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冷酒は体に悪い?  [医学・医療・雑感小文]

冷酒は体に悪い? 

◎益軒が広めた迷信

白玉の歯にしみとほる秋の夜の 酒は静かに飲むべかりけり    若山牧水

新酒が出盛る酒飲みにうれしい季節が到来する。

「熱燗」「人肌」「冷や」といろんな飲み方が楽しめるのが、日本酒のうれしい特長だが、ときどき「冷酒は体にわるいよ」といわれることがある。

子どものころ、ばあさんが、おやじにそう言ってたしなめているのを聞いたこともある。

この古い俗信の出どころは、貝原益軒の『養生訓』だと、昭和時代の著名な医学評論家だった故・石垣純二氏が著書『常識のウソ』に述べている。

同書収載の「冷酒は胃によし」と題された一文は、

「各地を講演旅行していて男性からよく聞かれる質問が、『冷やはからだに良くないそうですね』というのです」と始まり、

「実はこれは二百五十年昔、貝原益軒先生がその『養生訓』で日本中にひろげたトンデモナイ迷信の一つです。

その巻三に『酒は夏月も温なるべし、冷酒は脾胃をやぶる』とあります。それがずっと口から耳へ、耳から口へと口伝され、今日なんとなく信じこまされているわけです」と続いている。

◎冷えは万病の元

この石垣説に対して、それこそ「トンデモナイ迷論」だと、冷え症に詳しい統合医療の専門医、川嶋朗・東京有明医療大学教授は言い切った。

健康雑誌『壮快』の「名医に聞く」という記事の取材で、東京女子医大付属青山自然医療研究所クリニック所長だった川嶋先生の話をうかがったときのことである。

「冷えは万病の元」についての解説・助言のなかで先生が、

「とにかく、まずは冷たいものをやめる、極力、避けることから始めるべきです。

こういうと、口の中に入れてあっためてから体の中に入れれば同じではないかという人がいますが、それは違います。

体はつながっていますから、口の中にポンと入れた瞬間、胃腸はたちまち収縮して血液を減らすのです」と話した。

そこで、聞き手(丸山)が、

「かつて医師で医学評論家の石垣純二さんが、冷や酒が体によくないというのはウソだ。

冷酒だろうが、冷たいビールだろうが、数秒で食道を通過して胃に入ると、数分間で体温の37度になるのだから……といっていて、説得力あるなと思ったのですが」と聞いたのに対して、先生は、こう答えている。

◎臓器別医療の誤解

「それこそ、臓器別医療、体の全体を診ないで、個々の臓器だけを診ようとする今の西洋医学の考え方です。

人の体は全部つながっていて、口にものが入ると、その情報を脳は瞬間的に感知し、腸が反応する。当然です。脳と腸はつながっているのですから。

ですから、冷え症を治すには、まず冷たいものをとらない。次は火を通す。それでもダメなら最後は食材を考える。食物には、温める食材、冷える食材があります。

例えば、夏野菜は体を冷やしますから、できるだけ火を通したほうがいいし、最終的にはとらないほうがいいということになります」(雑誌『壮快』2006年1月号「名医に聞く」より)

むろん、これは冷え症を治すための心得であって、そうではない頑健な体の持ち主が冷酒を愛飲するのは、まあ、よいのではないだろうか。飲み過ぎさえしなければ─。

もっとも、なぜ「冷酒が胃によい」のかの理由については、石垣さんも、

「いんちきなおかみが二級酒を特級といつわって出すとき、熱カンにするのでもわかるとおり、冷酒の方がよく味覚を刺激し、のどごしのデリケートな味をよく伝えることは事実です」としか述べていないのだが。
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ホント?肥満は健康・美容の敵 [医学・医療・雑感小文]

肥満はホントに健康・美容の敵か?


◎リンゴ型と洋梨型

世を挙げてのダイエット流行が始まったのは、いつごろだっただろう? 1970年代か? いや、60年代か?

いずれにせよ、世紀を超えて「やせ願望」「肥満恐怖」の時代がつづいているわけだ。

肥満は、健康の敵! 美容の敵! ホントにそうか? 半分ホント、半分ウソである。

肥満には二つのタイプがある。

一つは上半身に脂肪がつくリンゴ型肥満。

上半身肥満、中心性肥満ともいい、手足が細くておなかがでている。糖尿病など生活習慣病になりやすい。

もう一つはお尻や太ももに脂肪がつく洋梨型肥満。健康な女性によく見られる。

同じように太っていても、病気になる太り方と、ならない太り方があるわけで、このことに気づいた医学者が、スェーデンのピヨントルプ、アメリカのキッセバーなど。

彼らの考えは、肥満の実態は皮下脂肪─というもので、日本でも「腹の皮をつまんで、週刊誌の厚さまでなら合格、電話帳だったらアウト」などといわれていた。

これを「まったく逆!」と指摘したのが、大阪大学医学部第2内科のチーム(松澤佑次教授=当時)である。


◎メタボという名の病態

リンゴ型肥満の人の腹部をCTの輪切り画像で見たら、皮下脂肪はごく少ないが(だから腹の皮をつまむと薄い)、腹腔(腸間膜、肝臓、腎臓など内臓の間)にどっさり脂肪がたまっていることがわかった。

