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受動喫煙の害→卒煙の方法 [健康短信]

見過ごせない! 受動喫煙の害

 たばこの副流煙(たばこの先から出る煙)には、主流煙(喫煙者が吸う煙)よりも多くの有害物質が含まれており、ニコチンは主流煙の2.8倍、発がん性物質であるジメチルニトロソアミンは最大で129倍にもなります。

 厚生労働省の発表では、副流煙や喫煙者が吐き出した煙、たばこのにおいが染みついたカーテンや家具などから有害物質を吸い込む「受動喫煙」による病気で、年間に1万5000人が死亡しています。

 子どもの場合はSIDS(乳幼児突然死症候群)やぜんそくを引き起こすおそれもあり、妊婦では低体重児出産のリスクが高まります。

 これらの被害は、喫煙スペースを分ける「分煙」では完全に防ぐことはできないため、社会全体で禁煙に取り組むことが必要です。

 また、電子たばこや加熱式たばこのニコチン含有量は、従来のたばこの約80%でそれほど変わらないため、当然、受動喫煙の害もあります。

「禁煙補助薬」と「禁煙指導」の二つが柱

 禁煙外来では、ニコチン切れの症状を抑える禁煙補助薬を用いながら、禁煙指導を受けます。

 3カ月で5回受診するのが一般的ですが、一部の健康保険組合が連携する医療機関では、PCやスマホでの診察が受けられる場合に限り、遠隔診療も認められるようになりました。

 禁煙補助薬(貼り薬か飲み薬)を選択

 禁煙補助薬には、貼り薬の「ニコチンパッチ」と、飲み薬の「バレニクリン」があります。

 市販薬の「ニコチンガム」は、保険が適用されず自費購入となります。

 ■「今日から1本も吸わない!」という人は「ニコチンパッチ」

 1日1回、腕などに貼り、ニコチンを皮膚から吸収させて「たばこを吸いたい」という気持ちを抑えます。

 パッチを徐々に小さいサイズに替えていくことで、2か月程度でパッチなしでの禁煙が可能に。薬局などで、医師の処方箋がなくても購入できます。

■「今日から禁煙は無理!」という人は「バレニクリン」

 バレニクリンはニコチンに似た作用をもつ飲み薬ですが、ドパミンの放出量は少ないので依存は起こりません。

 脳内でニコチンの作用部位にバレニクリンが結合すると、その部位にはニコチンが作用できなくなるため、たばこを吸っても「おいしい」と感じなくなります。

 1日1錠から服用を始め、1週間かけて量を増やしていくので、服用開始から1週間は喫煙してもかまいません。

 禁煙指導で習慣や未練を断ち切る

 禁煙外来では、初診時にたばこへの依存度をチェックし、問診で禁煙する目的などを確認したうえで「禁煙宣言書」にサインをします。

 その後は、禁煙に役立つ具体的なアドバイスを受けることができます。

 <環境を整備する>「自宅にある灰皿やライターを捨てる」「いつも吸っていた場所に物を置いて封鎖する」など、生活の中でたばこを吸いやすい環境をなくします。

<代償行動を決める>「ガムを噛む」「飴をなめる」「飲み物を飲む」、または「深呼吸をする」「体を動かす」「音楽を聴く」など、たばこを吸いたくなったときに代わりにする行動を前もって決めておきます。

「たばこを吸う」という動作をしないことが重要なので、疑似たばこ(たばこの形をしたスティックなど)を吸うのは避けましょう。

<行動パターンを変える>食後の一服が習慣になっていたのであれば、「食後すぐに席を立つ」「食後ゆっくり歯みがきをする」などして、「食後にたばこを吸う」という行動パターンを変更します。

 これらの方法により禁煙を続けていくと、吐く息に含まれる一酸化炭素の濃度が下がっていきます。

 禁煙へのモチベーションを維持するために、多くの医療機関では受診のたびに呼気の測定を行い、禁煙の成果を数字で確認できるようにしています。

 再喫煙を防ぐには

 飲み会の席などで「1本くらいなら」と吸ったことがきっかけで、再喫煙に至るケースが多く見られます。

 禁煙してしばらくの間は、喫煙可能な店に行くのは控えた方がよいでしょう。

 また、家族や同僚に禁煙することを宣言しておくと、外食時は完全禁煙の店にするなど協力も得られやすくなります。

 また、「たばこはおいしい」という記憶は、再喫煙を招く原因になります。

 禁煙外来で「たばこはおいしくない」と感じる経験をしておくことも重要です。

 たばこは吸っている本人だけではなく、周囲の人々の健康にも悪影響を及ぼすもの。たばこへの執着を断ち切り、「禁煙」ではなく「卒煙」することをめざしましょう。

 禁煙治療は保険診療が可能です

 禁煙治療では「1日当たりの喫煙本数×喫煙年数=200以上」であることが保険診療の条件となりますが、35歳未満であれば、この条件に当てはまらなくても保険診療の対象になります。

 3割負担の場合、3か月間の治療費の目安は、診察料や薬代など合わせて1万3000~2万円程度(1日約230円)です。

 なお、過去に保険診療により禁煙治療を受けた人が再び治療を受ける場合は、前回の治療の初回診察日から1年が経つまでは自由診療(全額自己負担)となります。

 監修:村松弘康(中央内科クリニック院長、東京慈恵医科大学非常勤講師)
「みんなの健康ライブラリー」より (C)保健同人社
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