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リンゴはすごい [医学・医療・雑感小文]


 妻の郷里が信州安曇野なので、冬になるとリンゴの大箱が二つも三つも到来する。

 これを毎日1個(両名で半分こ)食し、5月ごろ全部の箱が空いたらスーパーで求めて、1年中欠かさず食べている。

 そんなリンゴ党だから10数年前、田澤賢次・富山医科薬科大教授(当時。現名誉教授)の取材でリンゴの食物繊維(リンゴペクチン)の効用を知ったときは、うれしかった。

 消化器外科専門の教授は、大腸がん予防の研究からリンゴペクチンのすぐれた効果を発見した。

 それまでは食物繊維の大腸がん予防は、穀物やいも類、ゴボウなどのセルロースとかリグニンといった不溶性(水に溶けないタイプ)の食物繊維が有効だろうというのが通説だった。

 大腸がんを誘発するAOM(アゾキシメタン)を与えたネズミに、水溶性のリンゴペクチンを飲ませたところ、大腸がんの発生を強力に抑制したばかりか、肝臓への転移を抑える効果も高いことがわかった。

 さらに活性酸素の消去力がきわだって強いことも実証できたという話だった。

 リンゴの大腸がん抑制効果は、日本発の朗報だった。

 近年、米マサチューセッツ大の研究チームは、リンゴが脳内の神経伝達物質アセチルコリンを増やすことを動物実験で確かめた。

 アルツハイマー型認知症の人の特徴の一つは、アセチルコリンの激減だ。

 65歳以上の男女1836人を7~8年間追跡した疫学研究では、コップ1杯のリンゴジュースを主とした果物・野菜ジュースを週3回以上飲む人は、週1回未満の人に比べて、アルツハイマー病の発症リスクが73%も低下したという。

「まだ厳密な科学的証明まではされていませんが、私たち研究者はリンゴの摂取が(認知症の)予防に役立つと考えています」と、農業・食品産業技術総合研究機構研究員の田中敬一さんは話している(毎日新聞09年11月24日)。

 また、リンゴなどに含まれるポリフェノールのケルセチンには、09年ノーベル医学生理学賞で話題を集めたテロメア(染色体の末端にあり、細胞のがん化や老化にかかわる部分)が短くなるのを抑える効果もあるようだという。

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