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銀舎利世代 [雑感小文]

 銀舎利世代

 秋の初めのころ、薩摩の米どころ伊佐の新米をもらった。

 当家は、小生のがん発覚以来、玄米めしになっているのだが、せっかくのご厚情を無にしてはいけないとの口実で、一夜、炊いて食べた。

 いやぁ、うまい! うまい! 感きわまった。

 米のご飯がこんなにうまいものだったとは!

 久しい以前からこの国ではご飯でおかずを食べる人がふえているらしい。

 白米の淡白な味は、おかずの濃い味をならすから、たくさんの総菜と総菜の間の口直しに適している。

 で、めしが副食になり、おかずが主食になったらしい。

 昔人間にはなにかそら恐ろしいゼイタクに思える。

 昔は、米のめしそのものが最上のごちそうだった。

『広辞苑』に「銀舎利(ぎんしゃり)」という項目がある。

「白米の飯。一九四〇年代、わが国の食糧不足の時代の語。」

 ああ、そうだった!

 あのころ、ときたま(本当にときたま)銀シャリにありつくと、心が歓喜に打ちふるえたものだった。

 あの喜びはわが記憶の倉の財産だ。

 飽食世代の知らない、銀舎利世代の幸せだと思う。
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