水の正しい飲み方 [医学・医療・雑感小文]
水の正しい飲み方
◎水分補給が運動能力を上げる
夏の甲子園のテレビ放送に映ったダグッアウトを見て、安心した。
選手たちが水を自由に飲んでいたからだ。
昔―といっても、それほど遠くない昔―の運動指導者は、運動中は水を飲ませなかった。
胃がだぶついて呼吸運動に影響したり、競技のリズムが狂ったり、汗を余計にかいてそれだけ疲労度が大きくなる─といった理由だった。
この考えには科学的根拠がないばかりか、非常に危険だと専門家は断言している。
汗をかいて体重の2~3%に相当する水分が失われると、循環機能に影響が出始める。
5%程度になると持久力が低下し、7%になると幻覚が現れる。
10%以上になると意識がなくなり、最も重症の熱中症(熱射病)で死ぬケースが出てくる。
運動によって失われた水分は、運動中に補給したほうが、そのあとの運動能力が向上することが、現在のスポーツ医学では証明されている。
体内の水分が足りなくなると、普通はのどの渇きを覚えるが、激しい運動中は興奮や緊張で渇きを感じないことがある。
長時間運動をするときは、あらかじめ水を飲んでおくべきだ。
朝の起き抜けにジョギングやウォーキングをするときも、必ずコップ1杯の水を飲んで、家を出よう。
渇きを覚えたら(いや、渇きを覚える前に)水を飲もう。
◎体の中の水分の役割
夏、29℃の室内では、じっとしていても1日約3㍑(1時間124cc)も発汗する。
日盛りの道を1時間歩くと約500cc、ジョギングをすると倍の約1㍑、汗をかく。
つまりそれだけ体内から水分が失われる。
体の中の水分は、体温の調節、全身の組織への栄養と酸素の供給、組織からの老廃物の排出などの役目を果たしている。
体重の2~3%に相当する水分が失われると、体温上昇が目立ちはじめ、循環機能に影響が出る。
汗をかいたとき、それと同量の水を飲まないと、脱水状態を招き、体温が上がり、体力を消耗する。
汗をかき、尿が濃くなると、尿路結石(腎臓結石、尿管結石、膀胱結石)ができやすい。尿酸の体外への排出が悪くなるから痛風発作も起こりやすい。
◎水を飲もう! だが飲みすぎるな!
半面、水、よく飲むべし─の勧めが裏目に出てしまうことがある。お年寄りの「多飲による頻尿」だ。
頻尿を訴えて受診する人に、「排尿日誌」をつけてもらうと、1日の尿量が3000~4000㍉㍑ということがある。
「これは明らかに水分の取り過ぎによる多尿で、これが頻尿や過活動膀胱の症状となって現れてくるのです」
と、鈴木康之・東京慈恵医大泌尿器科診療副部長は話している。
過活動膀胱というのは、さまざまな要因によって膀胱が過敏になって、排尿の回数が異常にふえる頻尿、尿意を感じたとたん漏れそうになる尿意切迫感、漏らしてしまう失禁などが起こる病気で、高齢者にとても多い。
その一因が、水の飲み過ぎだという。
「お年寄りがたくさんの水分を取るのは、決して悪いことではありません。
お年寄りは、のどの渇きを感じにくく、体内の水分が足りなくなっているのに、水分をとるのを忘れるので、脱水が進みやすいからです。
夏場、家の中にいても熱中症になるお年寄りが多いのは、このためです。
脱水を防ぐためにも積極的に水分は取るべきでしょう。
でも、だからといって、頻尿で困るほどたくさん取る必要はありません。
また、よくあるのが、かかりつけの内科医から、『脳梗塞の予防のため、水分をたくさん取るように』といわれ、水を飲みすぎるパターンです。
『寝る前に水分を』という助言を拡大解釈して、おなかがガボガボになるまで飲むのは賢い選択ではありません。
健康のためには何事も中庸が大切。水分もほどほどに─を心がけましょう」
注意! 人によっては水が「毒」になることもある。たとえば腎炎の急性期とか、人工透析を受けている人などは、水分の摂取は厳重に制限される。ご病人は主治医の注意をよく聞いてください。
◎水分補給が運動能力を上げる
