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似てるけど違う? 違うけど同じ? [医学・医療・雑感小文]

似てるけど違う? 違うけど同じ?

◎貧血、脳貧血、低血圧…

めまい、立ちくらみがひどい。

朝、起きられない。疲れやすい。眠りが浅い。

わりあいよく聞く症状だ。

その原因としての、貧血、脳貧血、低血圧、起立性低血圧、起立性調節障害…も、わりあいよく聞く病名である。

どう違うのか? 違わないのか? 

似てるけど違ったり、違うけど同じだったりして、なんだかちょっとややこしい。

まとめてみよう。

貧血は、「血が薄い」という病的現象だ。

血液の赤血球に含まれるヘモグロビン(血色素)の濃度が低下した状態で、その原因で最も多いのが、ヘモグロビンの材料となる鉄分が不足する「鉄欠乏性貧血」である。

ヘモグロビンは酸素と結びついて体中に運ぶ役割をしている。

貧血になると、全身に酸素がじゅうぶん行きわたらなくなり、疲れやすい、疲れているのに眠りが浅い、動悸や息切れがする、といった症状が現れるが、立ちくらみやめまいは、それほど多くない。

脳貧血は、「脳の血流が一時的に不足」して起こる。

脳の細胞は、動脈を流れてくる血液から酸素とぶどう糖の供給を受け、エネルギー源としている。

脳へいく血液量が減少すると、脳細胞のはたらきが低下し、めまい、立ちくらみなどの脳神経の症状が現れる。

ときには失神して倒れることもある。

が、そうした症状は数分以内に消え、もとに戻る。

低血圧は、「血管内の血液の圧力が低い」状態。

原因となる病気や異常がなく、血圧だけが正常値よりも低い「本態性低血圧」と、原因となる病気のために血圧が低くなっている「症候性低血圧」に分けられる。

一般に「低血圧症」といわれるのは、前者のほうで、原因ははっきりしないが、遺伝性の体質のためと考えられている。

倦怠感、めまい、立ちくらみ、頭重感、不眠、肩こり、耳鳴りなど、さまざまな症状を同時に訴えるため、不定愁訴と呼ばれる。

年中、なんだかんだ、不調をかこちながらずっとそれなりに健康は保たれる。

詳しい検査を受けても血圧の低いこと以外、どこも悪くないとわかったら、長生き列車の指定席券を手に入れたようなものだ。

そう思ってあまり気にしないことが肝要で、症状の好転にもつながる、と専門医は助言している。

起立性低血圧(OH)は、寝ていて立ち上がったとき、血圧がストンと下がり、立ちくらみやめまいなどが起こる。(Orthostatic=起立性の、hypotension=低血圧)。

急に立つと、重力で血液が脚に下がり、脳に血液が不足しやすい。

健全なら、立つと同時に脚の血管が収縮し、一方では心臓が活発に動いて血液をたくさん送り出す。

この反射的な自律神経の調節がわるいのが起立性低血圧である。

高齢者に多くみられるのは、加齢とともに血圧の調節機能が低下し、血管がうまく収縮できないことや、心臓の働きが弱って送り出される血液の量が少なくなることが原因とされる。

起立性調節障害(OD)は、「思春期に発症しやすい自律神経系の機能不全」と説明される。(Orthsotatic=起立性の、dysregulation=調節障害)。

春から夏にかけての発症がとくに多い。

血管の収縮力が弱くなり、立つと下半身や腹部に血液がたまり、脳への血流が低下して、立ちくらみ、めまいが起こる。

思春期の子どもが、朝起きられない、朝食が食べられない、頭痛を訴える、朝礼で倒れてしまう、午前中はボーッとして、授業に集中できないが、午後からは元気になる─ようだったら、ODの可能性が高い。

連日の遅刻や不登校の原因になり、「怠けぐせ」「寝不足」などと誤解されがちだが、ODは病気なのである。

「子どもの訴えをきちんと聞き、理解した対応をすれば、子どもの心的負担も軽くなる」と専門医は助言している。

─と、こう見てくると、脳貧血、低血圧、起立性低血圧、起立性調節障害には共通点がとても多いことに気づく。

「ODの大人版がOHです。本質的に同じ病気ですね」とある専門医は言い、

別の専門医の研究でも、「朝礼で倒れた子は、大人になって低血圧や起立性低血圧になりやすい」ことがわかったという。

ただ、大人の立ちくらみには、シャイ・ドレージャー症候群という重い病気が混じっていることがある。

糖尿病や動脈硬化の立ちくらみもある。

精密検査を受けることをお勧めしたい。
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