1987年、「内臓脂肪症候群」という病態を提唱した。

同じころ、上半身肥満、耐糖能異常、高脂血症、高血圧といった要因が重なると、心筋梗塞や脳梗塞など動脈硬化性の病気の罹患率が高くなることに着目した、いずれもアメリカの医学者が、88年に「シンドロームX」、89年に「死の四重奏」―と名づけた概念を発表した。

「だが、内臓脂肪に重点をおいたのは、われわれだけで、これはCTスキャンが日本でよく使われていた機器だったことが幸いした」と松澤先生。

やがて、この内臓脂肪型肥満という状態を欧米の専門家も認めるようになった。

「それまで彼らはBMI(肥満指数=体重・キロを身長・メートルの2乗で割った数値。22が理想指数)が30を超えると心臓病などのリスクが高くなると、肥満の程度ばかりに重点をおいていた。

われわれは、問題は肥満の程度ではない、質=内臓脂肪なんだと主張してきて、それを彼らも認めてくれたのが、1990年代の終りごろです」。

そして「メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)」という概念が世界的に成立した。

いまやだれでも知っているように、メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪型肥満が基盤としてあって、それに高血圧、糖代謝異常、脂質代謝異常が二つ以上加わったもの。

ひらたくいえば、腹の中に脂肪がたっぷりたまっていて、そこへもってきて血圧が高かったり、糖尿病のケがあったり、中性脂肪が多かったり…といった悪条件が二つ以上重なるとヤバイよ、というわけ。

2005年4月、日本内科学会など8学会は、日本独自の(日本人の体格に合わせた)メタボリックシンドロームの診断基準を発表。

松澤佑治・日本肥満学会理事長(住友病院院長)が診断基準検討委員長を務めた。

そして2008年4月からは、メタボリックシンドロームの該当者・予備群をへらすための、40~74歳を対象とする「特定健康診査(特定健診)」、いわゆる「メタボ健診」が実施されるようになり、「メタボ」という略語が全国民的に定着した。

そんなわけで、ひとくちに「肥満」といってもやっかいなのは内臓脂肪のほうで、皮下脂肪はまったく問題ない。


◎「小太りじいさん」は長生きだ

半面、やせすぎにも大いに問題がある。

無理なダイエットをつづけていると、栄養失調、貧血、骨粗しょう症、生理不順を招き、血液中のコレステロールが減少し、脳出血を起こしやすく、肌の色つやが悪くなり、老けてしまう。

東京都老人総合研究所が行った約2000人の高齢者の追跡調査によると、男女ともに「やせ」グループの死亡率が最も高く、次が「太りすぎ」グループ、「普通」グループという順で、最も長生きしたのは「やや肥満」グループだった。

元気に長生きするのは「小太りじいさん・ばあさん」で、ほんとうに魅力があるのは「ぽっちゃり娘・ふっくらおばさん」。

不適切なダイエットこそ美容と健康の大敵なのだ。
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正座と膝痛とカルシウムの関係 [医学・医療・雑感小文]

正座と膝痛とカルシウムの関係

◎正座するべし!

中年過ぎの人のひざが痛くなる病気といえば、まず「変形性膝(しつ)関節症」だ。

「肥満や正座などひざへの負担がかかる生活を続けた人の軟骨や半月板の弾力性が損なわれ、軟骨同士がこすれてすり減る病気」というのが、一般的な解説である。

ただし「正座」に関してはそうではないと、かつて面接取材した黒澤尚・順天堂大学医学部特任教授に教えていただいた。

その記事を開いてみると、変形性膝関節症の原因を列挙したあと、Q&Aは下のように続いている。

─正座の習慣は関係ありませんか?

黒澤 それはよく問題にされることで、多くの先生が、変形性膝関節症は正座をしたからで、正座なんかしちゃいかん、とおっしゃるのですが、私は、それは<常識のウソ>だと思います。

正座は、むしろよいことなんです。

あるアメリカの専門医は、日本人に変形性膝関節症が少ないのは、正座といういい習慣のせいだ。

だから軽症の変形性膝関節症の患者に対しては、1日に1回は必ず<ジャパニーズ・シッティング>をするように勧めていて、非常によい効果を上げている、と報告しています。

─なのに、なぜ、日本では正座がよくないと言われるのでしょう?

