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酒と認知症 [医学・医療・雑感小文]

遅咲きの梅と早咲きの桃の共演に間なしに桜の開花が始まる。

そこへもってきて、

ともかくも 卒業したる めでたさよ 富安風生

「コノサカヅキヲ受ケテクレ

ドウゾナミナミツガシテオクレ

ハナニアラシノタトヘモアルゾ

『サヨナラ』ダケガ人生ダ」

(井伏鱒二「厄除け詩集 勧酒」)

というわけで、飲もう、飲もう、飲むべし、

三月や酒進むこと進むこと  稲畑廣太郎

てな、折も折、新聞の「海外短信」でこんな記事を読んだ。

「慢性的な大量飲酒、認知症との関連が明らかに」

慢性的な大量飲酒は、あらゆる種類の認知症、特に早期発症型の認知症の主要な危険因子であることが、公衆衛生に関する専門誌「ランセット・パブリック・ヘルス」に発表された研究論文で明らかになった。

研究者らがフランスの早期発症型認知症の5万7000件以上の症例を調査した結果、半分を優に超える数がアルコール関連、またはアルコール乱用の診断が追加されたものであることが判明した。

全体として、アルコール摂取障害は、あらゆる種類の認知症でリスクが3倍高くなることに関連づけられた。

従来の研究では、認知機能に対するアルコールの影響については結論が出ていなかった。

一部の研究では、少量から中量の飲酒には利点がある可能性を示しているが、他の研究では、大量飲酒は認知症のリスクを上昇させると結論づけている。

世界保健機関(WHO)は「慢性過剰飲酒」の定義として、男性で基準量の6杯かそれ以上である1日当たり純アルコール60グラム以上(アルコールドリンク約6杯以上に相当)、女性で40グラム以上としている。

今回の調査では、研究者らは2008年から2013年に認知症と診断されたフランスの成人100万人以上の医療記録を精査した。

結果、アルコールとの関連が統計学的に明白であることが示されたため、論文著者は検査の実施や大量飲酒への介入、アルコール依存症治療などを提案している。

これまでの研究でも、大量飲酒や喫煙と、うつ病、学歴の低さは、認知症の危険因子としての関連性が確立されている。

今回の研究は、フランス全土の病院の6年間にわたる患者の退院記録に基づいたもので、稀な認知症と関連する疾病の患者や若年の精神障害の人々は対象者から除外されている。
 
研究論文の主著者Michael Schwarzinger氏は、

「認知症の原因としてのアルコール摂取障害が負う割合は、これまで考えられていたよりずっと大きい。

認知症とアルコール使用障害との関連については引き続き検証する必要があるが、アルコールが脳の構造や機能に永続的なダメージを与えた結果ではないか」と考察。

さらに、アルコール使用障害によってリスクが高まるとされている高血圧や糖尿病、脳卒中、心房細動、心不全は血管性認知症のリスクを上昇させる可能性もあること、多量飲酒者に多くみられる喫煙や抑うつ、低学歴も認知症のリスク因子であることを指摘している。

その上で、「アルコール使用障害に起因した認知症は予想以上に多い。

したがって、多量飲酒が全ての型の認知症の主要なリスク因子であることを認識しておく必要がある」と強調。

アルコール飲料を入手しにくくするほか、増税や広告および販売への規制といった対策を講じるとともに、アルコール使用障害の早期発見と早期治療を推し進める必要性を訴えている。

英エクセター大学医学部Clive Balland教授は、

「極めて重要な研究結果」と高く評価。

「今回の研究では、アルコール使用障害、そしておそらくは飲酒が認知症を予防する上で修正可能なリスク因子であることが示された。

このエビデンスは極めて強固なものだ。われわれは、アルコール使用障害や飲酒は認知症に関連するという明確なメッセージを人々に伝え、対策を進める必要がある」と訴えている

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