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「鳥肌が立つ」のはどうして!? [医学・医療・雑感小文]

「寒い!」「怖い!」と感じると身体中がゾワゾワとします。

 また、心に響く音楽や絵画、映画やお話で感動をすると、全身がゾクッとする感覚におそわれ、腕などに鳥肌が立つことがあるといわれます。

 これらは科学的にどういった現象なのでしょうか?

 鳥肌が立つには、物理的な要因(寒い)による場合と、心理的な要因(怖い、感動)による場合とがあります。

 心理的要因の恐怖と感動は、かなり異なった感情であるにもかかわらず、鳥肌が立つという同じ経験をするというのも興味深いところです。
 
 こうした経験は、生理学的・医学的にはどのように説明できるでしょうか。

 寒さの鳥肌

 肌が寒さを感じると、脳の温度調節中枢がはたらき、体温を逃さないようにと交感神経が働いて、身体の表面の筋肉をちぢめます。

 そのとき同時に毛穴にある立毛筋が毛穴をふさぎ、皮膚からもり上がって鳥肌が起こります。

 恐怖の鳥肌

「恐怖」を感じた場合は、心拍数が上がり、筋肉への血流が増えて、身体を守る防衛体制が準備されます。

 この時に重要なはたらきをするのが交感神経で、さらに、毛穴を閉じて体中の毛髪を逆立てます。

 いわば、動物が威嚇(いかく)するときに髪を逆立てて自分を強く見せるなごりが、人間にも残っているようなものです。

 このように、寒さと恐怖はどちらも、身体を守るために働く交感神経によって、鳥肌を引き起こしていることが明らかになっています。

感動で鳥肌は立つの?
 
 感動した時に鳥肌が立つとき、どのような事態が起こっているのでしょうか?

 実はこの点については、まだ科学的な解明はなされていませんが、これを実証しようとする試みはなされています。

 南カリフォルニア大学の大学院生マシュー・サックスさんは、音楽好きの人を被験者に“心揺さぶられる音楽”を聞かせて、ブルッと寒気を感じた(=感動)人とそうでない人のグループに分けて、それぞれの脳をスキャンしてみました。

 結果、ブルッときた人たちは、そうでない人たちと比べると、脳の聴覚を司る部分と感情を司る部分とをつなぐ神経線維が多いことを発見しました。

 カナダ・マギル大学のロバート・ザットレー氏(神経学者)も、人間は音楽を聴くと、「聴覚系」と「感情系」、さらには、欲求が満たされると活性化して快感を覚える「報酬系」の3者が、結びつくという研究成果を発表しているそうです。

 以上の研究から推察されることは、脳の中で、感覚系や感情系や報酬系といったところの神経の結びつきが強くなると、美しい芸術作品、音楽、書物、人の行為や話などを聞いたり見たり読んだりすることで、鳥肌が立つような感動を経験する傾向が強くなるかもしれません。

 感動の脳科学

 神経学者のアントニオ・ダマシオ医師は感動について、以下の通りに述べています。

「脳が全力で今経験していることを記録しようとしている。生きる指針を痕跡として残そうとしている。そのプロセスに感動がある」(アントニオ・ダマシオ著『感じる脳 情動と感情の脳科学 よみがえるスピノザ』田中 三彦翻訳、ダイヤモンド社、2005.)
 
 感動は人間にとって、そこにある情報に脳全体が全力で向き合っている状態を指していることが強調されています。
 
 つまり、感動を経験しているとき、「寒さ」や「恐怖」と同じように脳は強い刺激を受けているといえそうです。

=藤尾 薫子(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ を要約。
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