黒澤 変形性膝関節症になった人が、正座のように完全に膝を曲げるようなことをすれば、痛いにきまっています。

その結果だけを見て(原因と取り違えて)正座はよくないと言っているのです。

では、なぜ正座がいいのかといえば、たいていの人が(外人のように正座の習慣のない人は特に)60歳ぐらいになると、膝が完全には伸びきらず、曲がりきらないようになってきます(「拘縮」という)。

正座はそれに対して膝のストレッチングになり、柔軟性を保たせるという利点があるのです。

ですから、私は、重症の人は別ですが、軽い変形性膝関節症の人には、また正座ができるようになる訓練をしなさいと勧めています。

痛い最中はなかなかできませんが、お風呂で体が温まると、痛みが少なくなり、曲げやすくもなります。

お風呂でじゅうぶん温まったら、まず浴槽の中でしゃがみなさい。

しゃがむことができたら、こんどは正座をしなさい。多少の痛みは我慢してやりなさい。やってもあとに引く心配はありません。

正座は、変形性膝関節症を防ぐにも、治すにも、膝関節の柔軟性を保つ、とてもよい方法なのです。

ただし、うんと悪くなった人は、膝の可動域(動かせる範囲)が小さくなって、3分の2ぐらいまでしか曲がらなくなります。そういう人はもう正座はできませんが、それでもいいから、やはりお風呂の中で少しでも曲げるストレッチングをする。これがとても効果的なのです。

どうですか? 拙著『名医が治す』(マキノ出版)より記事の一部を引用したが、説得力があるでしょう。

この話を聞いてから、私も入浴中かならず数分間、正座するよう心がけてきた。

そのおかげか、このトシ(84歳)になっても、膝の痛みを知らない。

変形性膝関節症になりやすいといわれる、ひどいガニ股なのだが。


◎カルシウム、関係ない!

ついでにもう一つ─。

「骨」といえば「カルシウム」だが、カルシウムは、骨そのものの病気=骨粗しょう症には関係あるのだが、関節の病気には関係ない。

変形性膝関節症は、関節の軟骨がすりへる病気だから、カルシウムを摂ってもなにも変わらない。

不用意にカルシウムを摂り過ぎると、腎結石などができるから注意したほうがよい。

これも黒澤先生の助言である。
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ビールは太らない食品 [医学・医療・雑感小文]

ビールは太らない食品

「あんなにビールばっか飲んでてよく太らないわねぇ」と、テレビの前の女性。

テレビのなかでは、深田恭子とミムラがおしゃべりしながら大きなジョッキをぐいぐいやっている。

「いや、ビールは太らない食品なんだよ」

「ウソッ、だって、糖質いっぱい入ってるでしょう? ビール太りとか、ビール腹とかいうじゃないの」

「ま、たしかに100㌘当たりの炭水化物(糖質)をみると、ビールは3.1㌘、焼酎やウイスキーの0㌘と比べると糖質飲料だよ。

だけど白米めしの37.1㌘や食パンの46.7㌘、焼き芋の39㌘などと比べたらばケシ粒みたいなもんだよ。

大ジョッキ3杯いっても、ごはん1膳よりもずっと低カロリーなんだから」

「じゃ、なんでビール腹とかビール太りとかいうのよ」

「あ、それは明治時代のハマっ児の誤解らしいよ」


◎「ビール腹」は明治時代の誤解

明治の初め、横浜にやってきてビールの醸造を伝えたドイツ人の技師たちが、でっぷり太ってるのを見て、ビールのせいだと誤解、ビール太り、ビール腹と形容したのが、はじまりなのだという。ビアだるの形からの連想もあったのだろう。

「ビール腹 太って丸く突き出た腹。ビールを飲みすぎるとなるという俗説がある」=『広辞苑』。そう、まったく非科学的な俗説なのである。

では、ビールを飲んでもホントに太らないか?

はい、太りません。

「ビールは液体のパン」と、ヨーロッパでは古くからいわれてきたようだが(どちらも麦を原料とするからか)、これを戦後間もない食糧不足のころ、日本のビール会社が広告の惹句に用いた。

「ビールは液体のパンです」。

むろんビールにパンのような栄養はない。誇大広告のようなものだ。

アメリカのビール会社の「ビールは太らない食品です」のほうが、科学的にはずっと正しい。


◎ビールとこんにゃくは同類

ビール100㌘中の三大栄養素は、先に記したように炭水化物は3.1㌘、たんぱく質が0.3㌘、脂質はTr(ほとんど0にひとしい微量)である。

『食品成分表』をめくって、ある食品のそれらを調べてみた。

炭水化物3.3㌘、たんぱく質0.1㌘、脂質0.1㌘。

これ、何だと思いますか? こんにゃくです。

ビールは、究極のダイエット食品・こんにゃくとほとんど差異のない低栄養なのである。

だからビールをいくら飲んでも太る気づかいは無用である。

それどころか、もしもビールを飯代わりにしてロクなものを食べないことを続けていると、低たんぱく血症になって免疫力が低下、ちょっとした病気でころっといっちゃうだろう。

