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春が来た! 元気出そう! [雑感小文]

平成養生訓17

春が来た! 元気出そう!

春が来ました。ようやく春が来ました。

今年の冬は本当に寒い寒い冬でした。

ひどい冬でした。

各地で豪雪の被害が発生、百人を超える人が雪に埋もれて亡くなりました。

「雪月花の時、最も友を思ふ」とは、小説『雪国』の作家が、ノーベル文学賞受賞記念講演のなかに引いた詩語ですが、現実の雪国の雪はそのような美なる雪、風雅な雪ではありません。

「雪地獄父祖の地なれば住みにけり」という重い桎梏(しっこく)の雪です。

春よ、来い。早く、来い。

念じるようにそう思い、あの年の冬もそうだったと思い出しました。

11年前、阪神・淡路大震災ただなかの冬も、なにか絶望的に長い長い冬でした。

灰燼(かいじん)と帰した街に冷たい氷雨が何日もふり、きびしい冷え込みのゆるむことのない夜が続きました。

被災地の人びとへ同情の思いをはせながら、強く立ち上がる人びとの姿に、かえって自分のほうが力づけられ、生きる意欲を与えられたことを憶えています。


 泣きながら 「元気元気」と神戸っ子(智津子)

 生きていこうね きっと いいことあるはずだから(依子)


神戸に住み、惨禍(さんか)をわが身に体験した時実新子さん主宰の『川柳大学』で見つけた句です。

この春も、あの年の春と同じように巡ってきた春の喜びを、ひとしお強く感じます。

春。

草木の芽が「張る」意、また、田畑を「墾(は)る」、気候の「晴る」意─と『広辞苑』は記述し、

『大言海』には「万物発(は)ル候」とあります。

英語の春の「スプリング」には「跳躍」「バネ」「泉」などの意味があり、フランス語の春の「プランタン」は、ラテン語の「最初の季節」が語源だそうです。

陽の光が戻り、自然が再生する春は、入学、入社、異動・転勤など、人の生活が変わる─人事新生の季節でもあります。

百花繚乱(ひゃっかりょうらん)、人生の花もいろいろに咲く季節です。

が、半面、なぜか心が暗く沈みがちな人がいます。

気分が滅入る。体がだるい。眠れない。食欲がない。

憂うつな気分といらだちが混じり合って気持ちが落ち着かない……のです。

新しい環境に適応できず、体や心の変調を訴える人もいます。

春先に精神のバランスが崩れやすいのは、気温の上昇とともに脳の中の神経伝達物質が減るためといわれます。

それに加えて、環境の変化が心のひずみ(ストレス)をつくりやすいということもあるのでしょう。

そうした人には、めまいや立ちくらみ、低血圧、貧血ぎみ、胃腸が弱いなど、もともと自律神経の不安定な人が多いようだと指摘する専門医もいます。

自律神経が不安定だと、いわゆる木の芽どきの自然環境の変化に順応しづらい。

言い換えると、神経すなわち体のひ弱さが心の弱さにつながりやすい……というのです。

「病は気から」という古言が見事に言い当てているように、人間の心と体は分かちがたく結びついています。

心は体に影響を与え、体は心に影響を与えます。詳しい説明は略しますが、心と体は、エモーショナル・サーキット(情緒の回路)というしくみによって直結しているので、気力が充実しているときは体の調子も上々で、気力が衰えると体調も低下します。

精神的に高揚した状態にあるときは、リンパ球の働きが活発になるので、体の免疫力が高まり病気にかかりにくい。

このとき脳内では〝ハピネス(幸福)ホルモン〟のベータエンドルフィンが分泌されますが、この脳内物質も生体の防御免疫力を高めることがわかっています。

幸福な人がいきいきと元気なのはそのためです。

心の幸福感が健康な体をつくっているのです。さらに言えば、心のもちようで体のありようが変わることもあるのです。

だから元気出しましょう。

笑いましょう。

笑えば元気が出ます。

(株)心美寿有夢のPR誌『絆』19号=2006年3月発行=より再録
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