森へ行こう! ニッポン! [雑感小文]
平成養生訓(21)
森へ行こう! ニッポン!
♪森へ行きましょう
♪娘さん アハハ
♪鳥が鳴く アハハ
♪あの森へ
昔むかし、「うたごえ運動」というのでおぼえたポーランド民謡です。
ご存じのかたも多いでしょうが、歌はこのあと、若者らは木を伐(き)り、乙女らは草を刈り、昼は車座になって楽しく弁当を食べ、仕事がすんだら、花の咲く草原で手を組んで元気よく歌い、踊ろうよ…と続きます。
いいなぁ! いい青春だなぁと思います。
─というわけで、今回のテーマは森林浴です。
娘さんはもちろんのこと、おじいさんも、おばぁさんも、元気出して、森へ行きましょう。アハハ。
森の中に満ちる緑と樹木の香りは、心を落ち着かせ、頭や気分をスッキリさせてくれます。
心身の疲れが癒されます。
しかし、そのことを科学的に証明した研究はほとんどありませんでした。
そこで2004年、林野庁は厚生労働省の協力も得て「森林セラピー研究会」を立ち上げ、森林の癒しの効果について、本格的な解明を始めました。
その報告書「森林の健康と癒し効果に関する科学的実証調査」を見てみましょう。
お疲れサラリーマン12人(大手企業の男性社員=35~56歳)の実験は、1日目は雑木林を2時間、2日目はブナ林とスギ林に囲まれた遊歩道を2時間、散策しました。
そして2日目と3日目に採血検査をし、ふだんの状態と比べたところ、がん細胞を破壊するNK(ナチュラル・キラー)細胞の元気度を示す「NK活性」が、2日目は平均27%、3日目は同53%上がりました。
血液中のNK細胞の数や、NK細胞が出す抗がんたんぱく質も増えていました。
NK細胞の機能が高まれば、抗がん能力は高まると考えられています。
しかも、そのNK細胞の活性は1週間後も45%、1ヵ月後も23%高く、森林浴の免疫能を高める効果には持続性があることがわかりました。
20代の男女20人が、市街地の道路を2・1㌔歩いたときと、森林内を同じ距離を歩いたときの前後の状態を比較した実験では、NK細胞の活性度は、市街地では変わらなかったが、森林では37~44%上がりました。
また、「ストレスホルモン」といわれるコルチゾールの量が、森林では17%減りました。
快晴の夏の午後、10人の女性が、森林公園の中の道を2時間歩いたときと、1週間後の同時刻にその公園の外周の樹木のない道を2時間歩いたときの比較実験では、森林内では10人の最大血圧の平均値が16.9㍉下がりましたが、森林外ではほとんど変化が認められませんでした。
こうした森林浴の健康効果の主な要因は、樹木の葉や幹から発散される芳香性物質のフィトンチッド、緑、そして風や水のせせらぎなどの自然界の音─と考えられています。
フィトンチッドとは、植物が大気中や地中に放出する殺菌・殺虫効果のある化学物質で、清涼感のある香りを発します。アロマテラピーに使われる精油もこれの一種です。
樹木の緑には脳の興奮を鎮める働きがあり、目を休ませる効果もあります。
木々の枝葉が風に揺れる音、鳥のさえずりや虫の鳴き声、水の流れる音、落ち葉を踏む音など「1/fのゆらぎ」と呼ばれる現象は、人の脳波をゆったりした気分にするα波という状態に導きます。
さらに、森の中の道は、ふだん歩いている硬い地面とは違って、でこぼこしてうねうねと曲がり、傾斜もついています。
着地時に感じる足の裏の刺激で、脳が活性化します。
フィトンチッドの主な成分テルペン類の濃度は、季節的には5~6月、1日のうちでは昼過ぎに最高値に達するそうです。
日本の国土の3分の2は森林です。
少し足を延ばせば、森はすぐそこにあります。
森へ行こう! ニッポン!