ビールを飯代わりにするのだったら、せいぜいつまみをバランスよく食べることだ。

ただし、ヤキトリだのカツだのギョーザだのフライドポテトだの(ビールには何でもよく合うからなあ)食いたい放題食ってたら、そりゃ絶対太ります。

ところで、ビールの90%以上は水分だから、どっさり飲めば当然、尿量がふえる。

おまけにアルコール(3.8%)の利尿作用が加わり、相乗効果を発揮する。

ドイツ留学中の森鷗外が、「ビールの利尿作用」を、人による実験で確かめて学会発表、大いに喝采を得た記録が残っているそうだ。

泌尿器科のドクターが、尿路結石の患者に、「ビールを飲んでナワトビしなさい」とすすめるのも、ビールの利尿作用の利用にほかならない。
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痛風とビールの関係 [医学・医療・雑感小文]

痛風とビールの関係

◎尿酸とプリン体

「アルコールはなるべく控えたほうがよい。とくにビールはよくない」

 医者にそう言われて、うまそうにジョッキを傾ける相手を恨めしく横目で見ながらウイスキーをチビチビすすっている、痛風持ちの男性(痛風患者の95%以上は男性)が少なくない。

なぜ、痛風にビールはよくないのか?

痛風は、血液の中に尿酸という物質が異常に増加した「高尿酸血症」がベースとなって起こる生活習慣病だ。

高尿酸血症になりやすい生活習慣は六つ。

①プリン体の多い物の食べ過ぎ。

②水分の不足。

③肥満。

④酒の飲み過ぎ。

⑤激しい運動。

⑥ストレス。

順番に説明します。

プリン体は細胞の中にある成分だから、動物はみんなもっているし、植物にもすべて含まれている。

それを食べると、体内で分解されて、尿酸ができる。

だから高プリン体の食べ物をたくさん食べると、尿酸値が上がる。

例えば、豚、牛、鶏のレバー類。カツオ、サバ、イワシなどの背青魚、白子、エビ、イカ、煮干し、干しシイタケなどが主な高プリン体食品だ。

といっても、食べ物によってできる尿酸の量は、体の中でつくられる尿酸の6分の1に過ぎない。

食べ過ぎなければいいわけで、神経質に制限する必要はない。


◎痛風はビールを飲みながらでも治る!

体の中でつくられた尿酸の3分の2は、尿から排泄される。

水分のとり方が少ないと、尿量がへり、尿酸の体外への排泄が少なくなる。

肥満も尿酸の排泄を低下させる。

酒は、アルコールの代謝に関連して尿酸をふやすが、そのうえビールにはプリン体が含まれているので、さらに要注意である。

運動は、ウォーキング程度の軽い運動だと尿酸値を下げるが、激しい運動は逆に上げる。

激しい運動によって分解される筋肉中の物質が、尿酸のもとになるからだ。

ストレスがかかると出てくるアドレナリンなどの“ストレスホルモン”も尿酸値を上げる。

─というようなことで、“ウイスキーチビチビ”になるわけです。

だが、そんな心配は全くご無用と、二人の専門医が述べている。

痛風治療の名医として知られる西岡久寿樹・東京医大医学総合研究所所長によると、30分間で500㍉㍑のビールを飲んだときの尿酸値の上昇はわずか0.2㍉だった。

「尿酸値は、ちょっと運動しただけでも1㍉前後、上昇する。0.2㍉ぐらい、どうってことはない」(注=尿酸値の基準値は血液100㍉㍑中7㍉㌘)。

納光弘・鹿児島大学医学部内科教授は、ご自分が痛風になったとき、「これは神様が与えてくれたチャンスだ」と思い、わざと大酒飲んでみたり、酒の種類を変えてみたり、逆に禁酒したり、自分の体を実験台にしていろいろ試しながら、尿酸値を測定した。

結果、わかったことは、ビール6本とか焼酎や日本酒を5合以上も飲んだ翌日は、確かに尿酸値が上昇した。

だが、ビール1本や焼酎1合は、尿酸値には全然、影響しなかった。

むしろいくらか下がりさえした。

「アルコール自体には尿酸値を上げる働きがある。

しかし、酒飲みにとっては、適量のアルコールならば、飲んだほうがストレス解消に役立ち、逆に尿酸値を下げる効果がある。

ビールに含まれるプリン体の量は100㌘中わずか5㍉㌘。レバーや白子などと比べると、微々たるものです」

納教授のその体験は、『痛風はビールを飲みながらでも治る!』(小学館文庫)に詳しい。

言うまでもないことだが、それはあくまでも適量(缶ビール1コ程度)に限った話、飲み過ぎは絶対禁物ですよ。
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食塩と高血圧のウソ・ホント [医学・医療・雑感小文]

