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身は医者に 心は神に  [雑感小文]

 女性化乳房

 緒方知三郎先生は、唾液(だえき)腺ホルモン剤「パロチン」の開発者としても知られ、趣味の手品は玄人はだしだった。

 70代で前立腺がんを発病、当時の定番的治療法だった女性ホルモン薬をずっと常用していた。

 先生のあと日本医大老人病研究所所長を継いだ金子仁先生から聞いた話。

「女性ホルモンを長く使っていると、女性化乳房といって、おっぱいがふくらんでくる。

 洒脱(しゃだつ)なお人柄だったので、よく冗談をおっしゃった。 おい、触らせてやろうか」

 当時(1960年代)、日本人の前立腺がんはごく少なく、治療法も現代とは格段の差があったはずだが、90歳という長寿を全うされ、80歳からの5年間で、ユニークな項目分類を行った『常用医語事典』(金原出版刊)の執筆・編さんを成し遂げた。

 人の名のついた病気や体の器官などを集めた「第Ⅲ部人名編」は、ページをめくっていてあきない。

「身は医者に 心は神に任すべし 智慧(ちえ)ありて 苦しむ者を 人という」

 緒方先生、晩年の一首だ。
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