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イップスとギャバ [医学・医療・雑感小文]

 イップスとギャバ

 すこし前のことになるが、毎日新聞8月24日、東京版夕刊のコラム「憂楽帳」で興味深い記事を読んだ。

 全文を引用させていただく。

   

 夏の高校野球を伝える記事の中で、何度も読み返した話がある。青森・八戸学院光星高の控え選手で、応援団長を務めた山田鈴星(りんせい)さんの記事(15日付朝刊社会面)だ。読むたびに昔の自分を思い出し、胸が苦しくなった。

 山田さんは「イップス」という運動障害に悩まされた。上級生相手に打撃投手をした時、「どのタイミングでボールから手を離せばよいのか分からない」という恐怖心がわき起こり、うまくボールを投げられなくなったという。30年以上前に球児だった私も、変化球を投げている時にボールが指にかかる感覚が分からなくなり、その後はいくら練習しても完治しなかった。

「子犬がほえる」という意味の英語「yip」が語源とされる。不安や緊張、恐怖で体が硬直したり、震えたりする。野球に加え、ゴルフやテニス、卓球、弓道、アーチェリー、ダーツなど手先を使うスポーツに多く見られる症状だという。

 心と体のつながりは複雑だ。スポーツ選手を苦しめる「謎の病」を退治する処方箋がほしい。【滝口隆司】

   *

 精神的原因によりスポーツの動作に支障をきたし、思い通りのプレーができなくなる運動障害=イップスに陥ると、一流のアスリートでも実力が発揮できない。
 
これに対するギャバ(GABA)の効果を試した実験がある。

 ギャバは、アミノ酸の一種で正式な名称はγ-アミノ酪酸。英語のGamma Amino Butyric Acidを略してGABA(ギャバ)。

 アミノ酸といえば、たんぱく質を構成する成分を指すのが普通だが、ギャバはそれらとは異なり、主に脳や脊髄ではたらく「抑制系の神経伝達物質」である。

 脳の興奮を鎮め、ストレスをやわらげるリラックス効果、抗ストレス作用、脳細胞の代謝活性化作用などが明らかにされている。

 ギャバが不足すると、興奮系の神経伝達物質が過剰に分泌するのを抑えることができなくなり、精神的な緊張感が続いてしまう。

 大井静雄・東京慈恵医大教授(脳神経外科)らは、ゴルファーのイップスにギャバが有効であるかどうかを検証する試験を行った。

 兵庫県・上月コースで行われた試験には、30歳代~60歳代の男性20人(平均ゴルフ歴21.2年。平均ハンディ22.1)が参加した。

 試験方法は、集合時にギャバ錠60㍉㌘を摂取、前半9ホールのラウンド中にギャバ100㍉㌘含有のスポーツドリンクを飲み、9ホールでギャバ錠60㍉㌘を摂取。

 後半11ホール、13ホール、15ホール、17ホールでギャバチョコを2粒ずつ(ギャバ量14㍉㌘)食べて、適宜、ギャバドリンクを飲んだ。

 ギャバの総摂取量は376㍉㌘だった。

  結果はどうだったか。

 ゴルファー自身の自己評価をみると、ギャバ効果が「大いにあった」+「まずまずあったと思われる」が、ドライバーでは43%、ショートアイアンやアプローチ、パッティングでは50%、全ホールを通じては79%。
 
イップス(精神的緊張による失敗)の予防効果を認めた人は93%だった。

「謎の病の処方箋」の一例とは言えまいか。
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