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ネズミの恩恵 [医学・医療・雑感小文]

 ネズミの恩恵

家森幸男・京大名誉教授は、高血圧ネズミにストレスを加えて、脳卒中を起こしたネズミの子孫同士を掛け合わせるという選択交配を何代も重ねて、100%脳卒中を発症する遺伝因子をもつネズミの一族=脳卒中ラットを作り上げた。

たいへんな根気と労力と時間のかかる仕事だった。

今はそんな手間暇は要らない。

特定の遺伝子を遺伝的に壊し(ノックアウト)、働けないようにすることで多種多様なネズミ(ノックアウトマウス)を作ることができる。

ともあれ、そうしたネズミたちの恩恵を、現代の医学生物学がどれほどこうむっているか。

脳卒中ラットでいえば、普通に飼育しているうちに必ず脳卒中を発症するから、脳卒中の原因の究明や予防の研究が思いのままできる。

しかもネズミの寿命はせいぜい2年で、その9カ月から13カ月の間に脳卒中を起こしてくれる。

人間では何十年もかかることが、短い観察期間で研究できる。

むろんネズミに限らない。

多くの実験動物のそうした命の集積が、人類を救うヒントを与えてくれている。
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