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毒とハサミ [医学・医療・雑感小文]

 毒とハサミ

乳児ボツリヌス症は、ハチミツなどに含まれるボツリヌス菌の芽胞が、腸内で発芽・増殖して毒素を出すために発症する。

しかし1歳以上だったら腸内細菌が芽胞の発芽・増殖をさまたげるから大丈夫だ。

また、ハチミツに含まれている芽胞のままなら毒素は産生しない。

食中毒の心配はない。

ボツリヌス中毒で問題になるのは、ハチミツ以外の食物だ。

「ボツリヌス」という語が、ラテン語の「腸詰め」に由来するように、欧米ではソーセージが感染源になることが多かった。

日本ではカラシレンコンによるボツリヌス中毒が大騒動になったことがある。

しかし、いまボツリヌス菌と聞いて、まず思い浮かぶのは、眼瞼(がんけん)けいれんなどの治療法とプチ整形だろう。

目の周りがピクピクし、ひどくなると両目が開かなくなる眼瞼けいれんや、顔半分の筋肉がけいれんする片側(へんそく)顔面けいれんには、ボツリヌス治療がよく効く。

ボツリヌス毒素が神経をマヒさせ、筋肉が動かなくなるはたらきを利用した治療法だ。

しわ取りのプチ整形に盛んに用いられている「ボトックス」、あれもボツリヌス毒素だ。毒とハサミは使いようということか。
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