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悪い知らせを伝えるスキル [医学・医療・雑感小文]

 SPIKES

 医療の理想は─というよりも、本来あるべきかたちは、医師が患者の声に耳を傾け、必要な情報を提供し、その患者に最も適した治療を行うことにある。

 とりわけ、がんのような深刻な病気のばあい、それが強く望まれる。

 医師の告知の仕方によっては、患者が大きなダメージを受け、治療する気力をなくしてしまうこともあるからだ。
 
患者に悪い知らせを伝えるのは、医師として避けては通れない難しい仕事の一つだ。

 1990年代にアメリカのがん治療の現場で、提唱されたのが、SPIKES(スパイクス)というコミュニケーション・スキルだ。

 S=面談のための適切な環境を設営(セッティング)し、

 P=患者の話をよく聞き、病気や治療に関する患者の認識(パーセプション)を知り、

 I=患者がどこまで知りたいか把握(インビテーション)し、

 K=診療の情報・知識(ノゥリッジ)を提供、

 E=患者の反応に共感(エンパシー)を示し、

 S=診療の計画・方針(ストラテジー)を提示する。

 ─という情報伝達の方法を体系的にまとめたものだ。
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脳卒中=予防と治療の常識 [医学・医療・雑感小文]

 治療の絶対条件

 冬は脳卒中の季節。

 脳卒中治療の絶対条件は、発症に気づいたら一刻も早く受診すること。

 顔の片側や、片方の手や足がしびれる。

 ふらつく。

 言葉が出ない、ろれつが回らない。

 片方の目が見えない。

 ─といったときは、すぐ病院へ─。
 
予防は「禁・五過ぎ」

「脳卒中の予防は、まず食べ過ぎ、飲み過ぎ、吸い過ぎ、働き過ぎ、怠け過ぎの<五過ぎ>を避けることです」

 とは、山口武典・日本脳卒中協会理事長(国立循環器病センター名誉総長)の言葉。

飲み過ぎは酒。吸い過ぎは、むろんたばこのこと、本当はきっぱりとやめるべきです。

 働き過ぎは過労とストレス。

怠け過ぎは運動不足。

 この五つの過ぎが重なると、高血圧、糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症、肥満などを招いて、脳卒中になりやすいのです」

 まず肝要なのは高血圧の治療。

 血圧が低ければ低いほど、脳卒中の発症率は低くなる。

 降圧剤の臨床試験で、上の血圧が10㍉、下の血圧が5㍉下がると、脳卒中のリスクが30%へることが確かめられている。

 また、スタチンという脂質異常症の薬でも20~30%は抑えられるし、抗血小板薬のアスピリンなどでも25%は抑制できるといわれる。

「これらをトータルすると8割の脳卒中は防げる計算になるが、もし発症したら一刻も早く専門病院に行き、命が助かったら積極的にリハビリを…」
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ありがたい不自由 [医学・医療・雑感小文]

 ありがたい不自由

 家庭用計量計測機器メーカーのタニタが、日本人の健康づくりに貢献した個人または団体を顕彰する「タニタ健康大賞」の2007年度の受賞者は、聖路加国際病院の日野原重明先生だった。
 
日野原先生は、早くから予防医学の重要性に着目、いわゆる「成人病」は、生活習慣の影響が大きいのだから「習慣病」と呼ぼうと提唱した。

 1978年のことで、厚生省(現厚生労働省)が、成人病を「生活習慣病」と改称したのは1996年である。

 そうした施策の転換に対する貢献、終末期医療の普及、医学・看護教育への尽力、そして96歳の現在も、医師としての活動を続けていることなどが、「タニタ賞」贈呈の理由だった。

   贈賞式の会場で、先生の若さの秘密をたずねた。

「戦中、戦後の粗食が、私の体に動脈硬化をつくらなかった。

 過剰な脂肪や糖分を取らなかったおかげで、いま健康でいられる。

 ずいぶん不自由な生活だったが、〝ありがたい不自由〟だったわけです。

 それから、若い友人、学生たちとのつきあいが多く、エネルギーを与えられている。

 それも幸せなことです」
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命は深さ [雑感小文]

