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不眠症の認知行動療法 [医療小文]

不眠症向けのデジタル認知行動療法
 RCTで長期有効性が明らかに

不眠症に対する認知行動療法(Cognitive Behavioral Therapy for Insomnia  CBT-I)については豊富なエビデンスが集積されており、その効果は短期的だけでなく10年の長期にわたりその効果が持続することが報告されている。

近年、インターネットを用いたデジタル認知行動療法(dCBT-I;digital CBT-I)が開発され、短期的な不眠症の改善効果が示されている。

米・ヘンリーフォード病院、睡眠障害研究センターのAndrea Cuamatzi-Castelan氏らは、dCBT-Iの長期有効性をランダム化比較(RCT)試験で検討。

ランダム化比較(RCT)試験=評価のバイアス(偏り)を避け、客観的に治療効果を評価することを目的とした研究試験の方法

不眠症改善効果は1年間の長期に渡り持続されることを明らかにし、第32回米国睡眠学会で発表した。

dCBT-Iとメール教育を比較

Castelan氏らは『精神疾患の分類と診断の手引き第5版』に基づき不眠症と診断された18~65歳の1,385例を、dCBT-I群(945例)と睡眠教育を行う対照群(440例)に2:1でランダムに割り付け、12カ月間追跡した。

dCBT-I群にはオンラインによるCBT-Iを週1回、6週間にわたり実施し、対照群には睡眠衛生に関する内容の電子メールを週1回、6週間にわたり送信した。

不眠重症度を介入前、介入後(6週後)、12カ月後の3回測定し、dCBT-Iの有効性を評価した。

対面式のCBT-Iは、主に①行動療法(睡眠時間制限、刺激調整、リラクセーション)②認知療法(認知再構成、マインドフルネス)③患者教育(心理教育、睡眠衛生教育)-の3つの要素で構成される。

dCBT-Iのプログラムは対面式のCBT-Iを踏襲しており、ウェブサイトまたは専用アプリからアクセス可能な睡眠改善プログラムを使用。

アニメーション化された認知行動療法士が1週間ごとに実践するプログラムを案内する。

試験期間中、被験者は並行して睡眠日誌を記録した。

同プログラムは入力内容に応じて睡眠指標データや進捗度が表示されるなど、双方向型で構成されている。
dCBT-I群は1年後も効果が持続

解析対象は、dCBT-I群358例、対照群300例。平均年齢はそれぞれ44.5歳、45.7歳で、両群とも女性が約8割を占めた。

収入が比較的低い患者の割合はそれぞれ26.5%、32.0%、この他、人種の多様性や学歴なども含め、両群の患者背景は同等だった。

介入前と比べた6週後のISIの変化量はdCBT-I群で有意な改善が認められ、プログラム終了6カ月後(介入前から12カ月後)もdCBT-I群の不眠症の改善効果は持続していた。

ISIスコア8をカットオフ値とした場合の6週後の寛解率は、対照群に比べてdCBT-I群で有意に高く(14% vs. 54%)、12カ月後も持続していた。

以上の結果から、Castelan氏は「今回の研究は自己申告に基づいており、主な対象が女性であるなどの限界はあるものの、dCBT-Iは短期的だけでなく1年間の長期的な有効性を示した」と評価。

「今後はdCBT-Iが対面式のCBT-Iに比べアクセスがより容易かつ安価な代替プログラムと成りうるか否かについて、リアルワールドで有効性を検証する必要がある」と展望した。
(SLEEP 2018取材班)

「MedicalTribune 」による。
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