食塩と高血圧のウソ・ホント

◎高血圧の98%は「本態性」

高血圧は、「一次性高血圧」と「二次性高血圧」に分類される。

一次性高血圧は「本態性高血圧」とも呼ばれる。

本態性とは、原因不明の症状や病気にかぶせる医学的な冠詞のようなもので、症状それ自体が病気の本態だという意味である。

二次性高血圧は、腎臓病やホルモン異常などのために起こる。「続発性高血圧」である。

原因となった病気が治れば高血圧も改善する。

普通、単に「高血圧」といえば一次性高血圧のことで、高血圧症の98%を占める。

明確な原因はわかっていないが、血圧を上げる要因として、食塩のとりすぎ、加齢による血管の老化、ストレス、過労、運動不足、肥満、そして遺伝的素因(体質)があげられている。

なかでも最大の要因とされているのが、食塩のとりすぎである。

食塩(ナトリウムと塩素の化合物)を過剰にとると、体内のナトリウムの濃度を一定に保とうとして水分がふえる。

そのため体内をめぐる血液の量と、心臓から送り出される血液の量がふえるので、血圧が高くなる。

だから食塩の摂取を抑えることは、高血圧の予防・治療の必須条件─とされている。

だがこの「健康常識」は必ずしも正しくない。食塩をとりすぎても高血圧にならない人がけっこう多いし、逆に食塩をとりすぎなくても高血圧になる人もずいぶん多いからだ。


◎減塩で悪化する高血圧もある!

現に一生懸命、減塩食を励行してもさっぱり効果の得られない高血圧の人もたくさんいる。

もともと食塩をとりすぎたために上がった高血圧ではないのだから、食塩をへらしたからといって、おいそれと下がる道理はないのである。

それどころか、減塩によってさらに高血圧が増悪することさえある。

血液中のナトリウムの濃度が極度に低下すると、ノルアドレナリン(副腎などから分泌されるホルモン)とかレニン(主として腎臓から分泌される酵素)といった血圧上昇物質がふえてくるからだ。

このような場合は、一時的に食塩をすこし多くとると、血圧が下がってくるという。

「減塩食にしたことによって生命を失った人と、食塩をとりすぎたために生命を失った人と、どちらが多いだろう。それは当然、前者である」

と言ったのは、高血圧の生理学的原因や疫学研究で重要な業績を残した、英オックスフォード大学教授のサー・ジョージ・ピッカリングである。

同じような警句を日本の医学者からも聞いたことがある。

「ビタミンの欠乏は特定の病気を引き起こすだけだが、塩の欠乏は命を奪うことになる」=青木久三・元名古屋市立大学医学部第二内科教授。

高血圧自然発症ラットの開発と、本態性高血圧症の原因を解明する「カルシウム膜学説」を提唱、1983年、米高血圧学会賞を受賞した、高血圧の専門医である。

むろん、だからといって、食塩などいくらとってもかまわないとは、ピッカリングも言ってないし、青木教授も言われなかった。

食塩の過剰摂取によって起こる高血圧があるのも、厳とした事実である。

だがそれは高血圧症の一部でしかない。

青木教授によれば、食塩のとりすぎ、肥満、ストレスなどによる高血圧は、食塩過食性高血圧、肥満性高血圧、ストレス性高血圧と呼ぶべきものである。

◎高血圧の真因は「遺伝」である

純然たる本態性高血圧症は、そうした血圧上昇のトリガー(引き金)なしの、自然に起こってくる高血圧のことである。

その原因は、血管の筋肉(動脈平滑筋)の細胞の中に、筋肉を異常に収縮させる作用をするカルシウムがふえてくるためで、それを決定づけるのは遺伝的素因=主遺伝子である。

治療には動脈平滑筋へのカルシウムの流入を抑える「カルシウム拮抗薬」を用いるとよい。

一方、食塩をとりすぎたり、太ったりすると血圧が上がる人も、そうした遺伝的素因をもっているが、それは副遺伝子のはたらきによる。

そういう人は、食塩のとりすぎを避けることによって、あるいは標準体重を保つことによって、高血圧を防いだり、治したりすることができる。

反対に、いくら塩辛いものを食べても、けっこう太っていても、血圧が上がらない人も少なくない。高血圧の遺伝子をもってないからである。

「単純明快ですね」と言ったら、

「ええ、自然はその本質において単純である。湯川秀樹博士のことばです」と、青木先生は答えた。
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水の正しい飲み方 [医学・医療・雑感小文]

