陰徳の症状 [雑感小文]
陰徳の症状
劇作家の木下順二氏は、戦後ずっと耳鳴りに悩まされていたそうだ。
夜となく昼となく頭の中で鳴り続ける執拗(しつよう)な「神経音」を聴きながら「夕鶴」を書き、「子午線の祀(まつ)り」を書き、「オットーと呼ばれる日本人」を書いたのだろう。
「耳鳴り(を持つ者)は陰徳の士なり」とかいう。
本人以外には聞こえない、目にも見えない症状にじっと耐え続けるさまは、人に知られぬようひそかにする善行に似ているというのだろうか。
木下さんは、ご母堂を亡くしたときのあいさつ状に、「花一輪といえども御辞退申し上げます」と記し、自身の死に際しては、葬儀無用、墓無用、母の遺灰と共に海へ流してくれるよう遺言した。
耳鳴りはそのように自分を律するのに厳しかった作家にふさわしい?症状のようにも思われる。
耳鳴りは、難聴の多くに伴って起こるが、耳鳴りだけ単独に起こることもある。
長く続く耳鳴りは、現在進行中の病気の症状か、病気が治った後の〝傷あと〟として耳鳴りが固定したかのどちらかだ。
その見きわめが肝心だという。
劇作家の木下順二氏は、戦後ずっと耳鳴りに悩まされていたそうだ。
夜となく昼となく頭の中で鳴り続ける執拗(しつよう)な「神経音」を聴きながら「夕鶴」を書き、「子午線の祀(まつ)り」を書き、「オットーと呼ばれる日本人」を書いたのだろう。
「耳鳴り(を持つ者)は陰徳の士なり」とかいう。
本人以外には聞こえない、目にも見えない症状にじっと耐え続けるさまは、人に知られぬようひそかにする善行に似ているというのだろうか。
木下さんは、ご母堂を亡くしたときのあいさつ状に、「花一輪といえども御辞退申し上げます」と記し、自身の死に際しては、葬儀無用、墓無用、母の遺灰と共に海へ流してくれるよう遺言した。
耳鳴りはそのように自分を律するのに厳しかった作家にふさわしい?症状のようにも思われる。
耳鳴りは、難聴の多くに伴って起こるが、耳鳴りだけ単独に起こることもある。
長く続く耳鳴りは、現在進行中の病気の症状か、病気が治った後の〝傷あと〟として耳鳴りが固定したかのどちらかだ。
その見きわめが肝心だという。
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