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涙の勘違い [それ、ウソです]

 それ、ウソです(71) 

 涙の勘違い

 緑内障は視神経が傷ついて視野が狭くなる病気で、日本人の失明原因の1位だ。一般的に涙の排出ルートが詰まり、目の中の圧力(眼圧)が高くなって発症する。(「1分で知る豆医学 目[1]気づきにくい緑内障」=朝日新聞2012年12月25日)

 いえいえ、緑内障と「涙」はなぁーんも関係ありません。

 関係あるのは「房水(ぼうすい)」です。

 房水というのは、血管のない角膜や水晶体などに酸素と栄養を補給する、眼球内を流れる透明な液体である。

 房水は、水晶体を囲む毛様体でつくられ、後房(虹彩の後面)をうるおし、瞳孔を通って前房(虹彩の前面)に入り,虹彩(茶目)の根元と角膜(黒目)が接する部分の「隅角(ぐうかく)」からシュレム管を経て眼球外の血管に排出される。

 毛様体から分泌される房水の量(毎分約3μℓ=100万分ノ3ℓ)と、隅角から流れ出る房水の量が同じなら、眼球内には常に一定量の房水が流れて、一定の圧力(眼圧)が保たれる。

 正常眼圧の値は10~20mmHgである。

 ところが、なんらかの原因によって隅角からの房水の排出が妨げられると、眼圧が上昇し、視神経が障害されて、視野が狭くなり、視力が低下する。

 重症例では角膜がむくんで瞳が緑色に見える。緑内障という名のゆえんである。

 昔は青底翳(あおそこひ)と呼ばれた。

 一口に緑内障といっても、いくつか異なる種類がある。

 大別すると──、

 生まれつき隅角のつくりが不十分なための先天緑内障。

 ほかの目の病気や全身の病気、外傷、ステロイド剤の使い過ぎなどによる続発緑内障。

 原因不明の原発緑内障(緑内障の大半はこれ)──の三つ。

 続発と原発は、隅角がふさがってしまう「閉塞隅角緑内障」と、隅角はふさがってはいないが、フィルターが目詰まりしたような状態になる「開放隅角緑内障」に分かれる。

 急性タイプの閉塞隅角緑内障は、せき止められた房水の作用で眼圧が急激に上昇し、激しい頭痛、目の痛み、悪心(おしん)、嘔吐に襲われ、視力がたちまち低下する。

 眼科疾患のなかの超緊急のエマージェンシーである。

 開放隅角緑内障は、房水が排出されにくくなるため、眼圧がじわじわ上がり、視野がだんだん狭くなる。

 瞳の色はもちろん、痛みや充血といった症状も全くなしに進行する。

 気づいたときは失明寸前という人が、とても多い。

 そこで、緑内障の早期発見のためには定期的な眼圧検査が不可欠─といわれたが、それは昔の話。

 近年、眼圧は正常範囲にありながら、開放隅角緑内障と同じ変化が起こってくる「正常眼圧緑内障」があることがわかった。

 しかも日本人の緑内障では、それが約70%を占めるというのだから、厄介だ。

 眼圧検査だけでは緑内障は発見できない。

 視神経に異常がないかを調べる眼底検査が必要だ。

 しかし、高血圧や糖尿病など生活習慣病による変化を調べるための眼底の広い範囲を撮る眼底写真ではダメ。

 視神経がクローズアップされた写真でなければいけない。

 緑内障が始まるのは老眼が進む時期と重なる。

 老眼鏡を替えるたびに、眼科で眼鏡の処方箋を作ってもらい、併せて眼圧と眼底の検査も受けるというのはどうでしょう。

 発見が早いほど効果的に病気の進行を防ぐことができる。

 なお、上掲引用文のいう「涙の排出ルートが詰ま」る病気は、涙道狭窄・閉塞症である。

 涙腺でつくられて流れでた涙は、目全体に広がり、目頭にある涙点という孔から涙小管→涙嚢(るいのう)→鼻涙管(びるいかん)を通って、鼻に排出される。

 涙小管や鼻涙管が狭くなったり、ふさがったりして、涙が流れていかないため、たえず目がうるみ、涙があふれてくる。

 治療法はいくつかあり、わりあい簡単に治せる。
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