水の正しい飲み方

◎水分補給が運動能力を上げる

夏の甲子園のテレビ放送に映ったダグッアウトを見て、安心した。

選手たちが水を自由に飲んでいたからだ。

昔―といっても、それほど遠くない昔―の運動指導者は、運動中は水を飲ませなかった。

胃がだぶついて呼吸運動に影響したり、競技のリズムが狂ったり、汗を余計にかいてそれだけ疲労度が大きくなる─といった理由だった。

この考えには科学的根拠がないばかりか、非常に危険だと専門家は断言している。

汗をかいて体重の2~3%に相当する水分が失われると、循環機能に影響が出始める。

5%程度になると持久力が低下し、7%になると幻覚が現れる。

10%以上になると意識がなくなり、最も重症の熱中症(熱射病)で死ぬケースが出てくる。

運動によって失われた水分は、運動中に補給したほうが、そのあとの運動能力が向上することが、現在のスポーツ医学では証明されている。

体内の水分が足りなくなると、普通はのどの渇きを覚えるが、激しい運動中は興奮や緊張で渇きを感じないことがある。

長時間運動をするときは、あらかじめ水を飲んでおくべきだ。

朝の起き抜けにジョギングやウォーキングをするときも、必ずコップ1杯の水を飲んで、家を出よう。

渇きを覚えたら(いや、渇きを覚える前に)水を飲もう。

◎体の中の水分の役割

夏、29℃の室内では、じっとしていても1日約3㍑(1時間124cc)も発汗する。

日盛りの道を1時間歩くと約500cc、ジョギングをすると倍の約1㍑、汗をかく。
つまりそれだけ体内から水分が失われる。

体の中の水分は、体温の調節、全身の組織への栄養と酸素の供給、組織からの老廃物の排出などの役目を果たしている。

体重の2~3%に相当する水分が失われると、体温上昇が目立ちはじめ、循環機能に影響が出る。

汗をかいたとき、それと同量の水を飲まないと、脱水状態を招き、体温が上がり、体力を消耗する。

汗をかき、尿が濃くなると、尿路結石(腎臓結石、尿管結石、膀胱結石)ができやすい。尿酸の体外への排出が悪くなるから痛風発作も起こりやすい。

◎水を飲もう! だが飲みすぎるな!

半面、水、よく飲むべし─の勧めが裏目に出てしまうことがある。お年寄りの「多飲による頻尿」だ。

頻尿を訴えて受診する人に、「排尿日誌」をつけてもらうと、1日の尿量が3000~4000㍉㍑ということがある。

「これは明らかに水分の取り過ぎによる多尿で、これが頻尿や過活動膀胱の症状となって現れてくるのです」

と、鈴木康之・東京慈恵医大泌尿器科診療副部長は話している。

過活動膀胱というのは、さまざまな要因によって膀胱が過敏になって、排尿の回数が異常にふえる頻尿、尿意を感じたとたん漏れそうになる尿意切迫感、漏らしてしまう失禁などが起こる病気で、高齢者にとても多い。

その一因が、水の飲み過ぎだという。

「お年寄りがたくさんの水分を取るのは、決して悪いことではありません。

お年寄りは、のどの渇きを感じにくく、体内の水分が足りなくなっているのに、水分をとるのを忘れるので、脱水が進みやすいからです。

夏場、家の中にいても熱中症になるお年寄りが多いのは、このためです。

脱水を防ぐためにも積極的に水分は取るべきでしょう。

でも、だからといって、頻尿で困るほどたくさん取る必要はありません。

また、よくあるのが、かかりつけの内科医から、『脳梗塞の予防のため、水分をたくさん取るように』といわれ、水を飲みすぎるパターンです。

『寝る前に水分を』という助言を拡大解釈して、おなかがガボガボになるまで飲むのは賢い選択ではありません。

健康のためには何事も中庸が大切。水分もほどほどに─を心がけましょう」

注意! 人によっては水が「毒」になることもある。たとえば腎炎の急性期とか、人工透析を受けている人などは、水分の摂取は厳重に制限される。ご病人は主治医の注意をよく聞いてください。
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紫外線は「死害」線だ! [医学・医療・雑感小文]

紫外線は「死害」線だ! 

◎海水浴後の子どもの発熱

夏がきて、おてんとさまがフル操業し始めると、みなさん、下地の腹黒さがあぶり出されて皮膚の色も黒くなる。

つまらぬ冗談はともかく、夏、日焼けの季節に紫外線対策をぬかると、秋になってあわてることになる。

紫外線は、肌を日焼けさせ、しみやしわをつくり、皮膚の老化を進めるだけでなく、白内障や皮膚がんの原因にもなる。

紫外線障害には、強い直射日光に当たってすぐ現れる「急性反応」と、繰り返し紫外線に当たることによって現れる「慢性反応」とがある。

以前は、紫外線の急性反応は「日焼け」だけだと考えられていたが、いまはそれに「免疫抑制」が加えられている。

皮膚にはランゲルハンス細胞という免疫を担当する細胞があるが、これが紫外線に非常に弱い。紫外線に当たると、全身の免疫力が低下する。

水着で何時間も日に当たって真っ赤になるとそのときから免疫が落ちて、その状態が何日間か続く。で、いろんな病気にもかかりやすくなる。

海水浴のあと、よく子どもが熱を出すのはそのせいだ。

健康な人でもそうなのだから、ましてご病人は強過ぎる陽射しは避けるべきだ。

◎皮膚の光老化

一方、紫外線の慢性反応は「光老化」とも呼ばれる。若い人が日焼けすると、こんがりと色がついて健康そうに見えるが、その代償としてやがてしみ・しわなど皮膚の老化現象が現れてくる。この皮膚の光老化は浴びた光の量に比例する

