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命は深さ [雑感小文]

 命は深さ

「老いの達人」といって、いの一番に頭に浮かぶのは、聖路加国際病院の日野原重明先生だ。
 
1999年の文化功労者に選ばれたころ、お話を伺う機会があった。

「毎日7時半、遅くとも8時にはここ(院長室)に来て、会議をし、回診をし、大学で講義をして、いつもたいていお昼ご飯を食べる時間はありません。

 牛乳ワンパックとクッキーを三つぐらい。

 今日は寝たのが未明の4時でした。

 睡眠が5時間を超える日はめったにない。

 月に3、4回は徹夜で原稿書きをします。

 昨夜も20枚書きました。これまでに発表した医学論文は3200以上です」

「運動は好きだが、時間がなくてできないから、なるべく歩くようにしている。

 ビルの3階ぐらいまでならエレベーターは使わない。

 階段を一段飛ばしで駆け上がっちゃう」

 ─少しあきれ気味に感嘆、お年、サバ読んでおられるのでは? と突っこんだら、

「1911年生まれの88歳です。だが命は長さじゃない。深さなのですよ」。

 以来十有四年、2005年には文化勲章を受章、この10月には105歳になられた。

 多年好評連載中のエッセイにこう述べておられる。

「(10月末、台湾・台北市での国際健診学会の理事会に出席)、2泊3日の出張を終えた帰りの機中で、早速、俳句をひとつ作りました。

 私の生涯は 毎日が 生きた俳句のごと

 若干、注釈が必要かもしれません。私がこれまで生きてきた105年という年月は、まさに私自身に与えられ、大切に生きてきた「いのちの時間」であり、そして、これから先も一日一日を、まるで俳句のように凝縮させて生きていきたい、という思いをこめてみたものです。」(「105歳・私の証 あるがまゝ行く」=2016年12月4日朝日新聞朝刊b版)

タグ:日野原重明
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