ビタミンの常識 [医学・医療・雑感小文]
ビタミンの常識
フランスの格言に「予防薬の1オンスは治療薬の1ポンドに勝る」というのがある。(1ポンド=16オンス)。
予防薬―すなわちサプリメント(栄養補助食品)だろう。
日常の食生活では不足しがちだったり、偏りがちだったりするビタミン・ミネラルなどの微量栄養素をうまく補うには、サプリメントを用いるのがいちばん。
サプリの普及が、現代人の健康寿命を延ばしている大きな一因といえるだろう。
で、ちょっと、ビタミンの常識をおさらいしてみよう。
ビタミンは、それ自体が体の血となり肉となる栄養素ではないが、体の中のいろいろな生理作用が円滑に営まれるように調整する。
「生命(vital)」と「化合物(amine)」をくっつけて、「ビタミン(vitamine)」という合成語を作ったのは、ポーランドの生化学者フンクだが、その言葉のとおり生命に不可欠の栄養素だ。
ビタミンは、油に溶ける脂溶性ビタミンのA、D、E、Kと、水に溶ける水溶性ビタミンのB群(8種類)とCに分けられる。
ビタミンB群の8種類は、B1、B2、B6、B12、ナイアシン(ニコチン酸)、パントテン酸、葉酸、ビオチンである。
どのビタミンもそれぞれ異なる働きをするので、どれが欠乏しても健康に障害が生じる。
昔からよく知られているビタミン欠乏症としては、Aの夜盲症、B1の脚気、Cの壊血病、Dのくる病などがある。
近年は生活習慣病やストレスの予防効果に注目が集まっている。いくつか例を挙げる─。
●抗酸化作用=呼吸で取り込まれた酸素は、糖質などを燃やしてエネルギーを発生させる。
このときにできる活性酸素は、強い酸化力で細胞や遺伝子を壊し、がんや動脈硬化の原因をつくり、老化を進める。
この活性酸素を消去し、がんや動脈硬化を防ぐ作用をするのが、「抗酸化ビタミン」と呼ばれるビタミンC、Eと、体内でビタミンAに変わるカロテンの三つだ。
●抗ストレス作用=抗ストレスホルモンと呼ばれるカテコールアミン(アドレナリン、ノルアドレナリンなど)は、ビタミンCなしでは合成されない。
●骨粗しょう症予防=ビタミンDは、腸管からのカルシウムの吸収を助けて、骨の形成に関与する。D欠乏は転倒のリスクを高める。
ビタミンKも骨に存在するたんぱく質の働きに関係する。
●心血管病予防=ビタミンEの不足は心筋梗塞の発症に直接的な影響を及ぼす。ビタミンB群の葉酸は脳卒中、心筋梗塞のリスクを減らす。世界52ヵ国では、小麦などの穀類に葉酸を添加し、葉酸摂取量をふやす政策をとっている。
●脳の活動を促進=脳のただ一つのエネルギー源であるブドウ糖が完全燃焼するためにはビタミンB群のすべてが必要。「B足りんは脳足りん」である。
●風邪の予防・治療=風邪の予防と治療に対するビタミンCの絶大な効果を、アメリカのノーベル賞学者(化学賞と平和賞)のライナス・ポーリングが提唱し、ビタミンCの世界的ブームが起こった。
それに水をさすように、ビタミンCの過剰摂取は、尿中の蓚酸(しゅうさん)濃度を高くし、腎臓結石の原因になるという説が提起されたが、その後の研究で完全に否定された。
水溶性ビタミンのB群とCは、多くとっても尿中に排泄される。ビタミン剤ドリンクをのんだあとの黄色いおしっこは、体に吸収されなかったビタミンだ。
取りすぎが問題になるのは、脂溶性ビタミンのA、D、K。この三つは脂肪組織などにたまりやすいため過剰症が起こる。
ややこしいのは、過剰症と欠乏症の症状が酷似していること。
過剰症が発症しても欠乏症とかん違いし、さらに過剰摂取してしまうパターンがときとしてみられるという。
なお、もう一つの脂溶性ビタミンのEは、特定の組織に集中することがなく、全身の脂肪組織に分散するため害を及ぼすことはほとんどない。
