SSブログ

かゆみの医学=1 [医学・医療・雑感小文]

老人性皮膚掻痒症

〈老人になると体が痒(かゆ)くなる〉 聞いたときからかゆくてならぬ   諏訪部 仁

一読、思わず声を発して笑った。

大岡信『新折々のうた7』(岩波新書)所収の「一種の笑いの歌」(大岡氏)である。

つづいてもう一首、江戸中期の俳人、横井也有作とされる「老人六歌仙」から──。

身にそうは頭巾(ずきん)襟巻き 杖(つえ)たんぽ 温石(おんじゃく)しびん孫の手

たんぽは、湯たんぽ。

温石は、焼いた軽石を布でくるんだ懐炉。

孫の手は、言うまでもなく、かゆい体をもつ人必携の道具だ。

70歳以上では半数以上の人が、体のかゆみに悩まされているという。

なぜか?

「一言でいえば、皮膚の老化現象です。

皮膚にかゆみだけがあって、発疹などの病変はなにも認められない状態を、皮膚掻痒(そうよう)症といいますが、それがお年寄りに起こったものを、老人性皮膚掻痒症と呼んでいます。

原因は皮膚の乾燥です」

と、諸橋正昭・富山大学医学部名誉教授(皮膚科)。

健常な皮膚には、しっとりと潤いを保つ機能が備わっているが、年を取ると、その機能が低下してくる

皮膚の表面(表皮)の角質層から水分が失われ、皮膚がカサカサに乾いてくる。

老人の皮膚の角質水分量は、若い人の半分もない。

すると、体の外からの刺激にとても敏感になる。

普通の人の半分以下の弱い刺激でもかゆみを感じる

症状が現れやすいのは、背中や腹、腕、脚などで、特に冬には強くなる。

「冬期掻痒症」とも呼ばれる。

当方もご多聞にもれず、足首からすねの辺がかゆくなり、かき始めると止まらない。

さて、どうしたものか?

皮膚の脂─保湿成分が足りないのだから保湿剤を用いればよいと、諸橋正昭先生

保湿剤には、A=軟膏、B=クリーム、C=ローションと三つのタイプがある。
Aは、皮膚を保護する効果が高く、皮膚を刺激することも少ないが、難点はべたつきが強いことだ

Bは、皮膚への浸透性が高く、成分によっては刺激性があるので、ジクジクして赤くただれているようなところには向かない。

Cは、皮膚に対する浸透性も高く、さらっとしているので使いやすいが、効果はAやBより落ちる。

肌荒れがひどい場合は、まずAで症状を改善させてから、BやCに切り替えるのも一法だと、諸橋先生。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:健康

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。