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トッピー雑談 [雑感小文]

 いささかならぬ旧聞だが──。

 鹿児島県大隅半島・佐多岬の沖で、屋久島行きの高速船「トッピー1」(164トン、乗員乗客189人)が、  クジラとみられる物体と衝突、

 乗員乗客5人が重軽傷を負い(1等機関士の中原秀一さんが肋骨骨折の重傷、乗員2人と乗客2人が腰などを打つ軽傷)、

 船前方の水中翼が破損し、自力航行ができなくなるということがあった。

 数年前にもやはり種子島・屋久島行きの高速船(今回とは別の船「トッピー4」)が、クジラ?と衝突した。

「トッピー」とは、種子島の方言でトビウオのことだ。

 なぜか同じ鹿児島県でも、種子島のことばは、ほかの地域とははなはだしく異なる。

 たとえば

 Where are you going? が、

 鹿児島では、

 おまんさあ どけおじゃすか?

 屋久島では、

 わー どけ行っとか?

 種子島では、

 おぜ どけ行くちゅう?

 ──といったあんばい。

 口でしゃべるのを聞き比べると、まったく異質なアクセントとイントネーションの違いがハッキリわかるのだが──。

(注=おまんさあ、わー、おぜの複数形は、おまんさたっ、わんだぁ、おぜなんだぁ、となる)

 隣り合う島どうしなのに、屋久島弁のひびきは粗くて骨っぽい感じだが、種子島弁の抑揚は優しく音楽的である。

 トビウオにしても、鹿児島語だとトッビオ、屋久島語ではトビオ、高速水中翼船のイメージに合わない。

 トッピーだとピッタリだ。

<鯨法会(ほうえ)は春のくれ、

 海に飛魚とれるころ。>

 ──は、金子みすずの詩だが、魚ならぬ船のトッピーにぶつかられたのでは、クジラも無事ではすむまい。

 衝突現場の海面には血のようなものが広く浮いたという。

 クジラ、大丈夫だったか?

 痛かっただろうなあ。

<浜のお寺で鳴る鐘が、

 ゆれて水面をわたるとき、

 ──略──

 沖で鯨の子がひとり、

 その鳴る鐘をききながら、

 死んだ父さま、母さまを、

 こいし、こいしと泣いてます。>

「飛魚」は夏の季語。

 山本健吉『新俳句歳時記』(光文社)には、

「五月ごろ浅海に来て、海藻の多いところに産卵し、終れば深海に去る」

「東京では<とびの魚>と言い、また<とびいお・とびお・つばめ魚・とびら・あご>など、異称が多い」
 
──とある。

 和歌山県串本でも種子島同様トッピーと呼ぶらしい。

 トビウオは,サバとならぶ屋久島の二大漁獲産物。

 サバに比べると、味は淡白。

 小骨が多くて、刺し身には不向き。

 すりみの「搗け揚げ」(さつま揚げ)はうまい。

 干物は、めしにも、酒にも合う。

 脂質は少なく、たんぱく質は牛もも肉や豚もも肉並み。

 鉄分、カルシウム、セレン、ビタミンB2、Eなども豊富だ。
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