夏の甲子園のテレビ放送に映ったダグッアウトを見て、安心した。
選手たちが水を自由に飲んでいたからだ。
昔―といっても、それほど遠くない昔―の運動指導者は、運動中は水を飲ませなかった。
胃がだぶついて呼吸運動に影響したり、競技のリズムが狂ったり、汗を余計にかいてそれだけ疲労度が大きくなる─といった理由だった。
この考えには科学的根拠がないばかりか、非常に危険だと専門家は断言している。
汗をかいて体重の2~3%に相当する水分が失われると、循環機能に影響が出始める。
5%程度になると持久力が低下し、7%になると幻覚が現れる。
10%以上になると意識がなくなり、最も重症の熱中症(熱射病)で死ぬケースが出てくる。
運動によって失われた水分は、運動中に補給したほうが、そのあとの運動能力が向上することが、現在のスポーツ医学では証明されている。
体内の水分が足りなくなると、普通はのどの渇きを覚えるが、激しい運動中は興奮や緊張で渇きを感じないことがある。
長時間運動をするときは、あらかじめ水を飲んでおくべきだ。
朝の起き抜けにジョギングやウォーキングをするときも、必ずコップ1杯の水を飲んで、家を出よう。
渇きを覚えたら(いや、渇きを覚える前に)水を飲もう。
◎体の中の水分の役割
夏、29℃の室内では、じっとしていても1日約3㍑(1時間124cc)も発汗する。
日盛りの道を1時間歩くと約500cc、ジョギングをすると倍の約1㍑、汗をかく。
つまりそれだけ体内から水分が失われる。
体の中の水分は、体温の調節、全身の組織への栄養と酸素の供給、組織からの老廃物の排出などの役目を果たしている。
体重の2~3%に相当する水分が失われると、体温上昇が目立ちはじめ、循環機能に影響が出る。
汗をかいたとき、それと同量の水を飲まないと、脱水状態を招き、体温が上がり、体力を消耗する。
汗をかき、尿が濃くなると、尿路結石(腎臓結石、尿管結石、膀胱結石)ができやすい。尿酸の体外への排出が悪くなるから痛風発作も起こりやすい。
◎水を飲もう! だが飲みすぎるな!
半面、水、よく飲むべし─の勧めが裏目に出てしまうことがある。お年寄りの「多飲による頻尿」だ。
頻尿を訴えて受診する人に、「排尿日誌」をつけてもらうと、1日の尿量が3000~4000㍉㍑ということがある。
「これは明らかに水分の取り過ぎによる多尿で、これが頻尿や過活動膀胱の症状となって現れてくるのです」
と、鈴木康之・東京慈恵医大泌尿器科診療副部長は話している。
過活動膀胱というのは、さまざまな要因によって膀胱が過敏になって、排尿の回数が異常にふえる頻尿、尿意を感じたとたん漏れそうになる尿意切迫感、漏らしてしまう失禁などが起こる病気で、高齢者にとても多い。
その一因が、水の飲み過ぎだという。
「お年寄りがたくさんの水分を取るのは、決して悪いことではありません。
お年寄りは、のどの渇きを感じにくく、体内の水分が足りなくなっているのに、水分をとるのを忘れるので、脱水が進みやすいからです。
夏場、家の中にいても熱中症になるお年寄りが多いのは、このためです。
脱水を防ぐためにも積極的に水分は取るべきでしょう。
でも、だからといって、頻尿で困るほどたくさん取る必要はありません。
また、よくあるのが、かかりつけの内科医から、『脳梗塞の予防のため、水分をたくさん取るように』といわれ、水を飲みすぎるパターンです。
『寝る前に水分を』という助言を拡大解釈して、おなかがガボガボになるまで飲むのは賢い選択ではありません。
健康のためには何事も中庸が大切。水分もほどほどに─を心がけましょう」
注意! 人によっては水が「毒」になることもある。たとえば腎炎の急性期とか、人工透析を受けている人などは、水分の摂取は厳重に制限される。ご病人は主治医の注意をよく聞いてください。
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