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ゆめ軽んずなかれ [それ、ウソです]

 それ、ウソです(81)   

 ゆめ軽んずなかれ

 われわれは夢を見ると睡眠が浅かったとか、夢みないでぐっすり眠りたいとかと言いますね。
 ところが、夢というのは必ず深い睡眠のあとに見る。
 夢を見ているということは、前に深い睡眠があるということです。(遠藤四郎・東京都精神医学研究所参事研究員の話=アップジョン文庫『ナポレオンの3時間』)

 えっ、そうかなあ? と首をかしげる人がけっこう多いのではないだろうか。

 だって、日中の仮眠や夜の寝入りばなの浅い眠りのなかでもちらっと夢をみることがあるじゃないですか。

 素人の実感的意見を言わせてもらうと、「必ず深い睡眠のあとに見る」というのは、必ずしも正しくないと思うのだ。

 ヒトの睡眠は、レム睡眠とノンレム睡眠に分けられる。

 レム(REM)睡眠のときは、閉じたまぶたの下で目玉がキョロキョロ動く急速眼球運動(Rapid Eye Movement)が現われる。

 で、英語の頭文字をとってそう呼ばれる。

 ノンレム睡眠(non-REM sleep)ではそれがみられない。

 レム睡眠は浅い眠り。

 意識水準は起きている状態に近く、脳は活発にはたらいている。

 しかし全身の筋肉が緩むため体は動かず、聴覚・触覚などの感覚機能も鈍くなっている。

 ノンレム睡眠は大脳が休む深い眠り。

 体は寝返りを打ったりするが、脳のはたらきは低下している。

 レム睡眠とノンレム睡眠は交互に現われる。

 1回の周期は約90分(その約20%がレム睡眠)。

 一晩に数回、これが繰り返され、最後のレム睡眠のあと目覚める。

 夢は、主にレム睡眠のときにみるが、ノンレム睡眠のときに現れることもある。

 ある実験の被験者たちはレム期に83%、ノンレム期に35%、夢をみた。

 レム睡眠のときの脳の活発な活動に伴う電気刺激が、脳のいろいろな部分にある記憶を勝手に引き出し、それが夢になると考えられている。

 人は、なぜ夢をみるのか?

 さまざまな仮説はあるが、完全に証明された定説はない。

 夢の科学的解明が難しいのは、夢を実験で再現する(客観的に観察する)ことができないからだ。

 読みかじったいくつかの仮説を乱暴にちぢめて、ご紹介する。

 夢をみるのは本能的な衝動を発散させるためである=フィッシャーの仮説。

 行動プログラムを脳がシュミレーションしているのが夢である=ジュペーの仮説。

 覚醒中に脳が処理した情報のうち、重要なものを再生し、記憶として固定するために夢をみる=ウインソンの仮説。

 不要な記憶を脳が処理する過程で、消去された情報が素材となって夢ができる=クリックとミッチソンの仮説。

 レム睡眠中に脳幹から無作為に出た神経信号が、大脳に伝わり発生したイメージがつなぎ合わされたものが、夢である=ホプソンとマッカリーの仮説。

 偶発的な視覚映像から生じた連想の記憶情報が、夢の資源となる=大熊の仮説。

 ちなみに、「夢をいつみるか?」の実験を行ったのも、大熊輝雄・東北大教授(のち国立精神・神経センター総長)らである。

「仮説はいずれもそれなりの根拠がある。すべてうそでもないし、すべて本当でもない」というのが夢理論の結論になるようだ。

 ところで、「夢」という語は、

 ①はかないもの、②空想的な願望、に対して、③将来実現したい願い─の比喩的表現としても用いられる。

 英語のドリーム、ドイツ語のトラオム、フランス語のレーヴなども同じであるようだ。

 ③の意味の夢については、古今東西、じつに多くのさまざまな名言が残されている。

 その一つ─。

 どうすれば夢を実現することができますかとよく人から聞かれる。

 自分でやってみることだと私は答えている。=ウォルト・ディズニー
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