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色の心理的効果 [雑感小文]

色の心理的効果

 ずいぶん以前の話。

 忠犬ハチ公をモデルにした米映画「ハチ」を見ていたら、カラーの画面がときどきモノトーンに変わった。

 犬の目には外界はそんなふうに映るらしい。

 哺乳類で色を見ることができるのは人間だけだ。

 猿は色は感じるが、人間のように見ることはできない。

 闘牛の牛もわずかに赤を感じるだけ。

 犬や猫は白と黒──つまり明暗を区別する感覚しかない。

 人間も生まれたては明るさしか感じない。

 6カ月から色を感じ始めて、2歳ごろ色の感覚が完全になる。

 人は、色によって感覚や気持ちが変わる。

 色彩心理研究家の末永蒼生さんが、テーブルクロスと照明を変えて行った会食実験では、赤のテーブルクロスと照明で食べた人は食欲が進み、黄色は会話がはずんだが、青は食欲も会話もいまひとつだった。

 「元気になれる色は、赤やオレンジ、黄色」だそうだ。

 田口泖三郎著『色彩学』所収の「タグチ12色相の心理的効果」には、

 黄色は「光明、希望」 

 黄緑は「暖かく包む、若さ、慰安」

 緑は「平和、安息」 

 青緑は「冷淡、理知」 

 青は「冷静、冷徹、深遠」 

 オレンジは「活力、元気」 

 赤は「情熱、血、力、残忍」

 紫は「中性、高貴、優艶」…などとある。

 赤と紫は、地球上で一番あでやかな色。

 ほかのどんな色も、あでやかさでは赤と紫にはかなわない。

 紫の表に裏赤の着物を描いた最初の浮世絵師は鈴木春信だが、喜多川歌麿も、蚊帳の中から出てくる美女に、この色の着物を着せている。

 浮世絵や歌舞伎の衣装の色彩感覚、配色はじつに素晴らしい。

 現代色彩学に照らしてもピッタリだ。

 田口博士はそう話した。 

 ちなみに、警察庁に頼まれて、警官の冬の制服の色と材質を決めた人が田口博士。

 モチーフは「警官の顔がりりしく見えるように……」だったそう。
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