5.5以下になると、歯を溶かし始める。これを脱灰という。
だが、それは一時的なことで、酸を中和する唾液の作用で、口の中のpHは徐々に中性に戻り、pHが5.6以上になると、溶かされた歯が修復される。
再石灰化と呼ばれる現象である。唾液には再石灰化を進めるミネラルも含まれている。
食事中はもとより食後しばらくは、唾液がたくさん分泌される。
が、食後すぐ歯みがきすると、せっかく大量に分泌された唾液を洗い流してしまうことになる。
酸の中和が妨げられ、口の中の酸性状態が長くつづき、虫歯になりやすい。
──というのが、「食後すぐの歯みがき、虫歯のもと」説の根拠である。
唾液は弱アルカリ性だから、唾液がたくさん出て酸を中和し、口の中が常に弱酸性ないし中性に保たれていれば、虫歯にはならない。口臭も防ぐなどさまざまなメリットがある。
どうすれば、唾液の分泌をふやすことができるか。
まず、朝起きたら食事の前にコップ1杯、水を飲む。日中もこまめに水を飲み、口の乾燥を防ぐ。ガム(無糖)をかむのもよい。
唾液腺マッサージ(あごの下を両手の親指でやんわり押す。 唾液がじわっと湧けばOK)。
よく噛んで食べる。
噛めば噛むほど唾液が分泌される。食事中のお茶や水はなるべく少なめに──。
お茶や水で食べ物を流し込むと唾液の分泌がへる。
そして歯みがきは、食後30分ぐらいたってから──。
歯ブラシだけでなくデンタルフロスや歯間ブラシなどを使い、洗口剤でゆすげばさらに効果的だ。
それでも、歯と歯ぐきの間の溝(歯周ポケット)にたまったプラークを完全に除去するのは難しい。
3カ月に1度、歯科で歯石を除去してもらえば万全だ。
虫歯と歯みがき
虫歯と歯槽膿漏を防ぐ最上の方法、それは毎食後の歯みがきの励行です。食べたらみがく!
これさえ忘れなかったら、虫歯にも歯槽膿漏にもなりません。(「歯槽膿漏を歯みがきで治す名医」=『壮快』1979年6月号)
──と、話した人は石川純・北海道大学歯学部教授(当時)。聞いて、記事をつくったライターは、不肖マルヤマであります。
1979年といえば、そのころ子どもだった人や、あるいは、まだ生まれてもいなかった人が、いまは父となり、母となり、子どもに歯みがきを教えたりもしているだろう。
時代がすっかり変わってしまったそんな昔の話を思い出したのは、最近、「食後すぐ歯みがきをすると虫歯になる」という“都市伝説”が広まっていると聞いたからだ。
そんなバカな!
虫歯や歯周病(歯槽膿漏)の原因は歯垢(プラーク)であり、その歯垢を除く最も手早い方法が食後の歯みがきであるのは、医学の常識ではないか。
それはそうなのだが、虫歯の直接的な原因は、プラークのなかの細菌(虫歯菌)が、糖を分解して酸を産生し、その酸が歯を溶かすことである。
早くいえば、虫歯は口の中が酸性になるためにできる。
酸性とかアルカリ性とかは、pH(ペーハー)という単位で表される。
pHが7以上ならアルカリ性、7は中性、7未満は酸性だ。
食事や間食で糖分を摂取すると、口の中が酸性に傾き、pHが5.5以下になると、歯を溶かし始める。これを脱灰という。
だが、それは一時的なことで、酸を中和する唾液の作用で、口の中のpHは徐々に中性に戻り、pHが5.6以上になると、溶かされた歯が修復される。
再石灰化と呼ばれる現象である。唾液には再石灰化を進めるミネラルも含まれている。
食事中はもとより食後しばらくは、唾液がたくさん分泌される。
が、食後すぐ歯みがきすると、せっかく大量に分泌された唾液を洗い流してしまうことになる。
酸の中和が妨げられ、口の中の酸性状態が長くつづき、虫歯になりやすい。
──というのが、「食後すぐの歯みがき、虫歯のもと」説の根拠である。
唾液は弱アルカリ性だから、唾液がたくさん出て酸を中和し、口の中が常に弱酸性ないし中性に保たれていれば、虫歯にはならない。口臭も防ぐなどさまざまなメリットがある。
どうすれば、唾液の分泌をふやすことができるか。
まず、朝起きたら食事の前にコップ1杯、水を飲む。日中もこまめに水を飲み、口の乾燥を防ぐ。ガム(無糖)をかむのもよい。
唾液腺マッサージ(あごの下を両手の親指でやんわり押す。 唾液がじわっと湧けばOK)。
よく噛んで食べる。
噛めば噛むほど唾液が分泌される。食事中のお茶や水はなるべく少なめに──。
お茶や水で食べ物を流し込むと唾液の分泌がへる。
そして歯みがきは、食後30分ぐらいたってから──。
歯ブラシだけでなくデンタルフロスや歯間ブラシなどを使い、洗口剤でゆすげばさらに効果的だ。
それでも、歯と歯ぐきの間の溝(歯周ポケット)にたまったプラークを完全に除去するのは難しい。
3カ月に1度、歯科で歯石を除去してもらえば万全だ。
コメント 0