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人間の証明 [医学・医療・雑感小文]

 怒りを結集し、持続しよう

人間的な怒りの中枢は大脳新皮質にある。

原始的な怒りの中枢は二つ、扁桃核(へんとうかく)と視床下部にある。

どちらも大脳辺縁系(脳幹と大脳新皮質の間にある)の一部だ。

ネコの脳の扁桃核に、細い電極を刺入して電流を通じると、ネコは突発的に怒る。

電流を切ると、たちまち怒りは消える。

同じことは視床下部でもみられる。

ラットの視床下部にある種の神経伝達物質を注入すると、ラットはハツカネズミを攻撃して殺すが、神経伝達阻害物質を注入すると、攻撃を中止する。

そうした動物実験で、原始的な怒りの中枢が明らかにされた。
これに対して、人間的な怒りの中枢がある。

大脳新皮質は、大脳の表面の灰白質の部分。

ヒトをヒトとして特徴づける精神作用の場だ。ものごとを総合し、記憶し、伝達し、理解し、判断し、そして創造する。

非人間的な理不尽な言動への怒りはここに発する。

テロや無差別殺人に対して覚える怒りは、人間が人間であることを証明する人間的怒りだ。

「人間の証明」であるこの怒りを結集し、持続しなければならない。
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