 命は深さ

「老いの達人」といって、いの一番に頭に浮かぶのは、聖路加国際病院の日野原重明先生だ。
 
1999年の文化功労者に選ばれたころ、お話を伺う機会があった。

「毎日7時半、遅くとも8時にはここ(院長室)に来て、会議をし、回診をし、大学で講義をして、いつもたいていお昼ご飯を食べる時間はありません。

 牛乳ワンパックとクッキーを三つぐらい。

 今日は寝たのが未明の4時でした。

 睡眠が5時間を超える日はめったにない。

 月に3、4回は徹夜で原稿書きをします。

 昨夜も20枚書きました。これまでに発表した医学論文は3200以上です」

「運動は好きだが、時間がなくてできないから、なるべく歩くようにしている。

 ビルの3階ぐらいまでならエレベーターは使わない。

 階段を一段飛ばしで駆け上がっちゃう」

 ─少しあきれ気味に感嘆、お年、サバ読んでおられるのでは? と突っこんだら、

「1911年生まれの88歳です。だが命は長さじゃない。深さなのですよ」。

 以来十有四年、2005年には文化勲章を受章、この10月には105歳になられた。

 多年好評連載中のエッセイにこう述べておられる。

「(10月末、台湾・台北市での国際健診学会の理事会に出席)、2泊3日の出張を終えた帰りの機中で、早速、俳句をひとつ作りました。

 私の生涯は 毎日が 生きた俳句のごと

 若干、注釈が必要かもしれません。私がこれまで生きてきた105年という年月は、まさに私自身に与えられ、大切に生きてきた「いのちの時間」であり、そして、これから先も一日一日を、まるで俳句のように凝縮させて生きていきたい、という思いをこめてみたものです。」(「105歳・私の証 あるがまゝ行く」=2016年12月4日朝日新聞朝刊b版)

タグ:日野原重明
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心の支え [雑感小文]

心の支え

 だいぶ遅ればせながら本年の文化勲章受章者と文化功労者のお顔ぶれをていねいに拝見、電卓をたたいて平均年齢を算出してみた。

 文化勲章受章者6人の最年長者は画家・彫刻家の草間彌生氏87歳で、最年少者はノーベル医学生理学賞の大隅良典氏71歳。平均年齢は81.5歳。

 文化功労者15人の最年長者は書の尾崎邑鵬、小山やす子両氏の92歳で、最年少者は情報科学の西尾章治郎氏の65歳。平均年齢は78歳。

 みなさまいずれ劣らぬ「老いの達人」ばかりで、車椅子のかたもおられたが、深い人間性の刻まれた顔容に、不自由な肢体を支える強固な精神力が感じられた。

 またまた昔の話で恐縮。

 昭和30年前後の「うたごえ運動」のテーマソング(?)の歌い出しは「若者よ、体を鍛えておけ」だった。

 なぜ体を鍛えておかねばならないのか? 「美しい心が、たくましい体に支えられる日」が、いつかは来るだろう。

「その日」のために─心の挫折を防ぐために、体を鍛えておけ、というのだった。

 では……と思う。

 老人は心を鍛えておかねばならない。

 衰弱した体が、強い心に支えられる日が、すぐそこまで来ているからだ。
 
 老年の日々は、青春の日々とは異質の変化と試練の連続である。

 いつ決定的場面が訪れるかわからない。

 そのとき、あわてふためき、うろたえたり、取り乱したりしないためには、強い心が頼りだ。
 
 心をしっかり鍛えておこうと思う。
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銀舎利世代 [雑感小文]

 銀舎利世代

 秋の初めのころ、薩摩の米どころ伊佐の新米をもらった。

 当家は、小生のがん発覚以来、玄米めしになっているのだが、せっかくのご厚情を無にしてはいけないとの口実で、一夜、炊いて食べた。

 いやぁ、うまい! うまい! 感きわまった。

 米のご飯がこんなにうまいものだったとは!

 久しい以前からこの国ではご飯でおかずを食べる人がふえているらしい。

 白米の淡白な味は、おかずの濃い味をならすから、たくさんの総菜と総菜の間の口直しに適している。

 で、めしが副食になり、おかずが主食になったらしい。

 昔人間にはなにかそら恐ろしいゼイタクに思える。

 昔は、米のめしそのものが最上のごちそうだった。

『広辞苑』に「銀舎利(ぎんしゃり)」という項目がある。

「白米の飯。一九四〇年代、わが国の食糧不足の時代の語。」

 ああ、そうだった!