<(株)心美寿有夢のPR誌『絆』23号=2007年8月発行=より再録>
森へ行こう! ニッポン!
♪森へ行きましょう
♪娘さん アハハ
♪鳥が鳴く アハハ
♪あの森へ
昔むかし、「うたごえ運動」というのでおぼえたポーランド民謡です。
ご存じのかたも多いでしょうが、歌はこのあと、若者らは木を伐(き)り、乙女らは草を刈り、昼は車座になって楽しく弁当を食べ、仕事がすんだら、花の咲く草原で手を組んで元気よく歌い、踊ろうよ…と続きます。
いいなぁ! いい青春だなぁと思います。
─というわけで、今回のテーマは森林浴です。
娘さんはもちろんのこと、おじいさんも、おばぁさんも、元気出して、森へ行きましょう。アハハ。
森の中に満ちる緑と樹木の香りは、心を落ち着かせ、頭や気分をスッキリさせてくれます。
心身の疲れが癒されます。
しかし、そのことを科学的に証明した研究はほとんどありませんでした。
そこで2004年、林野庁は厚生労働省の協力も得て「森林セラピー研究会」を立ち上げ、森林の癒しの効果について、本格的な解明を始めました。
その報告書「森林の健康と癒し効果に関する科学的実証調査」を見てみましょう。
お疲れサラリーマン12人(大手企業の男性社員=35~56歳)の実験は、1日目は雑木林を2時間、2日目はブナ林とスギ林に囲まれた遊歩道を2時間、散策しました。
そして2日目と3日目に採血検査をし、ふだんの状態と比べたところ、がん細胞を破壊するNK(ナチュラル・キラー)細胞の元気度を示す「NK活性」が、2日目は平均27%、3日目は同53%上がりました。
血液中のNK細胞の数や、NK細胞が出す抗がんたんぱく質も増えていました。
NK細胞の機能が高まれば、抗がん能力は高まると考えられています。
しかも、そのNK細胞の活性は1週間後も45%、1ヵ月後も23%高く、森林浴の免疫能を高める効果には持続性があることがわかりました。
20代の男女20人が、市街地の道路を2・1㌔歩いたときと、森林内を同じ距離を歩いたときの前後の状態を比較した実験では、NK細胞の活性度は、市街地では変わらなかったが、森林では37~44%上がりました。
また、「ストレスホルモン」といわれるコルチゾールの量が、森林では17%減りました。
快晴の夏の午後、10人の女性が、森林公園の中の道を2時間歩いたときと、1週間後の同時刻にその公園の外周の樹木のない道を2時間歩いたときの比較実験では、森林内では10人の最大血圧の平均値が16.9㍉下がりましたが、森林外ではほとんど変化が認められませんでした。
こうした森林浴の健康効果の主な要因は、樹木の葉や幹から発散される芳香性物質のフィトンチッド、緑、そして風や水のせせらぎなどの自然界の音─と考えられています。
フィトンチッドとは、植物が大気中や地中に放出する殺菌・殺虫効果のある化学物質で、清涼感のある香りを発します。アロマテラピーに使われる精油もこれの一種です。
樹木の緑には脳の興奮を鎮める働きがあり、目を休ませる効果もあります。
木々の枝葉が風に揺れる音、鳥のさえずりや虫の鳴き声、水の流れる音、落ち葉を踏む音など「1/fのゆらぎ」と呼ばれる現象は、人の脳波をゆったりした気分にするα波という状態に導きます。
さらに、森の中の道は、ふだん歩いている硬い地面とは違って、でこぼこしてうねうねと曲がり、傾斜もついています。
着地時に感じる足の裏の刺激で、脳が活性化します。
フィトンチッドの主な成分テルペン類の濃度は、季節的には5~6月、1日のうちでは昼過ぎに最高値に達するそうです。
日本の国土の3分の2は森林です。
少し足を延ばせば、森はすぐそこにあります。
森へ行こう! ニッポン!
<(株)心美寿有夢のPR誌『絆』23号=2007年8月発行=より再録>
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