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マラソンとAED [医学・医療・雑感小文]

東京マラソンの救命率は100%

あす2月25日は、約3万7千人の市民ランナーが走る東京マラソン、「東京がひとつになる日」です。

マラソンは多くの市民が参加する人気のスポーツですが、心停止を起こす人数がもっとも多いスポーツでもあります。

競技人口と競技時間を考慮すると、心肺停止を起こす確率の最も高いスポーツは剣道といわれていますが、競技人口の多さと競技時間の長さから、人数ではマラソンが一番です。

わが国では毎年、マラソンによる心肺停止例が10件近く報告されています。

さまざまな距離別に開催されるマラソン大会をまとめて、スタート地点を0%、ゴール地点を100%とすると、とくにレース後半4分の1の箇所で、約7割が心肺停止を起こしています。

こうしたデータを考慮しながら、東京マラソンでは綿密に救命体制が整えられています。

東京マラソンが2007年に開始されてから11回の大会が開催され、8件の心停止がありました。

すべてAEDや心肺蘇生法によって救命されています。

その中には、ランナーや観戦する市民が駅や交番のAEDを使用して救命した例もあり、主催者の準備と一般市民の救命に対する意識向上が合わさって、事故を防いでいるといえます。

これはきちんとした救急体制を整え、心肺停止後、早い時間に胸骨圧迫とAEDを行えば、救命率が非常に高くなることを実証しています。

東京マラソンでは、モバイルAED隊と呼ばれる動く自転車部隊と、BLS隊と呼ばれる一定の距離ごとに配置されたAED隊がいて、緊急時の体制を整えています。

モバイルAED隊は、44名が2人一組となり、コース上を約1.5km間隔で、マウンテンバイクに乗り、AEDや応急処置を行うための資器材を持ち、巡回します。

緊急事態の際はいち早く駆け付け、心肺蘇生法や応急処置を行います。全員が救急救命士です。

また、救護naviというスマートフォンのアプリを使用して本部が彼らモバイル隊の動きをGPSによりリアルタイムで把握し、位置などの指示をしています。

BLS隊は74名の救急救命士を目指す大学生が2人一組になり、AEDを持ち、待機しているチームです。

コース中盤までは1kmごと、後半は心肺停止例が多いというデータから、800メートルごとに距離を縮めて待機しています。

コースの最初のほうで待機していたBLS隊はランナーが走り過ぎると後半のコースに移動し、最終的には400mごとにAEDがある体制を構築しています。

東京マラソンに限らず、全国で数多くのマラソン大会が開催されていますが、すべての大会で主催者側が危機管理意識を持って充分な救急体制を準備し、参加者が自らの健康管理はもちろんのこと、日頃から心肺蘇生法を学べば、健康で楽しむべきスポーツの場で命を落とすような悲しい出来事は減らせると思われます。

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