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人の一生に不可欠の栄養素 [医学・医療・雑感小文]

脳を守るビタミン

月遅れの話題で恐縮─。

4月3日は「葉酸の日」だった。

メタボ人間だらけのアメリカで、脳卒中死亡が激減したのは、

「葉酸を穀類に添加する制度を10年前から始めた成果です」と香川靖雄・女子栄養大学教授(自治医大名誉教授=生化学)。

日本では二分脊椎症(にぶんせきついしょう=胎児の発育過程で脊椎の融合が完全に行われず、一部開いたままの状態)予防のため、妊婦に葉酸摂取が勧められるほかは、葉酸に対する社会的関心は至って低い。

葉酸はビタミンB群の一種。

文字通り野菜の葉に多く含まれる。

欠乏すると悪性貧血を起こすことは知られていたが、近年の疫学調査で、葉酸欠乏は、脳梗塞(こうそく)や認知症を起こしやすいこともわかった。

大腸がんにかかりやすいという研究もあり、葉酸強化後の米国では大腸がんが180%減っている。

おなかの中の子からお年寄りまで、人の一生に不可欠の栄養素といえる。

「葉酸は血管と脳を守るビタミンです。日本も欧米のように食品に葉酸を添加すべきでしょう」


 二分脊椎症

「葉酸と母子の健康を考える会」(発起人=大井静雄・東京慈恵医大教授)のメディアセミナーで、胎児の生育に欠かせない葉酸の役割を聞いた。

とりわけ近年増えている胎児の二分脊椎(せきつい)症の発症リスクを下げる効果が大きいという。

二分脊椎症とは、生まれつき脊椎の融合が完全に行われず、一部開いたままの状態にあること。

脳からの命令を伝える神経の束(脊髄)が形成不全を起こし、さまざまな神経の障害を生じる。

主に腰椎(ようつい)、仙椎から下の運動機能と知覚がまひしたり、脳に異常が生じたり、膀胱(ぼうこう)や直腸の機能にも影響を及ぼすことがある。

治療には脳神経外科、小児科、小児外科、泌尿器科、整形外科、リハビリテーション科などの共同チーム医療が必要。

将来は教育、就職、結婚など総合的なケアが必要になる。

欧米では葉酸摂取の政策が進められ、二分脊椎症の発症率が著しく低下した。

だが、日本では葉酸についての情報提供が乏しく、摂取どころか認知すら十分にされていない。


葉酸調査

葉酸は、胎児の生育に非常に大切な役割を果たす栄養素。

厚生労働省は2000年に、妊娠可能な女性に対して葉酸の摂取を呼びかけ、02年度からの母子手帳にはその必要性が記載されている。

だが、「葉酸と母子の健康を考える会」が、07年3月に行った調査では、未婚・既婚の女性(20代~40代)で、葉酸を知っていた人は未婚女性40%、既婚女性54%。葉酸の有用性は78%が「知らない」、有用な時期は85%が「わからない」というお寒い状況だった。

同じ調査は、医療関係者(産婦人科系医師、助産師・看護師、産婦人科系以外の医師、看護師)に対しても行われた。

葉酸の認知率は91%と高かったが、具体的な働きについては28%が「知らない」、母子手帳への記載も47%が「知らない」。

患者に摂取を勧めているのは、産婦人科で55%、全体では36%だった。同会は4月3日を「葉酸の日」として、啓発活動を展開している。

葉酸は、ビタミンB群の一種、緑の野菜や果実類、レバー類などに多く含まれている。
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