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ネズミおばさん [雑感小文]

 多田富雄著『免疫の意味論』からの受け売りだが、現代の医学生物学の研究に必要不可欠な実験用純系マウスの大半の祖先は、もとをたどれば米国マサチューセッツ州南東部の小さな町、グランピーの「ミス・ラスロップのネズミ小屋」に行き着く。

 ミス・ラスロップは、この町の小学校の教師だったが、悪性貧血を患い三十代で退職、生計を立てるためハツカネズミ(マウス)の飼育を始めた。

 初めはペットや教材用に販売していたが、そのうち実験動物として使いたいという医学者からの注文がくるようになり、このほうの需要がずっと多くなった。

 丹念に交配を繰り返し、きちんと記録を残していた、ミス・ラスロップのマウスは、実験動物の適性を満たしていたからだ。

 1918年、彼女が50歳で死去したあと、残された1万1千匹のマウスは、メーン州にあるジャクソン研究所が引き取り、やがて全世界に実験用マウスとして供給されるようになった。

「グランピーのネズミおばさん」が果たした現代医学への貢献は計り知れぬほど大きい。
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