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嚙めや、嚙め、嚙め・・・ [「ヘルシーエッセイ」再録]

「One's Life」という健康総合ニュースサイトの片隅の小さな欄に毎週1本、「健康常識ウソホント」というタイトルの拙文を寄稿している。
そこへさらに「ヘルシーエッセイ」なる短文を追加することになった。
だが、こちらは30年以上も前に書いた旧稿の再利用である。
なんだかずいぶん無精なことをしますが、それをさらにここへ再々録させてもらいます

ヘルシーエッセイ(12)

嚙めや、嚙め、嚙め・・・

いや、どうも“人のウワサも一週間”の当節に、バカに古い話で気が引けますが、昨秋、日本シリーズの第3戦の翌日の新聞に、次のような小さな記事が載っていた。

『1、2戦とふるわなかったテリーが、6回に逆転本塁打。

復調の理由が“素振りとガム”。

宿泊先のホテルはダブルの部屋だが、前の晩ツインの広い部屋に変えてもらい、硬くなったからだをほぐすためにバットをブンブン。

広岡監督から、「気分転換にガムでもかんで試合に出ろ」と言われ、心身ともにリラックスしたところで一発が出た。』(朝日新聞11月1日朝刊)

しかし、その貴重な一打も、9回裏2死からの巨人の逆転サヨナラ劇でフイになったわけだが、それはともかく、あのテリーのガムには、科学的にみても何か意味があったのか、というのが今回のテーマである。

大阪医大眼科の山地良一講師によれば、野球選手が試合中にガムを嚙むのは、眼の調節機能に効果的に作用するので、結構なことだそうだ。

物を嚙む動作のことをチューイングというが、このチューイングのときのあごの運動、あごの骨についている筋肉(骨格筋)の動きが、大脳を刺激して、大脳からの信号が目に送られ、目の前の変化に素早く対応できる態勢がつくられる。

つまり、ガムを嚙みながらバッターボックスに入ったり、守備についたりしていると、反射神経の働きがよくなってバッティングやグラブさばきにいい影響を与えるというのだ。

同じようなことは、車の運転のときに噛むガムについてもいわれている。

5年ほど前のことになるが、交通医学研究財団の研究チームは、車の運転をしながらのガム・チューイングが居眠り防止に役立つことを実験的に証明した。

ガムを嚙むことによる、咬筋という筋肉の動きが大脳に覚醒刺激として働くため、眠気が防ぐのだという。

筋肉の中にも筋紡錘と呼ばれる、2~2.5㍉の大きさは感覚器がたくさんあって、筋肉の働きや動きを克明に大脳に伝える作用をしている。大脳はその刺激を付けて、目覚め、さえてくる。

この筋紡錘は、口のまわりの筋肉や咬筋、手足の筋肉中にとくに多く分布しているから、物をよく噛んだり手足をよく動かしたりすると、大脳が効果的に刺激されて生き生きと目覚める。

物をよく噛み、よく口を動かすことによるこの大脳刺激は。単に居眠り防止に効果的なだけでなく、脳の老化防止にも役立つ―という。

物をよく噛むことの効用は、これだけではない。

物をよく噛むと、唾液の分泌がふえる。その唾液がいかに多くの有益な作用をしているか、ちょっとはかり知れないくらいだ。

唾液には約10種類の酵素、数種類のビタミンやアミノ酸、そしてパロチンというホルモンが含まれている。

それらのさまざまな成分の働きの主なものをみてみると、まず、アミラーゼという酵素は、炭水化物(糖分やでんぷん)の消化を助ける。

カタラーゼ、ペルオキシターゼという酵素には強い毒消し作用があり、おそらく、そうした成分の働きによるものと考えられるが、唾液には発がん物質の毒性を消す作用があることがわかっている。
だから、よく噛めば制ガン効果につながるわけで、今日、がんがふえているのは、現代人には“噛む習慣”が薄れてきたからではないか、という学者もいる。

パロチンが老化を防ぐホルモンであるのは、いまや周知の事実であるから、ものをよく噛むのは若返りにも通じることになる。

また、よく噛んで食べると、食べ過ぎを抑えて、肥満防止に役立つし、唾液の効用もまだいろいろとある。

とにかく、ガムでもスルメでもタクアンでも、食物はなんであれ、よくよく噛んで食べるようにしたいものである。

親のスネ以外のものは・・・。
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