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フランスの格言に「予防薬の1オンスは治療薬の1ポンドに勝る」というのがある。(1ポンド=16オンス)。
予防薬―すなわちサプリメント(栄養補助食品)だろう。
日常の食生活では不足しがちだったり、偏りがちだったりするビタミン・ミネラルなどの微量栄養素をうまく補うには、サプリメントを用いるのがいちばん。
サプリの普及が、現代人の健康寿命を延ばしている大きな一因といえるだろう。
で、ちょっと、ビタミンの常識をおさらいしてみよう。
ビタミンは、それ自体が体の血となり肉となる栄養素ではないが、体の中のいろいろな生理作用が円滑に営まれるように調整する。
「生命(vital)」と「化合物(amine)」をくっつけて、「ビタミン(vitamine)」という合成語を作ったのは、ポーランドの生化学者フンクだが、その言葉のとおり生命に不可欠の栄養素だ。
ビタミンは、油に溶ける脂溶性ビタミンのA、D、E、Kと、水に溶ける水溶性ビタミンのB群(8種類)とCに分けられる。
ビタミンB群の8種類は、B1、B2、B6、B12、ナイアシン(ニコチン酸)、パントテン酸、葉酸、ビオチンである。
どのビタミンもそれぞれ異なる働きをするので、どれが欠乏しても健康に障害が生じる。
昔からよく知られているビタミン欠乏症としては、Aの夜盲症、B1の脚気、Cの壊血病、Dのくる病などがある。
近年は生活習慣病やストレスの予防効果に注目が集まっている。いくつか例を挙げる─。
●抗酸化作用=呼吸で取り込まれた酸素は、糖質などを燃やしてエネルギーを発生させる。
このときにできる活性酸素は、強い酸化力で細胞や遺伝子を壊し、がんや動脈硬化の原因をつくり、老化を進める。
この活性酸素を消去し、がんや動脈硬化を防ぐ作用をするのが、「抗酸化ビタミン」と呼ばれるビタミンC、Eと、体内でビタミンAに変わるカロテンの三つだ。
●抗ストレス作用=抗ストレスホルモンと呼ばれるカテコールアミン(アドレナリン、ノルアドレナリンなど)は、ビタミンCなしでは合成されない。
●骨粗しょう症予防=ビタミンDは、腸管からのカルシウムの吸収を助けて、骨の形成に関与する。D欠乏は転倒のリスクを高める。
ビタミンKも骨に存在するたんぱく質の働きに関係する。
●心血管病予防=ビタミンEの不足は心筋梗塞の発症に直接的な影響を及ぼす。ビタミンB群の葉酸は脳卒中、心筋梗塞のリスクを減らす。世界52ヵ国では、小麦などの穀類に葉酸を添加し、葉酸摂取量をふやす政策をとっている。
●脳の活動を促進=脳のただ一つのエネルギー源であるブドウ糖が完全燃焼するためにはビタミンB群のすべてが必要。「B足りんは脳足りん」である。
●風邪の予防・治療=風邪の予防と治療に対するビタミンCの絶大な効果を、アメリカのノーベル賞学者(化学賞と平和賞)のライナス・ポーリングが提唱し、ビタミンCの世界的ブームが起こった。
それに水をさすように、ビタミンCの過剰摂取は、尿中の蓚酸(しゅうさん)濃度を高くし、腎臓結石の原因になるという説が提起されたが、その後の研究で完全に否定された。
水溶性ビタミンのB群とCは、多くとっても尿中に排泄される。ビタミン剤ドリンクをのんだあとの黄色いおしっこは、体に吸収されなかったビタミンだ。
取りすぎが問題になるのは、脂溶性ビタミンのA、D、K。この三つは脂肪組織などにたまりやすいため過剰症が起こる。
ややこしいのは、過剰症と欠乏症の症状が酷似していること。
過剰症が発症しても欠乏症とかん違いし、さらに過剰摂取してしまうパターンがときとしてみられるという。
なお、もう一つの脂溶性ビタミンのEは、特定の組織に集中することがなく、全身の脂肪組織に分散するため害を及ぼすことはほとんどない。
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