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早期治療の限界 [それ、ウソです]

  それ、ウソです(90)   

 早期治療の限界

 症状が出た場合の治療には、スギ花粉症と同じ抗ヒスタミン薬などの飲み薬や人によっては鼻にスプレーをするステロイド薬などが使われる。症状がひどくなる前の早期治療で症状を緩和すれば、翌年の症状も強くならない。(「体とこころの通信簿 秋の花粉症」=朝日新聞2012年9月10日)
 秋にも花粉症がある。

それの予防と治療について解説した記事の結末の一節だが、

「早期治療で症状を緩和すれば、翌年の症状も強くならない」は、ウソだ。

対症療法の効果がそんなに長く続くわけがない。

花粉症の予防・治療法は、

①抗原の回避・除去

②薬物治療

③手術的療法

④減感作療法─の四つ。

①は抗原(花粉)の防御。

マスク、めがねを用い、花粉が体内に入るのを防ぐ。外出から戻ったら玄関先で帽子や衣服についた花粉を払い落とし、目、鼻、手を洗い、うがいをする。

②には予防薬と対症薬がある。

予防薬(抗アレルギー薬)は毎日服用して1~2週間後から効果が出てくる。

そろそろ花粉の飛散が始まると予測されるころ飲み始めると、発症が予防できる。

完全な予防はできなくても症状を軽くすることができる。

症状を抑える対症薬には、飲み薬(抗ヒスタミン薬),点鼻薬(局所性ステロイド薬)、点眼薬(抗ヒスタミン薬、局所性ステロイド薬)がある。

③は、鼻の粘膜をレーザーで薄く焼くか、切除する方法。

花粉の飛散が始まる前にこれをやっておけば、そのシーズンの発症はほぼ完全に防げる。

④は、微量の抗原エキスを注射し、体を慣らしていく方法。

最初の8ヵ月ないし10ヵ月までは毎週1回、そのあと3ヵ月は2週間に1回、さらにそのあとの3ヵ月は3週間に1回と回数をへらしていき、5、6年目からは3~4ヵ月に1回…。これを10年やれば9割の人が花粉症と手を切ることができる。

④に類する最新の治療法が「舌下免疫療法」。

スギ花粉のエキスを口内に少量から計画的に投与して、体をアレルギーの原因物質(アレルゲン)に慣らすことで症状を和らげる。

1日1回、液状の薬を口に含んで飲み込む。

治療期間は3~5年で、基本的に自宅での治療が可能。

治療薬は2014年10月に発売され、12歳以上で保険適用となった。

 ─というわけで、前掲記事の「症状がひどくなる前の早期治療」が、②の薬物治療を指しているのは言うまでもない。

 しかし、その効果が及ぶのはそのシーズン中のみであり、もう一度言うが、「翌年の症状も強くならない」なんてことは、あり得ない。

 秋の花粉症は、風邪と間違われやすい。

 このごろ、くしゃみ、鼻水、よく出るな。朝晩の冷えのせい? と思っているあなた、それ、もしかしたら、花粉症かもしれないヨ。

 風邪と花粉症の見分け方は─、

 風邪だったら2~3日すると色のついた粘り気のある鼻水に変わる。

 水っぽい透明な鼻水が3日以上も続き、目がかゆく、晴れた日にはくしゃみ連発…というような場合は、花粉症の疑いが大きい。

 秋の花粉症の原因植物は、ブタクサ、ヨモギ、セイタカアワダチソウ、コスモス、ススキなど。花の咲く位置が低いから花粉はそれほど遠くへは飛ばない。

 そのうえ夏の日照りが長く続くと枯れる草も多く、花粉は減る。

 一方、気をつけなければいけないのは、スギ花粉症の季節はずれの発症だ。

 猛暑の夏のあとは、10月から11月にかけて杉の木の花が一部開花する「狂い咲き」がある。

 今夏の全国的炎暑延々はハンパじゃなかったし、スギ花粉は遠くの空からふってくる。

 この秋は、ブタクサなどよりスギ花粉症のほうが一大事になりかねない。

 気がかりな人は、早めに耳鼻咽喉科へ─。

 いまは、眠くならない、作業効率も落ちない、いい薬が出ている。
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