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たばこに関する異論・反論(1) [医学・医療・雑感小文]

たばこに関する異論・反論(1)


 国立がん研究センターは31日、たばこを吸わない日本人の受動喫煙による肺がんのリスクは、受動喫煙のない人に比べて約1・3倍高いとの解析結果を発表した。(毎日新聞2016年8月31日 東京朝刊)

「なんだ、たったの1・3倍か?」

 科学オンチの楽天ジジイは、チラッとそう思う。

 ひとくちに「1・3倍」といっても、どれくらいの頻度で、他人のたばこの煙を吸わされた場合なのか?

 記事の後段はこういっている。

「同センターは、日本人の受動喫煙と肺がんの関連を報告した426本の論文のうち、非喫煙者の女性の肺がん発症と夫の喫煙状況を調べた研究など1984~2013年に発表された9本を統合して解析した。この結果、家庭内で受動喫煙がある人は、ない人に比べて肺がんになるリスクが1・3倍高くなり、海外の解析結果と同様だった。」

 なるほど。つまり、たばこを吸う男のおくさんはやばいヨ、というわけだ。

 ただ、その場合も、どれくらいの期間、どれくらいの量を吸わされた結果なのか?

 肺がんになったおくさんと、ならないおくさんとでは、どういった違いがあるのか?

 こまかくセンサクしはじめると、ギモンはふくらむばかりである。

 むろん、たばこの害悪は自明の事実なのだろうが、なにごとにも異論・反論は存在する。

 10年ほど前の雑誌、『文藝春秋』に掲載された、「変な国・日本の禁煙原理主義」と題する養老孟司(解剖学者)と山崎正和(劇作家)両先生の対談記事をお読みいただこう。


 ◎「たばこは肺がんの原因」はホントか?

 山崎 最近この国はまたおかしなことになってきていると思いませんか。

 ─略―

 国家が個人にお節介を焼こうとする傾向が年々強まっている。

 真っ先に思い当たるのが、今日のテーマでもある「健康増進法」です。いま流行りのメタボリック・シンドロームも、日本中に急速に普及しつつある禁煙主義も、元をたどれば全部この法律に行き着きます。

 ─略─

 今日は医学者で愛煙家でもある養老さんをお迎えして、この健康至上主義のおかしさを話し合いたいと思っているんですが。

 養老 愛煙家であるのは確かですが、医学者とはいっても解剖学ですから、医学界では最も役に立たないと言われています(笑)。

 しかしね、私は現代医学ってそれほど役に立つのか、と逆に問いたい。

 たとえば、「たばこの害は医学的に証明された」と言いますね。この「医学的に証明された」がクセモノで、実際のところ、証明なんて言うのもおこがましい状態なんです。
 
そもそも私はいつも言うんですが、「肺がんの原因がたばこである」と医学的に証明できたらノーベル賞ものですよ。

 がんというのは細胞が突然変異を起こし、増殖が止まらなくなる病気でしょう。その暴走が起きるか起きないかは遺伝子が関わっている。つまり、根本的には遺伝的な病なのです。

 トランプのストレートフラッシュのように、五枚の手札が揃ったら、がんになるとしましょう。遺伝的に四枚揃って生まれてくる人もいれば、一組もカードが揃わず生まれてくる人もいるわけです。

 つまり、カードが揃っていない人は、たばこを吸っても肺がんにはならない。逆にカードが揃っている人は、禁煙していてもがんになってしまう。

 医学論文なんて恣意的に数字を選んで結論を導きだすものですから、絶対的な信用はおけないと、医者たちはいやというほどわかっているんですよ。

 山崎 とりわけ疫学には問題がありそうですね。

 養老 たばこのパッケージに「健康のため吸いすぎに注意しましょう」と書かれていた警告表示がいま、やたらにデカデカと脅迫的な文言に変わっていますね。

 二年ほど前にWHOの「たばこ規制枠組み条約」が発効したのを機に、直接喫煙による警告として肺がん、心筋梗塞、脳卒中、肺気腫の四種、それ以外に妊婦の喫煙、受動喫煙、依存、未成年者の喫煙についての警告が表示されるようになった。

 ところが、その文言をみると「喫煙は、あなたにとって肺がんの原因の一つとなります」とか「喫煙は、あなたにとって心筋梗塞の危険性を高めます」とか曖昧な文言になっている。

 じつはあれを決めた一人が東大の後輩なんですが、医者仲間で集まったときに「根拠は何だ」「因果関係は立証されているのか」と彼を問い詰めたらたじたじでしたよ(笑)。
            ─つづきは、明日。
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