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酒の漢方薬 [医学・医療・雑感小文]

酒の漢方薬

 漢方の名医、藤平健先生(故人)は、80歳を過ぎて、毎晩5合の晩酌を欠かしたことがないという特異体質的酒豪だった。

 生前、しばしばご相伴にあずかったが、品のいい温顔に静かな笑みをたたえて、ゆったりと飲み続けた。

「私は、40代のころ、自分の高血圧を治すために漢方の三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう)を1年ほど用いているうち、二日酔い知らずになっていることに気づきました。

 仲間の漢方研究医たちに話したところ、めいめい試してみて、そのとおりだということになりました。

 ただし、この薬が合うのは、体力のあるがっしりとした体格の<実証>の人です。

 体力が中程度の<虚実間>やそれ以下の<虚証>の人は、黄蓮解毒湯(おうれんげどくとう)がよろしいでしょう」

 と教えていただいた。

 この二つの薬の主成分である黄蓮、黄柏(おうばく)、黄芩(おうごん)という生薬にニンジン、センブリなどを加えたのが「黒丸」という和漢薬で、実証とか虚証とかに関係なく用いることができる。

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