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片頭痛のふしぎな合併症 [医学・医療・雑感小文]

 片頭痛は摩訶不思議な全身の疾患。脳梗塞、心筋梗塞、増加

 片頭痛は頭痛だけでなく、神経学的症状(閃輝暗点、半盲、失語、麻痺など)を繰り返したり、消化器症状などを来す疾患であるが、脳梗塞や虚血性心疾患をきたすことも知られている。

 今回、デンマークの全ての病院と病院外来クリニックで行われているデンマーク全国患者登録に1995〜2013年に登録された片頭痛患者5万1,032例と年齢、性、暦年をマッチさせた一般集団51万320例を解析対象とした一般集団ベースのコホート研究で、心筋梗塞、脳卒中、末梢動脈疾患、静脈血栓塞栓症、心房細動、心不全のリスクが検討された。

 19年間のフォローアップ期間における1,000例当たりの累積発生件数(片頭痛群 vs. 一般集団群)は、心筋梗塞(25件 vs. 17件)、脳梗塞(45件 vs. 25件)、脳出血(11件 vs. 6件)、末梢動脈疾患(13件 vs. 11件)、静脈血栓塞栓症(27件 vs. 18件)、心房細動/心房粗動(47件 vs. 34件)、心不全(19件 vs. 18件)であった。

 片頭痛患者は一般集団に比べて、心筋梗塞、脳梗塞、脳出血、静脈血栓塞栓症(足の静脈でできた血栓が、血流にのって肺の動脈に詰まる)、心房細動で有意なリスクの増加を示した。

 脳梗塞が片頭痛で増加することは以前から報告され、さらに心筋梗塞、脳出血が増加することも報告されてきた。

 本研究は一般集団ベースのコホート研究で、長期の完璧なフォローアップ研究である。

 頭痛は短期間でも複数の心血管疾患の発症リスクが増加し、長期にわたって継続することが明らかとなった。

 脳卒中診療の現場では通常、片頭痛の既往を聴取することはない。
 
 ただ、特に高齢になると片頭痛発作を来すことは少なくなってくるため、現病歴や既往歴で片頭痛が抜け落ちることが多い。

 一方、片頭痛では喫煙や経口避妊薬(ピル)使用で脳梗塞発症が10倍程度に増加すると報告されていたが、今回の報告ではBMIと喫煙が脳梗塞発症リスクになると報告された。

 片頭痛患者が脳梗塞を発症した場合、原因は多岐にわたる。

 そのため、原因検索を詳細に行い、抗血小板薬と抗凝固薬のいずれが適しているか検討し、喫煙、ピル、高血圧、耐糖能異常などのリスクを管理する必要がある。

 片頭痛があると心房細動発症リスクが増加するという報告は今回が初めてであろう。

 心房細動に対してカテーテル・アブレーションを行ったら片頭痛が改善するという報告もある。

 片頭痛発作の回数が多い患者では脳梗塞を発症するケースが多いとの報告が散見される。

 片頭痛患者は、禁煙、ピルを使用しない、高血圧などのリスク管理、片頭痛の適切な治療を行うことで、脳梗塞発症を予防できる可能性が高いと考えられる。 

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