紫外線は、さらに良性・悪性の腫瘍もつくる。良性の腫瘍は、脂漏性角化症といい、顔や手の甲などにできる老人性のイボのことだ。

悪性腫瘍(皮膚がん)は、日本人は白人に比べると50分の1以下と少ないが、これから増えるがんの一つといわれている。まさに紫外線は「死害線」なのだ。

紫外線は目にもよくない。目のレンズに当たる水晶体が白く濁る白内障の要因の一つと考えられている。

若いうちからUV(紫外線)カットの眼鏡をかけるようにすれば、白内障予防に役立つだろう。

サングラスもかなり紫外線はカットする。

だが、あまり色の濃いサングラスだと、視界が暗くなるから瞳孔が開き、散乱性の光が入りやすくなり、かえって目が浴びる紫外線量が増えてしまう。

まぶしさを防ぐためにかける場合も、色の薄いサングラスのほうがよい。

特に車を運転する時は、濃い色や調光レンズのサングラスは避けたほうがいい。濃い色のまま暗いトンネルに突入すると、一瞬、見えない状態になり、危険だ。

とにかく、人間の皮膚にとっては、ほとんど悪いコトしかしないのが、太陽光線だが、モグラじゃあるまいし、全く日に当たらないというのも、どうかしている。

ま、光老化の主犯のUVB(中波長紫外線)が最も多い夏の正午前後の2時間ぐらいは、なるべく戸外に出ないようにする、といった注意をしたらいいだろう。

お勧めは、UVケア化粧品やサンスクリーン剤の使用。SPF(太陽光線防御指数)5~6のものから30くらいのものまであり、数値が大きいものほど紫外線はよくカットするが、半面肌へののびなど使用感は悪くなるそうだ。日常用と行楽用を使い分けたらどうだろうか。


 ●警告・注意!

カンキツ系の香料の入った香水やオーデコロンを肌にじかにつけたり、レモンパックをしたり、イチジクやセロリをたくさん食べたあとで日光に当たると、日光皮膚炎を起こしやすく、しみもできやすい。それらに含まれるソラーレンという成分のせいだ。
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「脂肪の常識」の変転  [医学・医療・雑感小文]

「脂肪の常識」の変転 

◎マリリンとマーガリン

マリリン・モンローの新婚旅行は日本だった。

1954(昭和29)年の2月1日~25日。夫のジョー・ディマジオや同行のフランク・オドウル監督らとともに東京、福岡、岩国、大阪、奈良などの各地を訪ねた。

最初の1週間と離日前の5日間は東京・帝国ホテルに宿泊。

のちに総料理長となる村上信夫さん(故人)は、美容と健康に気を使う人気女優の徹底した食生活管理にとことんつき合った。

油はすべてマーガリン、肉はヒツジの背肉。

「モンローの来日が契機となって、日本にダイエットという考え方が定着したと言えるかもしれません」

と、村上さんは自著で振り返っている。

そう、そうだった。

バターよりもマーガリンのほうが「体にいい」といわれ始めたのは、あのころだった。「コレステロール」なる耳慣れないコトバの解説付きで─。

動物性脂肪のバターは、血液中のコレステロールをふやし、動脈硬化を促進し、心臓病の発症率を高める。

反対に、植物性脂肪のマーガリンはコレステロールを下げて、心臓病を予防する、と。

以来、植物油信奉の風潮は長く時代を支配しつづけた。

厚生省(現・厚生労働省)が1985年に策定した「健康づくりのための食生活指針」にも、「動物性の脂肪より植物性の油を多めに」とある。

植物油の主成分(脂肪酸)は、リノール酸、α-リノレン酸、オレイン酸などだが、リノール酸が多いことが最上の要素とされ、「リノール酸リッチ」を謳うサフラワー(紅花)油が大いにもてはやされた。


◎リノール酸衰退

ところが、いま、リノール酸はすっかり影をひそめ、マーガリンは体によくない、といわれるようになっている。

リノール酸を摂り過ぎると、血栓ができやすく、心臓病や脳卒中のリスクが高くなる。がんの発症もふえる。アレルギー反応性も高まる─というようなことが、疫学調査や動物実験でわかってきたからである。

マーガリンは、リノール酸リッチのうえ、液体の植物油を固体にするときにできる「トランス脂肪酸」というさらに厄介な代物が加わる。

トランス脂肪酸には、悪玉コレステロールをふやす働きがあり、大量に摂りつづけると、動脈硬化や心臓病につながる。

2003年、世界保健機関(WHO)と国連食糧農業機関(FAO)の合同専門家会議は、「1日の総エネルギー摂取量に占めるトランス脂肪酸の比率を1%未満に」と勧告した。

