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脳は豆腐 [医学・医療・雑感小文]

 長生きのコツを聞かれて、

「転ぶな、風邪ひくな、義理を欠け」と答えたのは、91歳の天寿を全うした岸信介元首相だった。

 老人の風邪は肺炎に進展しやすい。

 転ぶと、骨折しやすく、太ももの付け根を折って寝たきりになったり、頭を打って大ごとになる例が少なくない。

 脳は、豆腐のように軟らかい組織で、周りを脳脊髄(せきずい)液で囲まれ、頭蓋(ずがい)骨の中に浮かんでいる。

 豆腐の入ったボウルをゴツンとぶつけると、豆腐がゴシャゴシャと動くように、頭を打つと、その衝撃で脳が1秒の10分の1とか100分の1といった速さで振動する。

 頭蓋骨の中で脳が強くゆさぶられ、片方に寄る。

 脳の機能が一時的に障害されて短時間、意識を失ったり、判断力が鈍ったり、記憶喪失を起こしたりする。
 
「脳振盪(しんとう)」と呼ばれる状態だ。

 たいていすぐに回復して、大したことにはならないのだが、とっさの防御反応が鈍くなった人は、頭をまともに打って、脳挫傷を起こしたり、脳の中に血液がたまる硬膜下血腫の前段階になりやすい。

 三つ目の「義理を欠け」は、寒中・猛暑下の葬儀欠礼の勧め。

 風邪をひき、肺炎を併発したり、熱中症を発症しやく、老齢の身には命とりになりかねない。 

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