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ブドウがうつ病に効く?

 ブドウがうつ病に効くメカニズム解明

 ブドウ由来のポリフェノール化合物であるジヒドロカフェー酸(DHCA)とオエニン(Mal-gluc)が、うつ病の治療薬になりうると、米マウントサイナイ医科大学の研究グループが報告した。

 研究では、これらの天然化合物が新たに発見されたうつ病の根底にあるメカニズムを標的とすることで、うつ病を軽減させる可能性があることが示唆されている。

 米疾病対策センター(CDC)によると、米国では毎年約1,600万人がうつ病を発症している。

 従来の薬物治療では患者の約半数は一時的に症状が治まるものの、重篤な副作用を伴うことが多い。

 そのため、より広範に効果を発揮する新規治療薬の必要性が高まっている。

 うつ病の発症には、末梢免疫系の炎症、シナプス(ニューロン=神経細胞と他のニューロンとの接合部分)に関係する疾病や異常に対して働くリンパ節、およびその他の組織における構造とプロセス、ニューロン同士の情報伝達の構造を含む、複数の精神病のプロセスと関係している。

 しかし、現在有効とされる抗うつ薬の大部分はセロトニン、ドパミンをはじめ関連する神経伝達物質を制御する系統を標的としており、大うつ病性障害(MDD)に関係する炎症やシナプスの適応不全などは標的としていない。

 以前の研究から、ブドウ由来のポリフェノールがうつ病の症状の抑制に有効であるとはわかっていたが、その機序は解明されていなかった。

 今回の研究では、ストレス誘発性うつ病マウスモデルを用いた実験で、コンコード種のブドウジュース、種子エキス、トランスレスベラトロールの三つのブドウ由来ポリフェノール製品を組み合わせた、生物活性を持つ食物ポリフェノール製剤がうつ病に対する回復力を促進する上で有効であることがわかった。 

 具体的には、DHCAとMal-glucがそれぞれ炎症およびシナプス可塑性を調節することにより、うつ病のマウスモデルにおける回復力を促進できることを発見した。

 DHCAは、免疫応答を刺激するためにT細胞およびマクロファージが分泌する炎症性物質インターロイキンを減少させる。

 Mal-glucはRac1遺伝子のヒストンアセチル化を調節し、シナプス可塑性を担う遺伝子の発現に影響を及ぼす転写活性化因子を脳内で増加させる。

「われわれの研究は、DHCAとMal-glucの併用療法が、うつ病マウスモデルにおける全身性炎症反応および脳シナプスの可塑性を調節することで、ストレス誘発性うつ病様表現型に対する回復力を促進することを示した」
 と同大学神経科准教授で筆頭執筆者のJun Wang氏は述べている。

 さらに、共著者で同科教授のGiulio M. Pasinetti氏は「DHCAとMal-glucの併用療法で末梢炎症を抑制し、脳のシナプス可塑性を調節するわれわれの試みは、慢性的なストレス誘発性うつ病様表現型に対する回復力を最大限に引き出すための相乗的な効果がある。

 炎症に関係する細胞や分子経路を標的とするブドウ由来のこれらのポリフェノール化合物の発見は、うつ病の効果的な治療法の確立につながるだろう」と述べている。
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