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内耳とめまい [それ、ウソです]

 それ、ウソです(56) 

 内耳とめまい

 めまいを訴えて病院に来られる患者さんの約60%は回転性のめまいで、その原因の9割は内耳(蝸牛、三半規管、耳石器からなる耳の器官)です。(丸山寛之編著『名医が治す』=マキノ出版)

 今回も恥ずかしながら拙著のなかのウソである。

 内耳は、耳の最深部にある器官で、聴覚をつかさどる蝸牛(かぎゅう)と、平衡機能をつかさどる三半規管と耳石器がおさまっている。

 蝸牛は、めまいとは関係ない。

 上記の文だと、蝸牛もめまいにかかわっているかのようだ。

 三半規管は、その名のとおり、外側半規管、前半規管、後半規管の三つの半規管で成っている。

 耳石器には球形嚢(きゅうけいのう)と卵形嚢(らんけいのう)がある。

 かつては前庭器とも呼ばれたが、いまは三半規管と耳石器を合わせて、前庭器と呼ぶのがふつうである。

 三半規管は頭や体の「回転」を、耳石器は「傾き」を、感知する。

 前庭器のそうした情報は前庭神経によって脳へ伝えられる。

 ──というところで、めまいの話。

 めまいの症状を大別すると、周囲のものがぐるぐる回ったり、天井や壁が流れるように見えたりする「回転性めまい」と、頭や体がゆらゆらと揺れたり、足がふらついたり、立ちくらみしたりする「非回転性めまい」に分けられる。

 症状が激しいのは「回転性」だが、怖い病気が隠れている(約1割)のは「非回転性」のほうだ。

 回転性めまいでいちばん多いのは、「良性発作性頭位めまい症」だ。

 なでしこジャパンの澤穂希選手が、アルガリヴェ杯(2012年2~3月、ポルトガル)の遠征中に発症し、話題になっためまいが、これだ。

 めまいが起こるのは、上を向いたとき、下を向いたとき、寝返りを打ったとき、起き上がったとき……など、人それぞれ。頭の位置(頭位)が変わることで生じる。

 原因は、耳石器にくっついている耳石(石灰質の粒子)がはがれて、三半規管の中に入り込むためだ。

 三半規管の中は内リンパ液(ねっとりした特殊な液体)で満たされていて、頭が動くとリンパ液も動き、その流れの速度や方向などの情報が脳へ送られる。

 その中に耳石が入ると、頭を動かすたびに耳石が移動し、異常な情報を脳に伝えるので、めまいが起こる。

「良性─」の文字からもわかるように、命にかかわるような病気ではない。

 治療法は、頭を動かして、三半規管に入った耳石を元の場所に戻すという単純なものだが、きわめて効果的。澤選手の復帰がそのことを実証している。

 NHKTVの6月4日「あさイチ」のめまい特集で、良性発作性頭位めまい症を防ぎ・治す体操を紹介していた。

 まっすぐ仰向けに寝て─、

 1 右を向いて、10秒数える。

 2 まっすぐ上を向いて、10秒数える。

 3 左を向いて、10秒数える。

 これを10回繰り返す。

 1日2回、朝起きたとき、夜寝るときなど行う。ただし、首が痛かったりする人は無理に行わないこと。

 言うまでもないことだが、めまいの原因疾患はさまざま。

 受診は、めまい外来、耳鼻咽喉科、神経内科へ─。
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