薬効を高める [医学・医療・雑感小文]
薬効のバラツキ
このごろ「パーキンソン病」という病名を見聞きすることが、ずいぶん多くなった。
患者がふえているからだろう。
国の特定疾患(難病)の中で最も患者数の多い一つだ。
脳内でドーパミンという神経伝達物質を作る細胞が壊れ、体を動かす運動発現がうまくいかなくなる病気だ。
発症年齢のピークは50~60代。
完治できる治療法はまだない。
薬をいかにうまく服用し、症状をよりよくコントロールしていくかが、養生のポイントだ。
しかし、薬の効果には個人差があり、日によって効き方にバラツキが出ることも少なくない。
「個人差が生まれる最も大きな要素は、血中濃度の差です」と野元正弘・愛媛大学医学部教授(神経内科)。
口からのんだ薬は、胃で溶けて、腸に送られ、血液に吸収され、血流に乗り、薬が作用する場所にたどり着いて、効果が発揮される。
が、人によって血液に吸収される量が違い、効果の個人差となって現れる。
同じ薬を10人に服用してもらい、血中濃度を調べたところ、最も多い人と少ない人では4倍も違ったという。
服薬のコツ
「薬の効きをよくするには、まずしっかりと腸や血液に吸収させることです」
と、野元正弘・愛媛大学医学部教授。
それにはどうしたらよいか。
「一つは、〝よい気分で暮らすこと〟です。
人はリラックスしていると、副交感神経が働いて、消化管に血液が豊富に回り、食べ物や薬も吸収されやすくなります。
反対に、緊張状態のときは交感神経が優位になり、胃腸の働きや消化液の分泌が低下し、食べた物の消化も、薬の吸収も悪くなります。
イライラしているときにのんだ薬は効きにくいのです」
「二つは、〝よい体調を保つこと〟です。
たとえば便秘がちの人は胃腸の働きが悪くなり、薬の吸収も低くなりやすい。
便秘を予防し消化管の働きを改善する薬を一緒にのむと、よく吸収されることが多い。
質のよい睡眠をとることも大切です。
体調がよくなるとともに、消化管の働きもよくなって、薬の吸収が上がることもあります。
質のよい眠りをとるための基本は昼間の運動。ウォーキングなどで体調を整えることを心がけてください」
胃腸の状態を知ることも大切だ。
たとえば、食前の空腹時服用が指定された薬の場合、薬だけをのむと吸収されにくい人がある。
ビスケットやパンなど一切れ食べて、胃に刺激を与えてからだと、吸収されやすくなる。パーキンソン病の薬のLドバは、胃酸で溶けるが、胃酸の少ない人だと吸収されにくい。
水に少しレモン水などを入れると吸収がよくなる例が10%程度ある。
このように薬をのむコツには個人差がある。2~3回試してあまり効果がなければ、自分には向いてないことがわかる。
数回試して「かなり効きが違う」と感じたら、医師に話して処方に活かしてもらおう。
パーキンソン病では、薬の効果が切れると、しびれや痛みが起こることがある。
これには鎮痛薬はあまり効かない。
薬効が途切れない工夫をするとよい。
具体的には1日の服用量は変えず、1回の量を少なめにして、のむ回数を増やすなど、主治医に相談してみよう。
─以上、日本イーライリリー発行「マックス」29号より要約。
このごろ「パーキンソン病」という病名を見聞きすることが、ずいぶん多くなった。
患者がふえているからだろう。
国の特定疾患(難病)の中で最も患者数の多い一つだ。
脳内でドーパミンという神経伝達物質を作る細胞が壊れ、体を動かす運動発現がうまくいかなくなる病気だ。
発症年齢のピークは50~60代。
完治できる治療法はまだない。
薬をいかにうまく服用し、症状をよりよくコントロールしていくかが、養生のポイントだ。
しかし、薬の効果には個人差があり、日によって効き方にバラツキが出ることも少なくない。
「個人差が生まれる最も大きな要素は、血中濃度の差です」と野元正弘・愛媛大学医学部教授(神経内科)。
口からのんだ薬は、胃で溶けて、腸に送られ、血液に吸収され、血流に乗り、薬が作用する場所にたどり着いて、効果が発揮される。
が、人によって血液に吸収される量が違い、効果の個人差となって現れる。
同じ薬を10人に服用してもらい、血中濃度を調べたところ、最も多い人と少ない人では4倍も違ったという。
服薬のコツ
「薬の効きをよくするには、まずしっかりと腸や血液に吸収させることです」
と、野元正弘・愛媛大学医学部教授。
それにはどうしたらよいか。
「一つは、〝よい気分で暮らすこと〟です。
人はリラックスしていると、副交感神経が働いて、消化管に血液が豊富に回り、食べ物や薬も吸収されやすくなります。
反対に、緊張状態のときは交感神経が優位になり、胃腸の働きや消化液の分泌が低下し、食べた物の消化も、薬の吸収も悪くなります。
イライラしているときにのんだ薬は効きにくいのです」
「二つは、〝よい体調を保つこと〟です。
たとえば便秘がちの人は胃腸の働きが悪くなり、薬の吸収も低くなりやすい。
便秘を予防し消化管の働きを改善する薬を一緒にのむと、よく吸収されることが多い。
質のよい睡眠をとることも大切です。
体調がよくなるとともに、消化管の働きもよくなって、薬の吸収が上がることもあります。
質のよい眠りをとるための基本は昼間の運動。ウォーキングなどで体調を整えることを心がけてください」
胃腸の状態を知ることも大切だ。
たとえば、食前の空腹時服用が指定された薬の場合、薬だけをのむと吸収されにくい人がある。
ビスケットやパンなど一切れ食べて、胃に刺激を与えてからだと、吸収されやすくなる。パーキンソン病の薬のLドバは、胃酸で溶けるが、胃酸の少ない人だと吸収されにくい。
水に少しレモン水などを入れると吸収がよくなる例が10%程度ある。
このように薬をのむコツには個人差がある。2~3回試してあまり効果がなければ、自分には向いてないことがわかる。
数回試して「かなり効きが違う」と感じたら、医師に話して処方に活かしてもらおう。
パーキンソン病では、薬の効果が切れると、しびれや痛みが起こることがある。
これには鎮痛薬はあまり効かない。
薬効が途切れない工夫をするとよい。
具体的には1日の服用量は変えず、1回の量を少なめにして、のむ回数を増やすなど、主治医に相談してみよう。
─以上、日本イーライリリー発行「マックス」29号より要約。
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