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危険なプールやスパ [健康短信]

死に至ることも プールやスパは危険な病原体の温床

 夏の楽しみであるプールやスパ(温水浴槽)、水遊び場は、危険な病原体の温床となる可能性があり、中には死亡に至る事例もあることが、米疾病対策センター(CDC)の下部組織である米国立新興・人獣共通感染症センター(NCEZID)の調査により分かった。

 この調査結果は、「Morbidity and Mortality Weekly Report(罹患率および死亡率週次報告=MMWR)」に掲載された。

 NCEZIDによると、2000~2014年に流行した水媒介性感染症のうち、3分の1がホテルなどのプールやスパで発生している。

 報告書の筆頭著者であるNCEZIDのMichele Hlavsa氏は「公共施設のプールや大型の浴槽を適切に管理するために必要な塩素濃度は、過小評価されていることが多い」と指摘する。

 報告されている事例のほとんどは、クリプトスポリジウム、レジオネラ菌、シュードモナス菌の3種類が原因であった。

 クリプトスポリジウムは、適切に塩素処理したプールでも生存可能な寄生虫で、下痢によって汚染されたプールの水を飲み込むことにより感染することが多い。

 シュードモナス菌とレジオネラ菌(いずれもレジオネラ症の原因となる)は殺菌剤への抵抗性を有し、皮膚、目、鼻を通して体内に侵入するとHlavsa氏は説明する。

 レジオネラ菌は、重度の肺炎とインフルエンザ様の症状を引き起こし、シュードモナス菌は「温浴毛包炎」(hot tub rash)や外耳炎の原因となると、CDCは説明している。

 50歳以上の人、喫煙者または元喫煙者、慢性肺疾患のある人、免疫系の低下した人は、レジオネラ菌に感染しやすいという。

 今回の報告によると、00~14年に全米46州、およびプエルトリコで報告された水媒介性感染症の発生数は493件で、2万7219人以上が罹患し、8人が死亡した。

 感染源が特定された363件のうち58%がクリプトスポリジウムによるもので、16%はレジオネラ菌、13%はシュードモナス菌が原因であった。また、それぞれ罹患した患者数の89%、3%、4%を占めていた。

 米ニューヨーク大学ランゴン医療センターのMarc Siegel教授は、

「プールなどの水は十分に浄化して塩素処理を行い、フィルターを定期的に交換し、水を循環させる必要がある」と指摘するとともに、利用者の側にも病原体を拡散させないように努める責任があると述べている。

 CDCは、感染防止の対策について以下のように助言している。

・子どもが下痢をしているときはプールに入らせない。

 クリプトスポリジウム症にかかった場合は、下痢が止まって2週間経過してからプールに入る。

・子どもをトイレに行かせる時間を設ける。

 おむつの交換はプールから離れた専用の場所で行う

・水質検査の結果を確認する

・試験紙を用いて塩素濃度を確認する

・プールの水を飲み込まない

(HealthDay News 2018年5月17日)Copyright [コピーライト] 2018

「毎日新聞 医療プレミア」より転載

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