医療機関、サプリメント活用 [健康短信]
医療機関でサプリメント活用を 病気や不調の改善を効率化
第18回日本抗加齢医学会(5月25~27日)で、田中消化器科クリニック(静岡市)の田中孝院長が、医療機関でのサプリメント活用の意義について報告した。
食生活の変化やストレスの増大、高齢化の進展などに伴い、慢性的な不調を訴える人が増えている。
その改善に、サプリメントが奏効するケースは確かにあるという。
こうしたことから医療機関には、患者に不足している栄養素を分析し、より的確なオーダーメイドサプリメント指導を行うことが求められていると主張した。
日本人の栄養状態は良いとは言えない
田中院長はまず、
「日本人の栄養状態は必ずしも良いとは言えない」と指摘した。
厚生労働省の2016年国民健康・栄養調査では、特に若い世代でビタミンやミネラルの不足が目立った。
20~29歳の女性では、カルシウムは基準の60.9%、鉄は61.9%、ビタミンCは65.0%しか摂取できていなかった。
その背景には、若い世代が生鮮食品を十分に取っていないという事情がある。
総務省の家計調査によると、「生鮮食品への家計支出」は1992年から低下し始め、2000年ごろに「外食+調理食品への家計支出」に逆転されて以降、両者の差は拡大を続けている。
すなわち、食事を自宅でつくらない人が増えたのである。
生鮮食品の代わりに微量栄養素が不足した加工食品や、ミネラルの吸収を阻害する食品添加物を含むコンビニ食を多く取るようになったために、ビタミンやミネラル摂取量が低下していると考えられる。
田中院長は、
「こうした問題を解決するためには、本来は生鮮食品を自分で調理してバランスの良い食生活を目指すべきだが、それは現代では容易ではない。
次善の策として、栄養剤やサプリメントを活用すべき」と述べた。
例えば、電子伝達系に関わるミネラルの一つでもある鉄は、欠乏すると貧血の他、食欲不振や神経過敏、出血しやすくなるなど、さまざまな症状を引き起こす。
ヘモグロビン値が基準範囲内であっても、貯蔵鉄(フェリチン)が不足していれば不調を来す。
こうした場合に一般的に用いられるのは、保険が適用される無機鉄である。
しかし、吸収率の面で無機鉄はヘム鉄に劣っており、ヘム鉄をサプリメントで補うのは良い方法だという。
もちろん、鉄欠乏の原因を探り、医薬品の投与、運動や食生活改善の指導を行った上で、サプリメントを活用することが重要となる。
栄養療法の中に正しくサプリメントを位置付ける
医師の間では、医療機関でのサプリメント販売に批判的な意見がある。
この問題について田中院長は、2014年に厚生労働省が、医療機関によるサプリメント販売は、患者に利益があれば問題ないという通達を発出したことを指摘。
これにより医療機関でサプリメントの使用を推奨する環境が整ったことを受け、田中消化器クリニックでは年間700万円ほどのサプリメントを販売していることを紹介した。
その上で同院長は、
「医師が正しい知識を持ってサプリメントを患者に提供することが重要である。
そのためクリニックではスタッフとともに栄養療法の講習を実施しており、患者がスタッフに質問すれば的確な答えが得られることを目指している。
こうした取り組みの結果、サプリメントを一度購入した患者は、リピートすることが普通」と述べた。
抗加齢医学会は現在、このような栄養療法のアドバイザーあるいはコンサルタントを養成する制度を整えようとしているという。
医学新聞「Medical Tribune」による。
第18回日本抗加齢医学会(5月25~27日)で、田中消化器科クリニック(静岡市)の田中孝院長が、医療機関でのサプリメント活用の意義について報告した。
食生活の変化やストレスの増大、高齢化の進展などに伴い、慢性的な不調を訴える人が増えている。
その改善に、サプリメントが奏効するケースは確かにあるという。
こうしたことから医療機関には、患者に不足している栄養素を分析し、より的確なオーダーメイドサプリメント指導を行うことが求められていると主張した。
日本人の栄養状態は良いとは言えない
田中院長はまず、
「日本人の栄養状態は必ずしも良いとは言えない」と指摘した。
厚生労働省の2016年国民健康・栄養調査では、特に若い世代でビタミンやミネラルの不足が目立った。
20~29歳の女性では、カルシウムは基準の60.9%、鉄は61.9%、ビタミンCは65.0%しか摂取できていなかった。
その背景には、若い世代が生鮮食品を十分に取っていないという事情がある。
総務省の家計調査によると、「生鮮食品への家計支出」は1992年から低下し始め、2000年ごろに「外食+調理食品への家計支出」に逆転されて以降、両者の差は拡大を続けている。
すなわち、食事を自宅でつくらない人が増えたのである。
生鮮食品の代わりに微量栄養素が不足した加工食品や、ミネラルの吸収を阻害する食品添加物を含むコンビニ食を多く取るようになったために、ビタミンやミネラル摂取量が低下していると考えられる。
田中院長は、
「こうした問題を解決するためには、本来は生鮮食品を自分で調理してバランスの良い食生活を目指すべきだが、それは現代では容易ではない。
次善の策として、栄養剤やサプリメントを活用すべき」と述べた。
例えば、電子伝達系に関わるミネラルの一つでもある鉄は、欠乏すると貧血の他、食欲不振や神経過敏、出血しやすくなるなど、さまざまな症状を引き起こす。
ヘモグロビン値が基準範囲内であっても、貯蔵鉄(フェリチン)が不足していれば不調を来す。
こうした場合に一般的に用いられるのは、保険が適用される無機鉄である。
しかし、吸収率の面で無機鉄はヘム鉄に劣っており、ヘム鉄をサプリメントで補うのは良い方法だという。
もちろん、鉄欠乏の原因を探り、医薬品の投与、運動や食生活改善の指導を行った上で、サプリメントを活用することが重要となる。
栄養療法の中に正しくサプリメントを位置付ける
医師の間では、医療機関でのサプリメント販売に批判的な意見がある。
この問題について田中院長は、2014年に厚生労働省が、医療機関によるサプリメント販売は、患者に利益があれば問題ないという通達を発出したことを指摘。
これにより医療機関でサプリメントの使用を推奨する環境が整ったことを受け、田中消化器クリニックでは年間700万円ほどのサプリメントを販売していることを紹介した。
その上で同院長は、
「医師が正しい知識を持ってサプリメントを患者に提供することが重要である。
そのためクリニックではスタッフとともに栄養療法の講習を実施しており、患者がスタッフに質問すれば的確な答えが得られることを目指している。
こうした取り組みの結果、サプリメントを一度購入した患者は、リピートすることが普通」と述べた。
抗加齢医学会は現在、このような栄養療法のアドバイザーあるいはコンサルタントを養成する制度を整えようとしているという。
医学新聞「Medical Tribune」による。
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