 あのころ、ときたま(本当にときたま)銀シャリにありつくと、心が歓喜に打ちふるえたものだった。

 あの喜びはわが記憶の倉の財産だ。

 飽食世代の知らない、銀舎利世代の幸せだと思う。
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キウイ効果 [医学・医療・雑感小文]

 キウイ効果

 生理的口臭の主因は、舌の汚れ=舌苔(ぜったい)中のたんぱく質が分解してできる口臭成分(VSC)だ。

 江崎グリコの研究チームは、キウイフルーツに含まれるアクチニジンという酵素が、舌苔を除去し、口臭を抑制する効果を、ヒトによる実験で確認した。

 舌苔のある成人男性を2群に分けて、A群にはキウイ酵素・アクチニジンを配合した錠剤を、B群にはそれとよく似た偽の錠剤を、なめてもらった。

 2週間後、こんどはA群には偽剤を、B群には本物の錠剤をなめてもらった。

 結果、両群ともアクチニジン配合の錠剤をなめたときだけ、舌苔が完全に除去されたことがデジタル画像で確認され、口気中のVSCの濃度をガスクロマトグラフによって測定、口臭が半減したことが確かめられた。
 
キウイ酵素・アクチニジン配合の口中ケア製品「BREO=ブレオ」を、起床時や食後、会議や商談など口臭が気になるときに1粒、口に入れると「舌キレイ さわやかな息」効果が得られる。

 ブレオには、タブレットタイプと、ドロップタイプがある。
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舌のコケ [医学・医療・雑感小文]

 舌のコケ 

 口臭は、

①歯周病などの病的口臭、

②健常者に発生する生理的口臭、

③ニンニクやアルコールなど食品由来口臭、に大別される。

①は原因疾患を治すことでしか解消しない。

③は時間が解決してくれる。

②は程度の差はあるが、だれにでも発現する。

起床時、空腹時、緊張時(口の中が乾く)などに強くなる。

そんなとき「口がにおう」と指摘されたのが、深刻な口臭コンプレックスの元になることもあるようだ。

 生理的口臭は、舌に付着した汚れや、だ液中のたんぱく質が、口の中の細菌によって分解されて、口臭成分(VSC=揮発性硫黄化合物)を発生するために起こる。

鏡で舌を見ると、表面が白いコケのようなもので覆われていることがある。

この舌苔(ぜったい)が生理的口臭の最も主要な発生源だと、専門家は指摘している。

 舌苔は、口臭の原因になるばかりでなく、その中の病原菌が肺に入ると、誤嚥(ごえん)性肺炎を引き起こしたり、厚く重なって味蕾(みらい=味を感じる細胞)を覆うと、味覚障害が起こることもある。
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最も厄介なコンプレックス [医学・医療・雑感小文]

  口臭問題

 いろいろなコンプレックスのなかで「口臭」ほど厄介なものはないのではないか。

 製薬会社のヤンセンファーマが、20~30代OL約300人に聞いた「上司に関するアンケート」でも、上司の身だしなみで気になるもののトップは、口臭・体臭の91・5%だ。

 ちなみにワースト3のあとの二つは、フケ症・肩にのったフケ=83・0%、だらしない服装(汚れたネクタイ、よれよれのスーツ)=76・4%だ(複数回答)。

 口臭がある(あるいは自分の口臭に気づいてない)人が多い半面、実際には口臭はないのに口臭を気に病んでいる人も少なくない。

 自分の口臭は自分ではわからないからだ。

「口の前に手をかざして、鼻の穴に向けて息を吐きかければいいんだ」という、サリンジャーの主人公(『ライ麦畑でつかまえて』のホールデン)の口臭判別法も、実際には全く役に立たない。

「ある」のに「ない」と思っている人。

「ない」のに「ある」と思い込んでいる人。

 そんなこんなで、口臭問題はややこしくなる。

 ただ、ひとつハッキリしているのは、口臭の原因のほとんどは口の中にあるということだ。
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健やかなライフに寄与する口腔保健 [医学・医療・雑感小文]

歯周病は全身病

 日本人の成人の約8割が歯周病になっているという(平成17年歯科疾患実態調査)。

 あらゆる慢性感染症の中で最も罹患率の高いのが、歯周病だ。

『オーラルヘルスと全身の健康』(P&G社刊)によれば、古代ギリシャの医聖ヒポクラテスは、口の中の疾患は全身の健康に影響し、それを治せば健康が回復すると説いているそうだ。

 以下も同書からの引用だが、

『歯科疾患と全身疾患』という、1923年に米国で刊行された学術書には、口腔(こうくう)慢性感染症と腎炎や関節炎との関連を解明した多くの論文が、千ページを超えて収載されてある。

 1994年、WHO(世界保健機関)は、世界保健デー(毎年4月7日=同機関の設立記念日)のこの年のメインテーマを、「健やかなライフに寄与する口腔保健」とした。

 歯周病は、糖尿病、呼吸器疾患、心疾患、メタボリック症候群、骨粗しょう症、妊娠トラブルなど、さまざまな病気に密接にかかわる。

 歯周病の治療と予防は、医学のあらゆる領域で積極的に取り組む必要があると強調している。
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