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帯状疱疹の宮崎スタディと新藥 [医学・医療・雑感小文]

 宮崎スタディ 
 
 体の左右どちらかにピリピリと刺すような痛みと、これに続いて赤い斑点と小さな水ぶくれが帯状に現れる病気─帯状疱疹(ほうしん)は、50~70代に最も多くみられる。

 過労やストレスが引き金となり若い人に発症することも珍しくない。

 宮崎県皮膚科医会は、1997年から2006年までの10年間、県内の46の皮膚科医療施設(開業医および病院)で、大規模疫学調査を行った。

 全症例数は4万8388例(男性2万181、女性2万8207)。

 これほど長い年月にわたり、これほど多くの症例を集めたスタディ(研究調査)は「日本はもとより世界初といえます」と、白木公康・富山大学大学院教授(ウイルス学)。

 膨大な調査データを解析した研究者代表の外山望先生(外山皮膚科=宮崎県日南市)の話を、プレスセミナーで聞いた。

 10年間で帯状疱疹患者は26%増加し、女性の発症率が男性より25%高い。

 1000人あたりの患者は4・15人で、最年少患者は3カ月女児、最高齢は102歳女性だった。

 年齢別の発症率をみると、30代が最も少なく、10代に小さな峰があり、50代からぐんと増え始めて60~70代に大きな峰をつくる(発症率が最も高いのは70代女性で、最も低いのは30代女性)。

 10歳未満の小児の発症率も1000人中2・45人で、子どもの帯状疱疹もまれなものではない。

 女性の発症率は男性より25%高いが、80歳以上になると、男女の発症率が逆転する。

 女性の人口が多いため患者数自体は女性のほうが多いが、発症率は低い。

 つまり80歳以上では女性のほうが帯状疱疹にかかりにくいといえる。

 30代女性の発症が最も低いのは、水痘(すいとう=水ぼうそう)の子と接触する機会が多いことによるブースター効果(追加免疫効果)が働くのではないかと考えられる。

 帯状疱疹は、体内に潜伏していた水痘のウイルスが再びあばれ出すためだが、水ぼうそうの子と接触すると、体内のウイルスがおとなしくなるらしい。

 ファムビル

 帯状疱疹(ほうしん)は、子どものころにかかった水痘(すいとう=水ぼうそう)が治ったあと、ウイルスが体内の神経節にひそんでいて(潜在感染)、加齢やストレス、過労などが引き金となり、ウイルスが動き出し、神経を伝わって皮膚に到達し、発症する。

 神経に沿って帯状にやや盛り上がった斑点が現れ、そのあと水ぶくれができる。

 通常、皮膚症状が治ると痛みも消えるが、その後もピリピリする痛みが持続する例がある。

 帯状疱疹後神経痛といい、高齢になるほどそれが残る人が多く、長期間痛みがとれず日常生活に支障をきたす。早く抗ヘルペス(疱疹)ウイルス薬による治療を始めなければいけない。

 抗ヘルペスウイルス薬といえば、アシクロビルの一手販売だったが、2008年、ファムビルが登場した。
その治療成績は、紅斑や水疱などの皮膚症状と痛みが消失するまでの日数、ウイルスが消失するまでの日数その他、あらゆる項目で「アシクロビルに対して非劣性が認められた」

 つまり勝るとも劣らないというわけだろう。
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