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WHO方式 [医学・医療・雑感小文]

 ◎WHO方式

がんの痛み治療の基本は、WHO(世界保健機関)が1986年に発表した。

「非オピオイド」「弱オピオイド」「強オピオイド」と3段階に分類された鎮痛薬を、患者が感じる痛みの程度によって処方する。

オピオイドとは、痛みを感じて脳へ伝達する神経組織のオピオイド受容体に結合して痛みを緩和する「医療用麻薬」の総称だ。

軽度の痛みには非オピオイドの消炎鎮痛剤─アスピリン、アセトアミノフェリン、イブプロフェン、インドメタシンなどが用いられる。

軽度から中等度の痛みには弱オピオイドのリン酸コデイン、低用量のオキシコドンを、中等度から高度の痛みには強オピオイドのモルヒネ、フェンタニル、通常用量のオキシコドンを用いる。

弱オピオイドと強オピオイドの鎮痛作用には1:10以上の効力の差がある。

剤形には経口薬、張り薬、座薬、注射薬とあり、痛みの程度に応じて、薬を追加したり、組み合わせを変えたりする。

この「WHO方式」によって、がんの痛みの80~90%は抑えられることが実証されている。


◎我慢しないで!

がんの痛みは、モルヒネなどの医療用麻薬の飲み薬や張り薬を定期的に用いて抑える。

それによって中毒になったり、死期を早めるということは絶対にない。

健常者では依存が起こるが、強い痛みを感じている状態では依存が起きないことは、以前から臨床的にはわかっていたが、1990年代後半にそのメカニズムが解明された。

痛みをとったほうが延命効果が上がることも確かめられている。

飲み薬や張り薬のほか、①腹腔(ふくくう)神経叢(そう)ブロック、②硬膜外ブロックなどの治療法もある。

①は神経破壊薬(アルコール、フェノール)を注入し、胃がんや膵臓(すいぞう)がんなど上腹部の痛みを抑える。

長期間の徐痛効果が得られるので退院が可能となったり、鎮痛薬の量を減らせたりし、患者のQOL(生活の質)改善につながる。

②は脊髄(せきずい)をおおっている硬膜の外にカテーテルを通し、麻酔薬を注入し、痛みの神経を遮断する。

優れた鎮痛効果が得られる。

痛みは我慢せず、率直に強く訴えよう。

緩和ケア普及啓発事業「オレンジバルーンプロジェクト」は、

「がんの痛みやつらさを一人で抱えていませんか」と訴えている。

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