そして現在、欧米諸国、シンガポール、韓国などでは、食品中のトランス脂肪酸の含有量の規制や表示の義務化が行われている。

日本では、「外国と比べて摂取量が少なく、健康への影響は小さい」とされていたが、若者や女性に高摂取層があることが判明し、消費者庁が11年、含有量表示の指針を発表した。


◎EPA・DHA全盛

そうした一連の風潮のなかで代わって登場したのが、α-リノレン酸、オレイン酸と魚油に多く含まれるEPA、DHAである。

かつてはリノール酸リッチを売り物にした紅花油も、いまは「品種改良によりオレイン酸が豊富です」と、ぬかりはない。

オレイン酸の豊富な植物油といえば、なんといってもオリーブ油だが、これにもなんやらかんやらあって、「ニセ物だらけのエキストラバージンオリーブオイル」という記事を読んだこともある。

むろん、本物の最高品質のオリーブ油だからといって、それさえ使っていれば万全ということはない。

食べ物や栄養が健康や病気に与える影響を誇大に信奉する「フードファディズム」は、賢く避けたい。

新しい「食生活指針」も、先の「植物油を多めに」を訂正するかたちで、「動物、植物、魚由来の脂肪をバランスよくとりましょう」と勧めている。
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たばこに関する異論・反論(2) [医学・医療・雑感小文]

たばこに関する異論・反論(2)

「変な国・日本の禁煙原理主義」と題する養老孟司(解剖学者)/山崎正和(劇作家)対談のつづき─。


◎「受動喫煙の害」に科学的根拠なし

 山崎 数年前に、乞われて旧厚生省による「二十一世紀のたばこ対策検討会」の審議委員になったことがありました。体裁上、たばこを吸う人間も入れないと公平性を疑われると思って、厚生省は私に声をかけたのでしょう。少数派になるだろうとは思いましたが、会議は一般公開されるというので、禁煙運動のおかしさを世間に広めるいい機会だと思って行きました。

 出てみると、会議は予想以上に異様なものでした。

 ─略─。

 驚いたのは、反喫の根拠になっているという調査の開示を請求すると、反喫の医者でもある座長に「この資料は反喫煙論者にしか見せられません」と言われた(笑)。まさに正体見えたり、です。あれは元国立がんセンターの疫学部長の平山雄氏の三十年にわたる研究に基づくものとされている。でも原資料は見せないんです。

 養老 平山さんは世界で初めて「受動喫煙の害」を指摘した人ですが、彼の疫学調査にはその後、多くの疑問が寄せられています。なかでも彼が主張した、いわゆる副流煙の危険性は問題外です。喫煙者本人が吸い込む煙よりも、周囲の人が吸い込む煙の方が有害だという説ですが、低温で不完全燃焼するたばこから発生するので有害というのに科学的根拠はないのです。

 山崎 疫学とは、原因と結果の関係が見えにくい事柄について相関性を述べる学問ですよね。

 養老 そうです。毒を飲んだら死んだ、というように因果関係が明白なら、疫学の出番はありません。

 山崎 では、ある原因とある結果を任意に選択するときに、基準はあるのでしょうか。

 例えば、肺がん患者が増えた原因は素人の私でもいくつも思い当たる。その第一は長生きでしょう。長生きすればがん発症の確率が高くなる。もうひとつ疑わしいのは大気汚染です。しかしなぜ、たばこだけをがんの原因として取り上げて、大気汚染は問題にしないのかと私は言ったんです。

 疫学が多くの伝染病の発見に貢献したことは認めますが、任意の原因と結果を選択するにあたって、科学的根拠を明示できないかぎり、素人考えと何ら変わりがないのではないでしょうか。それなら、人類にとって最も危険なのは畳とベッドの普及であるとも言えますよ(笑)。審議会の席でそう言ったら、皆さんいやな顔をなさっていましたけど。

 養老 そうそう。私もそこが気になるんです。なぜたばこが「悪玉」に選ばれたのか。

   

 長くなったのでこの辺でやめるが、「歴史上、社会的な禁煙運動を初めておこなったのはナチス・ドイツ」といった興味深い話その他について、もっとお読みになりたい向きは、バックナンバーを版元から取り寄せるか、古本屋やアマゾンでお探しください。

「総力特集 最高の医療 カリスマ医師10人 治療革命報告」「日野原重明 健康10ヵ条」「天才・阿久悠 五○○○曲の舞台裏 都倉俊一/小林亜星」「新発見 吉田茂VSチャーチル会談秘録」など、いま読んでも―いや、いま読むからかえって面白い記事、いっぱい載っています。『文藝春秋』2007年10月号です。


 ひとこと追加。

「禁煙によってストレスが高じてしまうほどの状態になるなら、無理して禁煙するストレスの害のほうが大きい」=奥村康・順天堂大医学部特任教授(免疫学)
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