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「やる気ホルモン」=甲状腺ホルモンの働きと病気 [医学・医療・雑感小文]

甲状腺は「のどぼとけ」のすぐ下にあり、羽をひろげた蝶々のような形をしています。

甲状腺は、脳の下垂体から甲状腺刺激ホルモン(TSH)を受け取ると、甲状腺ホルモン=トリヨードサイロニン(T3)とサイロキシン(T4)を分泌します。

甲状腺刺激ホルモンは、甲状腺ホルモンのわずかな変動も敏感にキャッチし、甲状腺ホルモンの量が一定に保たれるように調節しています。

一方、甲状腺ホルモンは、脳に作用してTSHの分泌を抑制しています。

つまり、両者は互いにバランスを取りあっている関係です。

甲状腺ホルモンは全身の代謝にまつわるさまざまな働きをします。

甲状腺ホルモンには、体の発育を促し新陳代謝を活発にする役割があります。

甲状腺ホルモンのおもな役割は次の三つです。

成長や発達を促す:胎児や小児の正常な成長・発達を促す

細胞の新陳代謝を高める:脂肪などを燃やして必要なエネルギーをつくり、体の成長や機能を高める

交感神経を刺激する:交感神経が刺激されると、手が震えたり脈が速くなったりする

このように、甲状腺ホルモンには「活動のためのエネルギーをつくりだす」という働きがあります。

「やる気ホルモン」といわれるのは、快適な生活をするために必要不可欠なホルモンという見地からでしょう。

甲状腺機能の異常にともなう病気

甲状腺の働きが悪くなると、次のような病気になる可能性があります。

甲状腺機能亢進症 

甲状腺の機能が過度に高くなり、ホルモン分泌が過剰になる病気です。

代表的なのはバセドー病(グレーブス病とも呼ばれる)です。

思春期や更年期の女性に多いのですが、甲状腺の病気のなかでは比較的男性にも多く発症しています。

動悸や息切れ、月経不順、不妊、下痢、体重減少、多汗、震え、甲状腺の腫れなどの自覚症状があります。

また、病状が進むと、この病気の特徴としてよく知られる、眼球が飛び出してくる症状が現れます。

甲状腺機能低下症

甲状腺ホルモンの分泌が足りなくなる病気で、橋本病に代表されます。

原因は自己免疫疾患といわれ、顔のむくみやだるさ、眠気、無気力、皮膚の乾燥、月経異常などの自覚症状がでます。

甲状腺の炎症

甲状腺の炎症には次の3つがあります。

(1)急性化膿性甲状腺炎:甲状腺に細菌感染が起こり、炎症となり痛みがでる

(2)亜急性甲状腺炎:甲状腺に腫れや痛み、しこりなどがでる。ウイルス説が有力だが原因は不明

(3)慢性甲状腺炎(橋本病):甲状腺が炎症を起こす

甲状腺腫瘍

甲状腺腫瘍には、良性の濾胞腺腫(ろほうせんしゅ)や腺腫様甲状腺腫などと、悪性の甲状腺がんや悪性リンパ腫など、また、両者が合併しているケースがあります。

(1)良性腫瘍

甲状腺腫瘍の8~9割は良性です。

大きくなってくると首の腫れやしこり、ものを飲み込む時の違和感などの症状がでてきます。

最近は、乳がん検診時に甲状腺の超音波検査をするようになりましたので、良性腫瘍のほとんどをなす10㎜以下の微小な腫瘍が発見されやすくなってきています。

(2)悪性腫瘍

悪性腫瘍には、乳頭がん、濾胞がん、髄様がん、悪性リンパ腫、未分化がんの5種類があります。

最も多いのは乳頭がんで80~90%を占めます。

次いで濾胞がんが4~8%、髄様がん・悪性リンパ腫・未分化がんは、いずれも1~2%と稀な病気です。

甲状腺疾患の原因

甲状腺疾患は自己免疫性疾患といわれていますが、明確な原因はわかっていません。

遺伝の可能性が高いのではないか、という見方があるものの結論には至っていません。

ですから、家系に甲状腺の病気の人がいるからといって過度に心配する必要はありません。

執筆:南部 洋子(助産師・看護師・タッチケア公認講師)
医療監修:株式会社とらうべ
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