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脳腸相関病 [医療小文]

 機能性胃腸症(FD)や過敏性腸症候群(IBS)には心因が絡んでいる症例が多い。

 特にIBSは心理的・社会的ストレスで起こりやすい。

「この病気を考えるうえで、極めて重要なキーワードは、ブレイン・ガット・インタラクションズ(脳腸相関)だ」と専門医は解説している。

 大腸は脳に最も近い臓器で、「第二の脳」とか「心の鏡」といわれるくらい、情動作用においては腸が脳に直接働きかけている。

 腸はいつも脳に神経パルスを送り、脳は常に腸へ信号を出している。

 だからストレスがもろに腸管の運動機能と感覚機能の異常となって現れるのだ。

 運動機能の異常で、腸の動きが速くなると下痢をし、遅くなると便秘が起こる。

 腸がけいれん収縮すると腹痛が生じる。感覚機能が異常になると、腸にちょっとガスがたまっただけでも神経質に感知し、奇妙な苦痛を覚える。

 IBSはいわば「脳腸相関病」なので、これを治すには、単に腸を局所的に診るだけではいけない。

 心のケア──患者と医師との信頼関係が必要という。

 過敏性腸症候群(IBS)の治療薬としては、かつては主に①ポリカルボフィル、②トリメプチン、③抗コリン薬が使われてきた。

 ①は便の水分量を調節する薬で、下痢にも便秘にも効くが、効果が出るのに時間がかかる。

 ②は消化管の平滑筋や粘膜に作用して吐き気や痛みなどを和らげる。

 ③は神経伝達物質のアセチルコリンの作用を妨げ腸管のけいれんを抑える。

 東北大学総合診療部・本郷道夫教授(現公立黒川病院院長)らの調査では、一般臨床医がIBSの患者に処方するのは①が50%。②が16%。③が9%だった。

 2008年、下痢型IBS治療にイリボーという新薬が加わった。

 消化管の運動にかかわる神経伝達物質セロトニンの受容体を阻害することで、下痢、腹痛を抑える。
本郷教授によれば、

「これは日本発の画期的新薬」で、

「腹痛でトイレに駆け込むことがなくなった」

「通勤途中で途中下車しなくてよくなった」

「腹痛・排便の不安がなくなり、業務に集中できるようになった」

といった「嬉しい患者さんたちの声」がぞくぞく届いているそうだ。
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